■日産のSUVルーツは/戦後すぐの警察予備隊用車両の民生化から

初代日産パトロール
警察予備隊用車両として開発されたモデルがルーツとなる初代パトロール

日産のクロカン4WD系の歴史は古く、そのスタートは戦後すぐの警察予備隊(自衛隊の前身)用車両の開発から始まります。この警察予備隊車両の開発には、三菱が「ジープ」で、トヨタが「ランドクルーザー(当時は「トヨタ・ジープ」の名を使っていた)で、日産が「パトロール(後の「サファリ」)」で入札に参加しています。

この入札で勝ったのは三菱で、トヨタと日産はそれぞれの車種を民生品として市場投入します。パトロールは海外向けとしては現在も存在し、現行モデルは6代目となります。日本など、道路舗装が進んだ国ではヘビーデューティーなSUVの需要が落ちていることもあり、パトロールは現在は国内には正式導入されていません。

一方、1980年代に起きたRVブームに乗ってさまざまなクロカン4WDが登場します。

なかでも1983年にトヨタがピックアップトラックのハイラックスにFRP製のハードトップを被せたモデルとして登場させた「ハイラックスサーフ」は人気が高く、日産は1986年に同じ手法でダットサントラックベースの「テラノ」を世に送り出します。

初代テラノはラダーフレームのプラットフォームに縦置きエンジンという方式で、1995年に登場する2代目では、エンジンは縦置きのまま、サイドフレーム部分の板圧を上げ、ラダーフレーム並みの断面と強度を持たせたモノフレームボディを構築、2013年にフルモデルチェンジされた現行型テラノ(日本未導入)はモノコックボディに、横置きエンジンとなったのでかなり趣向が変わったと言えます。

トレイルランナー
エクストレイルの起源と言えるコンセプトモデルのトレイルランナー

一方で日産はテラノよりもコンパクトで安価、気軽に乗れるSUVを追求した「エクストレイル」を誕生させます。

初代テラノ
最初は2ドアモデルだけであったテラノ

エクストレイルは1997年にフランクフルトモーターショーに展示した「トレイルランナー」というコンセプトカーから発展したモデルであると言われます。そのトレイルランナーを見ると、かなりオンロード寄りのスタイリングをしてることがわかります。

パトロール(サファリ)やテラノはクロカン4WDの血筋、エクストレイルからがSUVの血筋というようにみていいでしょう。

■エクストレイルとは/オンロードに適応しつつ、オフも忘れないSUV

【初代エクストレイル】

初代エクストレイル
初代エクストレイル。写真のモデルはルーフレール先端にドライビングランプが付いた、ハイパールーフレールを装備している

初代エクストレイルは2000年9月のパリサロンに出展、10月に日本で発表、11月より発売が開始されました。

エクストレイルはモノコックボディを持つモデルで、初代のプラットフォームは2代目セレナや2代目プリメーラに使われたものと共通性があります。全幅は1765mmあり、初代モデルから3ナンバーサイズでした。

搭載されたエンジンは、標準タイプはQR20DE型の直4DOHC自然吸気で、GT(2001年2月発売)には当時の日産2リットル系スポーツユニットとなる直列4気筒ターボのSR20VETが搭載されました。

駆動方式はFF(GTは設定なし)と4WDで、4WDはワンタッチで走行モードをAUTO、2WD、LOCK(前後トルク配分を57:43に固定)に切り替えることができるオールモード4×4が採用されました。

●2000年10月導入時バリエーション&価格(消費税含まず)

・4WD
S QR20DE 4AT 2,000,000円
S QR20DE 5MT 2,000,000円
X QR20DE 4AT 2,200,000円
GT SR20VET 4AT 2,825,000円

・FF
S QR20DE 4AT 1,850,000円
X QR20DE 4AT 2,050,000円

初代エクストレイルリヤ
丸みを帯びた四角いボディを採用していた初代エクストレイル

初代エクストレイルは、以下のような改良やマイナーチェンジなどを受けています。

2001年10月:グレード追加/カブロン&パートナー・コンビシート、キセノンヘッドランプ、マッドガードなどを装備したSt、Xtを追加

2002年10月:グレード追加/防水加工天井、前席ヒーター付専用シート、CD一体AM/FM電子チューナーラジオ+4 PPコーンスピーカー+2ツイーター+1DINリッドを標準装備したStt、Xttを追加

