今年のインドネシアショーで最も気合の入った展示をしていたのはダイハツだ。

ダイハツはアメリカやヨーロッパの市場から撤退し、海外戦略はインドネシアやマレーシアを中心にした東南アジアにフォーカスしており、中でもインドネシアは歴史的にダイハツが高いシェアを誇る市場である。

そのため日本から今年6月に社長に就任したばかりの奥平総一郎社長がジャカルタ入りしてモーターショーのプレスカンファレンスでプレゼンをするなど、意欲的な姿勢を見せていた。

また2台のコンセプトカーを世界初出展していたのもポイントで、ほかのメーカーが市販車またはその派生車種を中心にした展示だったのに対し、ダイハツの意欲的な展示が際立っていた。

コンセプトカーの1台はDNマルチシックスと呼ぶクロスオーバーMPV。ダイハツはインドネシアでベストセラーのセニアとシグラという2車種のクロスオーバーMPVをラインナップしているが、これに続く新しいカテゴリーのFF方式のMPVだ。室内には3列シートが配置され、ウォークスルーが可能な広々とした空間が確保されている。

左右のドアが観音開きになっている点などは、市販車に反映される可能性は低いが、成長するインドネシア市場に合わせてMPVのラインナップを拡充することは十分に考えられ、そのスタディモデルとなる可能性は高い。

もう1車種はDN Fセダンで、こちらは見た目はアルティス級に見えるような印象ながら、ダイハツによるAセグメントに属するハッチバックセダンとのこと。サイズも全長4200mm×全幅1695mmという「5ナンバーサイズ」だ。やはり左右のドアが観音開きになっているのはコンセプトカーの「お約束」といったところ。

MPVが中心のインドネシアではセダンの販売比率は低いので市販車として販売される可能性はあまり高くはないが、現在のアストラ・ダイハツのラインナップにはないクルマなので、コンパクトカーのアイラの上級に位置するモデルとして、新しい市場の可能性を探る意味でコンセプトカーを出展したようだ。

新市場を探るという点では、今年の東京オートサロンに出展されていたムーヴ・キャンバス・スポルツァと、トール・グランドカスタムというカスタマイズカーを出展していたのも注目されるところ。インドネシア市場の発展に従って3列シート車とは違うパーソナルカーを志向するユーザーが増えるとみての参考出品だ。

ダイハツのブースにはほかにもいろいろな市販車が展示されていたが、市販車はいずれも110周年記念の特別仕様車とされていた。ダイハツの誇る長い歴史を強調する展示である。

(村木哲郎)