■ボディサイズの拡大を帳消しにする後輪操舵は、違和感も少ない

新型メルセデス・ベンツ Cクラスは、以前お伝えしたように、全長が80mm、全幅が10mm、全高が5mmそれぞれ拡大し、ホイールベースも25mm長くなっています。

メルセデス・ベンツCクラス
新型Cクラスのエクステリア

前後席のゆとりという恩恵が享受できる一方で、Cクラスは狭い住宅街でも需要があるでしょうから、取り回しへの不安を抱く方も少なくないはず。それでも最小回転半径は0.1m小さくなっていて、「リヤ アクスルステアリング」装着車であれば、わずか5.0mに収まっています。

メルセデス・ベンツCクラス
新型Cクラスの走行シーン

リヤ アクスルステアリングは、32万6000円の「AMGライン」と同時装着が必要なオプションで、価格は14万5000円となっています。駐車場や道路環境が狭い場合は、やはり選択したいオプション。

メルセデス・ベンツCクラス
新型Cクラスのリヤ アクスルステアリング装着車のイメージ

同装備は、約60km/h以下で、同位相、逆位相の両方ともに最大2.5度の切れ角が得られる装備。60km/hを超えると、後輪を前輪と同位相に最大2.5度操舵することで、ボディの揺れなどを抑制してくれます。

駐車時だけでなく、駐車券を取る際など、クルマを寄せたい時にも威力を実感できます。

メルセデス・ベンツCクラス
ワインディングを走る新型Cクラス

しかも、操舵時の違和感はほとんどなく、山岳路での狭いコーナーでも自在に姿勢を変えられるため、俊敏性に拍車がかかるだけでなく、安定感も抜群です。

ロール抑制にも効いている印象で、各メーカーともに後輪操舵の進化が着実に進んでいる中でも、Cクラスのそれは、さらに一歩前に進んでいるような高い完成度といえそう。

メルセデス・ベンツCクラス
AMGライン装着車は、18インチを履く

なお、Sクラスの後輪操舵は最大4.5度で、Cクラスでは後輪の傾きが抑えられていますが、ボディサイズの違いと理解すればいいでしょう。

先述したように、AMGラインの装着が前提になっていて、約47万円にもなるため躊躇してしまう方もいるでしょうが、取り回しだけでなく、走りの面でも効果は絶大なのでやはり欲しいところ。こうした回頭性の高さ、まさしく俊敏というハンドリングを備えるいるということは、乗り心地の面では相反しそうです。

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新型Cクラスのリヤビュー

しかし、路面の凹凸を乗り越える際に、硬さは感じられるシーンはあるものの、先代よりもボディの剛性感がより高まっていることもあり、コツコツとした上下動や揺すぶられる感覚は、より抑えられている印象です。

AMGラインの試乗車は、225/45R18タイヤにスポーツサスペンションという組み合わせになるため、当然ながらより自在なボディコントロール性に重きが置かれているはず。路面の状態によっては振動となり、意識させられるシーンもあるため、17インチ+ノーマルサスの組み合わせがどんな乗り味を示してくれるかは気になるところでした。

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1.5Lターボ+ISG搭載のガソリンエンジン

パワートレーンをチェックすると、試乗車の「C200 アバンギャルド」は、48Vマイルドハイブリッドの「ISG」が備わり、「M254」型エンジンの1.5L直列4気筒ターボは、204PS/5800-6100rpm、300Nm/1800-4000rpmというスペック。

ISGは、短時間ですが15kW(20PS)、200Nmという加勢をもたらしてくれます。スムーズな発進はもちろん、1人乗車時では、登坂路でも1.5Lターボとは思えないほどの力強さを体感できるのがうれしいところ。

ウルトラスムーズで適度にダイレクト感も備える9Gトロニック(9速AT)の仕事ぶりに文句はなく、ISGとの組み合わせのスムーズ感は、先代よりもモーターの出力向上もあって増している感があります。

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新型Cクラスのインパネ

なお、0-100km/h加速は7.1秒で、先代C200の「M264」型は8.1秒でしたから1.0秒短縮。さらに、新型のWLTCモード燃費は14.5km/hで、先代の12.9km/Lと比べると1.6km/Lの向上を果たしています。

メルセデス・ベンツも脱内燃機関の流れには乗る形で、2030年のバッテリーEV化を宣言しています。ガソリンエンジン車とマイルドハイブリッドの組み合わせの妙を堪能できる新型Cクラスは、ファンならずともぜひ乗っておきたい仕上がりになっています。

(文:塚田 勝弘/写真:メルセデス・ベンツ、塚田勝弘)