2003年6月:マイナーチェンジ/内外装変更、ハイパールーフレールのオプション設定、カーウイングス対応TVナビシステムのオプション設定など。St、Xt、Stt、Xttの各グレード廃止

2004年5月:グレード追加/キセノンヘッドランプ、前席ヒーター付シート、フロントバンパー組込みフォグランプ、マッドガード、運転席バニティミラーを装備したSt、Xt、を追加

2004年12月:グレード追加/アームレストスルー機構付の大型リヤシートアームレスト、前席ヒーター付シート、キセノンヘッドランプ、インテリジェントキー、後席リラックスモード付ヘッドレストを装備したStt、Xttを追加

2005年12月:一部改良/内外装装備充実化、ヘッドランプレベライザー、ハイマウントストップランプの装備による改正法に適合

2006年11月:一部改良/内外装装備充実化、215/60R17 96Hタイヤ&17インチアルミホイール採用(Xのみ)、マッドガード採用、前席ヒーター付シート、インテリジェントキー、エンジンイモビライザー採用、大型リヤシートアームレスト(アームレストスルー機構付)、後席リラックスモード付ヘッドレスト、シートバック×ポケット(運転席2段、助手席2段)、運転席バニティミラー採用

【2代目エクストレイル】

2代目エクストレイル
シリーズ初のディーゼルエンジンを搭載した2代目のエクストレイル

2007年8月には初のフルモデルチェンジが行われ、2代目に移行します。プラットフォームは3代目セレナなどと共通性のあるものとなります。

2代目エクストレイルはターボエンジンを廃止。4WDは2リットル自然吸気のMR20DEと2.5リットル自然吸気のQR25DEを搭載。FFはMR20DEのみの設定となります。2ペダルモデルのトランスミッションは、従来採用されていた4ATからCVTに変更となり、2.5リットルエンジン搭載モデルは、6速のマニュアル変速機構を持つCVT-M6となりました。

2008年9月、エクストレイルに20GTというグレードが追加されます。新しい20GTはガソリンターボエンジンではなく、M9Rという名の2リットルディーゼルターボとなりました。この20GTは当時のポスト新長期規制に対応したクリーンディーゼルエンジンでした。当初の20GTは6MTのみの設定で、車両価格は299万9850円でした。

●2007年8月導入時バリエーション&価格(消費税込み)

・4WD
20S MR20DE CVT 2,152,500円
20X MR20DE CVT 2,373,000円
20X MR20DE 6MT 2,373,000円
25S QR25DE CVT 2,310,000円
25X QR25DE CVT 2,530,500円

・FF
20S QR25DE CVT 1,995,000円
20X QR25DE CVT 2,215,500円

2代目エクストレイル
2代目までは縦長のリヤコンビランプを採用していたエクストレイル

2代目エクストレイルは、以下のような改良やマイナーチェンジなどを受けています。

2009年4月:仕様、装備変更/一部車種のCVT制御変更等により「平成22年度燃費基準+25%」を達成

2009年12月:グレード追加、仕様変更/Xグレードにフォグランプ、前席ヒーター付シート、後席左右ヒーター付シート、ASCD(オートスピードコントロール装置・4WD車のみ)、マッドガード、リヤシートリラックスヘッドレストを装備したXttを追加。全グレードの内装をブラック化。

2010年7月:マイナーチェンジ/内外装変更。4WD車にアドバンスドヒルディセントコントロールを採用、保温保冷機能付グローブボックスを採用、インテリジェントキー+エンジンイモビライザーを標準装備(20S除く)。20GTに6AT車設定。20GTに18インチアルミホイール採用

