■ガソリンエンジンのV8 NAは、これで最後。「レクサスIS500、最高だ!」by清水和夫
●レクサスが本気出して作ったからこそ、「オレも欲しい1台に仕上がってるね」

3年半ほど前、私が初めてレクサスのV8エンジンに触れた時、サーキット試乗だったこともあり、その第一印象は「レクサスの異端児!」でした。高級志向のレクサスの中にあって、ISやRCFに搭載されるV8エンジンは、ドロドロと雄叫びを上げながら力強い走りを見せ、『カッコいい不良』…、そんな印象を持ちました。
今回、国際モータージャーナリスト・清水和夫さんが試乗したIS500“F SPORT Performance”も、まさにそんな『優秀な不良』魂が引き継がれているようです。
●レクサス最後のV8!だろうな、きっと

ハイ! レクサスIS500“F SPORT Performance”、V8! ついに出会うことができました。NAのV8…ひょっとしたら、レクサス最後のV8なのかな。そんな気がしています。
もう今ね、「エンジン車は最後だ!」とばかり、なんかやたら売れているんだよね。GRのヤリスやカローラもそうなんだけど、マツダ・ロードスターとか日産・フェアレディZとかね。「EVの時代でエンジンが無くなる〜!」と思うと、みんな駆け込み寺みたいにエンジン車を買い漁っていますよね。
とにかくエンジン車が今、一番人気がある『変な時代』ですね。EVの時代になりそうなので、エンジン車が逆に人気が出ているっていう感じで。
●コンパクトボディにV8、かつボディ剛性は最高だよ!
このIS500はかなりコンパクトなボディなんですけど、このフロントコンパートメントにV8エンジン…コレ、多分ヤマハ製だと思うんだけど…が押し込められていますね。
お〜〜〜! 気持ちイイな♪

やぱねぇ、レクサスの2.4Lターボもいいんだけど、でもターボってなんか味気ないっていうか。アクセル踏むとガーーーン!っていくんだけど、伸び感がないんだよね。最初にドーーーン!とヘリコプターで山の上に連れて行ってくれるような感じで、山の稜線を駆け上がるような感じの加速感が無いっていうのが、ターボの欠点かな。
電気(EV)はもっと、垂直の壁をピョン♪と登っていくような感じ。
NAはやっぱりこう、なだらかな稜線。ただこれ、パワーがあればその傾きがかなりきつくなっていくんですけどね。
スロットルで微妙なトルクが使えますから、多段ギヤと組み合わせていくと、やっぱりNAエンジンっていうのはイイね。
けっこうサスは固めだけど、ダンピングがいい。ISはちょっとBMWに近いかな。今、国産の中で一番BMWっぽいのは、このISじゃないかな。むしろ、スープラ(90型)がBMWベースで作ったんだけど、ちょっとBMWから離れちゃったような感じがしますけど。
●同じFRの86/BRZとは全く別物!
おぉ〜〜〜! この音♪
まぁ、フェラーリのV8はもっといい音するんだけどね♪

専門的な話をすると、V8はシングルプレーン(フラットプレーンとも言う)とクロスプレーンってのがあって、シングルプレーンのほうが吹け上りがいいんだけど、振動とか考えるとクロスプレーンのほうが乗用車、高級車には使われていますね。
いや〜けっこういいなぁ! コレ、いくらなんだろ?(←850万円です)
乗り心地も悪くないんだよね。ステアリングも正確だし。FRでみたら、86/BRZよりやっぱりレクサスのほうが完成度は高い。このプラットフォーム、もったいないよね、無くしちゃうの。
あ、無くなんないか!
●最後尽くしのIS500“F SPORT Performance”パッケージ!
最後のFRプラットフォーム、最後のV8エンジン! なんてことを考えると、このIS500“F SPORT Performance”は『買い』ですね!
NA、V8、4ドアセダン。全部、絶滅危惧種指定のパッケージなんだけど、逆にいうと、こんなに欲しくなるクルマっていうのも最近では珍しいね。

電気? 一切ありません!
ターボ? 一切ありません!
ヘンテコリンなクーペでもありません!(←コラッ)
3ボックスです!
イイじゃないですか、IS500♪
●ターボには無いV8 NAの気持ち良さはやっぱり代えがたい!
でもね、残念なのは、これは最後のV8、最後のNAエンジンになりそうなんだよね。だから、まぁそうだなぁ、ターボにして排気量下げて燃費、っていうのもあるんだけど、やっぱりVバンクのエンジンの雄叫びっていうのはイイですね。
どうしてもV8っていうとフェラーリのV8が頭に浮かぶんだけど、最近はマクラーレンもフェラーリもみんなターボにしちゃったから。NAのV8って、昔のポルシェのGTS、パナメーラに乗っかってた凄くいいV8があったんだけどね。
やっぱりV8ですよ、V8! ウン!!(しみじみと)

コレ、足腰がね、凄く剛性が高いんです。トヨタで最初にナットからボルトにしたのが、このIS(ハブ)。その後、EVもボルトにして…リコールになったりしていましたけど。
足元がカチッとしていてすごく固いんだけど、ブルブルっていう振動が無いから、ダンピングがイイ。
こんなに良いFR、無くしちゃうの!?っていう感じ。
確か、このISのプラットフォームは新しいFRのプラットフォームじゃなくて、前のISのプラットフォームを受け継いでいるんですね。だからある意味、磨き込んだFRということ。
トヨタのFRといえば、90年代だっけ、80のスープラってありましたよね。サイドのロッカーが分厚くて、ボディ剛性が高くて。あの後、なんか量産性とかコストを考えて、マークIIとかちょっとヘンテコリンなFRになっちゃったんだけど(あ〜また、コラ!)。昔の80スープラを思い出すくらい、これは良いFRですね。
86/BRZ、これも頑張ってはいるんだけど、やっぱりレクサスが本気出して作ったこのISのFRプラットフォームは、もう熟成されたボディ。それにV8エンジンが載っかった。
ということで、絶滅危惧種指定なんだけど、絶対に欲しくなるクルマの1台でした!
心の声がダダ洩れしちゃっている、このレクサスIS500“F SPORT Performance”試乗動画。すべてのインプレッションは動画を視てくださいね!

【SPECIFICATIONS】
車名:レクサスIS500 “F SPORT Performance”
全長×全幅×全高:4760×1840×1435mm
ホイールベース:2800mm
トレッド(前/後):1580/1570mm
車両重量:1720kg
乗車定員:5名
エンジン種類;V型8気筒
内径×行程:94.0×89.5mm
総排気量:4968cc
エンジン最高出力:354kW(481ps)/7100rpm
エンジン最大トルク:535Nm(54.6kgm)/4800rpm
燃料タンク容量:66L
駆動方式:後輪駆動
ミッション:8速AT
サスペンション形式(前/後) :ダブルウイッシュボーン/マルチリンク
ブレーキ(前/後):ベンチレーテッドディスク/ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ(前/後): 235/40R19/265/35R19
車両本体価格(税込):8,500,000円
(試乗:清水 和夫/動画:StartYourEnginesX/アシスト:永光 やすの)