■HEVのパワートレーンを第5世代に刷新

現行カローラ クロスのエクステリア
現行カローラ クロスのエクステリア

2020年7月にアジア市場へ先行投入後、2021年9月に専用意匠のフロントマスクで国内導入されたカローラ初のSUV「カローラ クロス」。

スタイリッシュな外観に加え車両価格が200万円台に抑えられたことで、発売翌年の2022年にはカローラシリーズの約45%を占めるほどの人気モデルとなり、同年に国内で約5.9万台を販売するなど、月販目標台数である4,400台を上回る好調ぶりを示しました。

ガソリン仕様も設定されていますが、販売台数の約8割をHEV(ハイブリッド)仕様が占めている状況。

●今秋のマイナーチェンジで受注を再開

現行カローラ クロスのリヤビュー
現行カローラ クロスのリヤビュー

販売の核となるHEV仕様は人気の高さに加え、半導体などの部品不足が重なり、1年以上の納車待ちが続く状況になっています。

そのため、トヨタ自動車は2022年5月末からHEV仕様の受注を停止しており、ガソリン仕様についても同年10月末から受注を停止しました。

現行カローラ クロスのエクステリア
現行カローラ クロスのエクステリア

各種情報によると、これらの処置は2023年9月頃に予想されているマイナーチェンジに向けたもので、それまでの間に数万台レベルで溜まっているバックオーダーを消化する考えのようです。

マイチェンではパワートレーン刷新のほか、内外装意匠を変更。新グレードや新ボディカラーの設定などによる商品ラインナップ強化が図られる模様で、これを機に受注が再開されるようです。

●カローラシリーズの改良を反映

一方、2022年10月3日には国内向けカローラシリーズの一部改良が図られました。

パワートレーンを刷新したカローラシリーズ
パワートレーンを刷新したカローラシリーズ

対象となったのはカローラ(セダン)、カローラ スポーツ、ツーリングの3モデルで、HEVには第5世代のハイブリッドシステムを搭載。

現行カローラ クロスのパワートレーン(HEV)
現行カローラ クロスのパワートレーン(HEV)

バッテリー容量が3.6→4.08Ahに拡大され、1.8L直4エンジン(98ps/14.5kgm)に組み合わされるフロントモーターの出力を72ps/16.6kgmから95ps/18.9kgmへとパワーアップ。

これにより、システム最高出力が122psから140psへと向上しており、軽やかな発進と伸びやかな加速を実現しています。

現行カローラ クロスの1.8L HEV用エンジン
現行カローラ クロスの1.8L HEV用エンジン

E-Four(4WD)についてもリヤモーターの出力が7.2ps/5.6kgmから41ps/8.6kgmへと大幅に向上しており、4WDの作動領域やリヤへのトルク配分を拡大することで滑りやすい路面での安心感が増すと共に、ドライ路面での力強い発進や旋回時のライン・トレース性が向上。

これらのパワートレーン改良がカローラ クロスHEVのマイチェン仕様に反映されることになります。

●カローラシリーズ改良版の動力性能は?

スズキ スウェイスのエクステリア
スズキ スウェイスのエクステリア

余談ですが、スズキが2023年2月20日(現地時間)、欧州向けにトヨタから供給されているカローラ ツーリングをベースにしたOEM車「スウェイス(Swace)」の2023年モデルを発表しました。

スズキ アクロスのエクステリア
スズキ アクロスのエクステリア

同社は2019年3月にトヨタ自動車と結んだ資本提携に基づき、欧州におけるCO2規制クリアに向け、2020年7月にRAV4 PHVをベースにしたOEM「アクロス(ACROSS)」を発表。

続いて同年9月に第2弾として発表したのが「スウェイス」となります。

一方のトヨタ自動車はスズキの発表から 1週間後となる2023年2月27日(現地時間)に欧州向けカローラシリーズの2023年モデルを発表しました。

欧州向けカローラシリーズ2023年モデル
欧州向けカローラシリーズ2023年モデル

前述の国内向け改良を欧州モデルに適用したもので、HEV仕様の0-100km/h加速タイムは1.8秒短縮となる9.1秒となっており、カローラ クロスのマイチェン仕様においても同様の性能向上が期待できます。

ちなみに車両価格についてはパワートレーンのほか、安全性能向上や次世代マルチメディア搭載などにより、10万円程度の車両価格上昇が予想されています。

今後、カローラ クロスの購入を検討している場合、本年8月前後に開始されるマイチェン車の“先行予約”を活用するのが早期納車への近道となるかもしれません。

(Avanti Yasunori)