2013年1月:グレード追加/20GTから全席ヒーター付きシートや後席リラックスヘッドレスト、ASCDの装備を省略した20GT Sを追加設定。25Xにキセノンヘッドランプとハイパールーフレールを装備した25Xttを追加設定

2013年6月:価格改定/20Sの価格を従来の219万300円から199万800円に改定

【3代目エクストレイル】

3代目エクストレイル
切れ長のヘッドライトが与えられた3代目のエクストレイル

2013年12月にフルモデルチェンジを受け、エクストレイルは3代目に移行します。プラットフォームはCMFと呼ばれるもので、現行エクストレイルやインフィニティQX50などにも使われるものとなりました。

搭載されたエンジンは2リットル直噴のMR20DDのみ、トランスミッションはCVTのみとなりました。このタイミングでガソリンエンジン搭載車は3代目に移行しますが、2リットルディーゼルターボ(クリーンディーゼルエンジン)は2015年11月まで2代目のままで存続されます。

駆動方式はFFと4WDと同じですが、この3代目から3列シートモデルが設定されるのが特徴的です。2015年4月には1モーター2クラッチのパラレル方式のハイブリッドモデルが追加されます。2017年6月には高速道路同一車線自動運転技術「プロパイロット」を搭載。2022年7月にフルモデルチェンジを受け、4代目に移行します。

●2013年12月導入時バリエーション&価格(消費税込み)

・2WD
20X 2列 2,249,100 円
20X 3列 2,319,450 円
20X“エマージェンシーブレーキ パッケージ” 2列 2,326,800 円
20X“エマージェンシーブレーキ パッケージ” 3列 2,397,150 円

・4WD
20S 2列 2,259,600 円
20X 2列 2,449,650 円
20X 3列 2,520,000 円
20X“エマージェンシーブレーキ パッケージ” 2列 2,527,350 円
20X“エマージェンシーブレーキ パッケージ” 3列 2,597,700円

3代目エクストレイル
3代目ではリヤコンビランプが横長となった

3代目エクストレイルは以下のような改良やマイナーチェンジなどを受けています。

2015年4月:ハイブリッドモデル追加/MR20DD」(最高出力:108kW(147PS)/6000rpm、最大トルク:207N・m(21.1kgm)/4400rpm)「RM31」(最高出力:30kW(41PS)、最大トルク160N・m(16.3kgm))

2015年12月:仕様向上/全グレードにエマージェンシーブレーキを標準化

2017年6月:マイナーチェンジ/内外装変更。プロパイロットを20Xと20Xハイブリッドにオプション化、インテリジェントパーキングアシストを全車にオプション化

2019年1月:仕様向上/ハイビームアシスト、日産オリジナルナビ取付パッケージを全車標準装備。踏み間違い衝突防止アシスト機能に前進時歩行者検知機能を追加。20Xグレードは全車にLEDヘッドライトを標準装備

2020年1月:一部仕様向上/インテリジェントFCW(前方衝突予測警報)を全車標準装備。インテリジェントエマージェンシーブレーキにミリ波レーダーを採用し、夜間時での性能を向上。20Xi レザーエディション、20Xi ハイブリッド レザーエディションを設定

2020年10月:一部仕様向上/運転席、助手席にパワーシートを標準装備。マニュアルモード付 CVTを全車標準装備

●4代目エクストレイルの基本概要 パッケージング/先代に続いてCMF-C/Dプラットフォームを採用

エクストレイルフロントスタイル
エクストレイルのフロントスタイル 助手席側から

サファリやテラノはエンジンを縦置きに配置する、FRを基本としたモデルでしたが、エクストレイルは初代から横置きエンジンのFFを基本とするモデルです。

4代目エクストレイルに採用されたプラットフォームは、先代からのキャリーオーバーとなるCMF-C/Dプラットフォームを採用します。ホイールベースも先代同様の2705mmとなります。

このCMF-C/Dプラットフォームは、アライアンスを組む三菱のアウトランダーにも採用されていて、アウトランダーのホイールベースも同じく2705mmです。

エンジンとフロントモーター、EV制御系はボンネット内、バッテリーはフロア下に搭載されます。

ホイールベースは変更されませんでしたが、全長は30mm短縮、全高も20mm低くなりました。ただし全幅は20mm拡大されています。

全長が短く、全高が低くなっているのにもかかわらず、後席のヘッドクリアランスとヒザまわりの広さは拡大しています。先代モデルのハイブリッド車はセカンドシートにスライド機構とリクライニング機構がありませんでしたが、新型のセカンドシートは約260mmの6対4分割スライドとリクライニングが可能となっています。

エクストレイル正面 エクストレイル真横スタイリング エクストレイル真後ろスタイリング

ラゲッジルームの容量は、2列シート車で575リットルで、AC電源ソケットを装備した場合は560リットルとなります。いずれも9.5インチのゴルフバッグ4個の搭載が可能です。3列シート車の荷室容量は140リットルとなります。

エクストレイルフルラゲッジ エクストレイル分割可倒 エクストレイル 定員乗車時ラゲッジ

●エクストレイルの基本概要 メカニズム/1.5リッター3気筒可変圧縮比エンジンとe-POWER & e-4ORCEの組み合わせ

新型エクストレイルの最大の特徴といえるのが可変圧縮比エンジンとe-POWER & e-4ORCEの組み合わせです。e-POWERは「イーパワー」、e-4ORCEは「イーフォース」と読まれます。

エクストレイルエンジン
可変圧縮比のVCターボエンジンとシリーズハイブリッドを組み合わせたエクストレイルのパワーユニット

エンジンはさまざまな要素を可変することで、より燃費のいい出力、よりトルクの発生できる出力、など出力特性を変更できます。そのため、点火タイミング、燃料の供給タイミング、吸排気バルブの開閉タイミングなどを可変するシステムを追求してきました。

そうしたなか、長期に渡って研究開発されていたものの、なかなか実用化に至らなかったのが圧縮比の可変ですが、日産は可変圧縮システムを開発し、そこにターボを組み合わせたVCターボというエンジンを実用化しました。

エクストレイルに搭載されたKR15DDT型エンジンは、圧縮比を8.0〜14.0の間で変化させ、運転領域にあった出力特性を得ています。最高出力は144馬力、最大トルクは250Nmとなります。

エクストレイルは、こうして得られたエンジンの出力をそのまま駆動輪に伝えるのではありません。エンジンはあくまで発電用で、このエンジンで得られた電力を使ってモーターを駆動します。

FFモデルのフロントモーターは150馬力/330Nmで、4WDモデルはこのフロントモーターに136馬力/195Nmのリヤモーターが組み合わされます。モーター出力は精密に制御されますが、とくに4WDの場合は前後のモータートルクコントロールと4輪独立ブレーキ制御を行うe-4ORCEという機構によって、4輪の駆動力を制御してクルマをキビキビと、または安定して走らせるようになっています。

エクストレイル インパネ斜め
機能的であり、プレミアム感も高いインパネまわり

●日産エクストレイルG e-4ORCE主要諸元
・寸法
全長×全幅×全高(mm):4660× 1840 × 1720
ホイールベース(mm):2705
トレッド フロント/リア(mm):1585/1590
・エンジン
排気量(cc):1497
圧縮比:8.0-14.0
最高出力(kW〈ps〉/rpm):106〈144〉/4400-5000
最大トルク(Nm〈kgm〉/rpm):250〈25.5〉/2400-4000
燃料タイプ:レギュラーガソリン
燃料タンク容量(L):55
・フロント電気駆動モーター
冷却システム:水冷方式
最高出力(kW〈ps〉/rpm):150〈204〉/4501-7422
最大トルク(Nm〈kgm〉/rpm):330〈33.7〉/0-3505
・リヤ電気駆動モーター
冷却システム:水冷方式
最高出力(kW〈ps〉/rpm):100〈136〉/4897-9504
最大トルク(Nm〈kgm〉/rpm):195〈19.9〉/0-4897
・駆動用バッテリー
化学成分:リチウムイオン
容量(Ah):-
セル数:-
・トランスミッション:-
・ドライブトレイン:4WD
・燃料消費率(WLTC km/L):18.4
・シャシー
サスペンション(F/R):ストラット/マルチリンク
タイヤサイズ:235/55R19 101V
ホイールサイズ:19×7.5J
ブレーキタイプ(F/R):ベンチレーテッドディスク/ベンチレーテッドディスク

●4代目エクストレイルのデザイン/タフギアのコンセプトをより明確に

エクストレイル スタイル
洗練されスタイリッシュになった新型エクストレイル

エクストレイルは歴代に渡って「タフギア」というコンセプトが与えられています。これはそのまま「堅牢な道具」という意味で、使い倒せるようなしっかり感が与えられています。

SUVらしいしっかりと切り立ったパネル構成となっていますが、よく見るとボンネットは左右のサイド部分をグッと盛り上げた力強い造形を採用。同様にルーフパネルにもプレスラインがあしらわれ、単調になりがちなルーフまわりの形状に変化を与えています。

エクストレイルリヤスタイリング
エクストレイルのリヤスタイリング

フロントまわりは日産のデザインアイデンティティであるVモーショングリルを採用。グリル外側にはメッキモール、その内側にはブラックのガーニッシュを取り付けるなどシックで高級感あふれるものとなっています。

エクストレイル インパネ
クロスカントリーランでの使い勝手もいい水平基調のインパネ

しっかりとしたフロアコンソールを備えるインパネは、現代的なスイッチ類などで構成されるものの、全体としてのイメージは日産のSUVらしい堅牢さが漂ってきます。ダッシュパネルは水平に配置され、オフロード走行時の見切りをよくしています。

試乗車はテーラーフィットという合成皮革のシートが採用されていましたが、合成皮革感はほとんどなく革シートのような風合いを実現していました。

テーラーフィットは手入れが非常に簡単なのも特徴です。インテリア全体は高級感にあふれるものですが、じつはハードな使い方をしてもメインテナンスなどが楽な「タフギア」の性能が盛り込まれているのも大きな特徴といえます。

●4代目エクストレイルの走り/3気筒感はまるでなしの上質さ

エクストレイル走り
1.5リットル3気筒エンジンとは思えない上質な走りを披露したエクストレイル

エクストレイルという車格のクルマがモデルチェンジを経て進化していき、やがては3気筒エンジンを積むモデルになるなんて、かつてのモデルに乗って来た人は予想にもしないことだったでしょう。昔の考え方でいえば、エンジンは気筒数が増えることが上級へのステップであったし、少なくとも排気量のアップは必須でした。

しかし時代が変わるとその手法も変わるものです。エクストレイルの3気筒化とe-POWER化はエクストレイルに上級さを与えたことは間違いのない真実です。

発進から一般道における中間加速は申し分のないレベルで超快適。モーター発進の最大の利点はもたつき感のなさですが、大人2名が乗っておそらく2トンを超えている車重でありながら、じつにスムーズにクルマが動き出します。

330Nm+195Nmのモーターでの発進と考えれば当たり前のことですが、1.5リットル3気筒エンジンでの発進と考えると驚き以外のなにものでもありません。

また、フル加速時はエンジン回転の上昇と速度の上昇がシンクロしている部分も乗っていて気持ちのいいところです。ハイブリッド車やEVではアクセルペダルをゆるめると減速するときにエネルギーを回収する回生ブレーキが働きますが、エクストレイルでは回生ブレーキ時のボディの安定感もよく、電動車らしい走りを快適に行うことができます。

また、e-4ORCEの働きによってコーナリング時の回頭性のよさがありますが、加えてクリッピングを過ぎてからアクセルを踏んでいった際の安定方向への矯正(ヨーの収まり)もよく、安心感にあふれるドライブができます。

エクストレイル タイヤホイール
上級グレードのGは235/55R19サイズのタイヤを履く

高速道路では静粛性も高く、定評あるプロパイロットによって快適なクルージングが可能です。エクストレイルのプロパイロットはナビリンク付きで、ナビの地図情報を元にカーブやジャンクションに適応した制御が行われます。

プロパイロット2.0のように手放し運転ができるわけではありませんが、制御が緻密でとても快適です。そもそも手放し運転は設定できる速度とリアルワールドでの速度との乖離があり、使いにくい面もあります。巡航中の静粛性も乗り心地もよく、長距離ドライブにもマッチする上質さにあふれています。

●4代目エクストレイルのラインアップと価格/FF、4WDでそれぞれ3グレード設定

エクストレイル スタイル
大自然のなかが似合うエクストレイル

現在エクストレイルには、1.5リットル3気筒エンジンを搭載するシリーズハイブリッドのe-POWERをパワーユニットとするモデルのみが用意されています。

基本は2列シート5名定員で、FFモデルはボトムからS、X、Gの3種。4WDモデルはS e-4ORCE、X e-4ORCE、G e-4ORCEの3種となります。このうちX e-4ORCEにのみ3列シート7名定員モデルが設定されます。

FFと4WDの価格差は約20万〜約30万円、3列シートは2列シートに比べて約13万円高くなります。

装備はおおむねFFと4WDのグレードで共通です。プロパイロットはXとGに標準で、Sには装着不可。SとXは18インチアルミホイール、Gは19インチアルミホイールとなり、18インチモデルに19インチのオプション設定はありません。ルーフレールはXとGにオプション設定となります。シート地はSとXがファブリックで、Gがテーラーフィット、Gのみがナッパレザーの革シートを選ぶことができます。

なお、エクストレイルは寒冷地仕様が標準装備となるので、ヒーター付きドアミラー、リヤヒーターダクト、全席ヒーター付きシート、後席左右ヒーター付きシート、ステアリングヒーター、高濃度不凍液、PTC素子ヒーターが標準となります。

【価格表】
・2WD KR15DDT+BM46(e-POWER)搭載車
S [2列] 3,198,800円
X [2列] 3,499,100円
G [2列] 4,298,800円

・4WD KR15DDT+BM46-MM48(e-POWER)搭載車
S e-4ORCE [2列] 3,479,300円
X e-4ORCE [2列] 3,799,400円
G e-4ORCE [2列] 4,499,000円
X e-4ORCE [3列] 3,930,300円

エクストレイル価格表
エクストレイルの価格表



●4代目エクストレイルのまとめ/完成度の高いSUV

エクストレイル フロントイメージ
2段構えのヘッドライトとVモーショングリルが特徴的なエクストレイル

今やSUVの市民権は確立され、セダンに代わる車型となったといえるでしょう。今やクルマの基本型がSUVという雰囲気すらあります。

移動体としての万能性を考えると、荷物がたくさん搭載でき、乗車人数も稼げるミニバンが優位となりますが、乗り心地やハンドリングまでを考えるとSUVの優位性が光ってきます。

そうした乗り心地やハンドリング性能が欲しいユーザーにとって、エクストレイルはまさにピッタリのモデルだといえるでしょう。

駆動力を電動化したことによって、発進の力強さを獲得できたことはもとより、制御が緻密に行えるようになったため、アクセルを緩めたときの減速感やそのときの姿勢も理想に近づいています。路面をしっかりつかみ車体の大きさを感じさせずにクリアしていくコーナリングなども、クロカン4WDと言われていた時代のSUVとは一線を画す仕上がりです。

エクストレイルは電動車のいい部分を存分に味わうことができるうえで、バッテリーEVのように充電に時間が掛かるというネガティブな部分がありません。エクストレイルのe-POWERは、すべての駆動トルクがモーターから供給されているのですが、まるでエンジンで走っているような感覚を感じる部分も取っつきやすいところです。エクストレイルのe-POWERならば、EVのような充電待ちもなく、それでいて電動車のいい部分を味わうことができます。

エンジン車からEVに移行していく過渡期にあたる現在においてはさまざまなアプローチがあります。エクストレイルのアプローチはそのなかで、ひとつの正解だといえるでしょう。

(文:諸星陽一/写真:諸星陽一、小林和久)