1982年11月25日早朝4時、茨城県・日本自動車研究所・高速試験路、通称:谷田部に集結した22台のチューンドマシンたち。が、筑波山から吹き降ろされる強風には勝てず、勇猛果敢なプロレーサーでさえ、シートを降りたほどの悪天候。

そこで立ち上がったDai稲田! そう、この日が「最高速テストドライバー:稲田大二郎」誕生の瞬間だった! Daiちゃんによる谷田部最高速テストや海外最高速チャレンジのスタートが、この日からスタートしたのです。

そんな記念すべき谷田部・最高速テストを、【その1】から見てきましたが、この日のテスト報告は今回【その6】でラストです。チューニングメーカーはもちろん、関西の根性パワーにも注目です!

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JUNオートメカニック・ニューZ 3434cc
230.03km/h

オリジナルクランク削り出しに成功し、完成したL型3.5L。L型の最大排気量だ。

[エンジン]排気量:3434cc/ボア・ストローク:90.0×90.0/ピストン:JUN SPL鋳造/コンロッド:JUN SPL/カムシャフト:JUN SPL78度/クランク:JUN SPLクロモリ/バルブ:IN46.5φ EX37.5φ/キャブレター:ソレックス50φ/圧縮比:− [サスペンション]Fコイル:ハヤシテーパー/Fショック:GAB/Rコイル:ハヤシテーパー/Rショック:GAB/ブレーキ:フェロードパッド [タイヤ]F:P7 195/50VR15/R:P7 225/50VR15 [ギヤ比]トップ:0.852/ファイナル:3.700

カーショップF-1 240ZG 3096cc
225.00km/h

アルミ鍛造ピストンつこうて、11.5の圧縮ですわ! 記録更新、間違いなしや!(F-1・源さん)

[エンジン]排気量:3096cc/ボア・ストローク:89.0×83.0/ピストン:アルミ鍛造オリジナル/コンロッド:軽量バランス/カムシャフト:加工76度/クランク:タフトライド処理/バルブ:IN45.5φ EX36.5φ/キャブレター:ソレックス50φ/圧縮比:11.5 [サスペンション]Fコイル:レース用オプション/Fショック:レース用オプション/Rコイル:レース用オプション/Rショック:レース用オプション/ブレーキ:4ポッドキャリパー [タイヤ]F:P7 205/50VR15/R:P7 225/50VR15 [ギヤ比]トップ:0.752/ファイナル:3.700

クリスタルオート&ユアーズスポーツRX-7 13Bペリターボ
201.39km/h

クリスタルオートのRX-7は上方移動させたユアーズ・チューンのペリフェラルポート+ターボ。オーナーによればターボとのマッチングはすでに取られているという。あとはターボ自体のチューニング段階に移っている。今回はロータリーの高排気温度、高回転に耐えうるKKK製K27、3064G、11.11を使用している。これにウェーバー48IDAを使用し、ジェットの大きさを変更して増量させている。そのため低回転ではかぶり気味だが、高回転ではマッチングするようになっている。

また、ウエイストゲートにはKKK製大容量Bタイプを使用し、0.9kg/cm2のブースト圧を持つ。インタークーラーにはシグマ製水冷を使用する。そのためボンネットは外気が取れるように、マツダ254用のエアダクト付きも使用するアイデアがある。結果は、高回転時のストール現象により不発だった。

[エンジン]ユニット:13B/ポート:ペリフェラルポート/キャブ:ウェーバー48IDA/マニホールド:シグマ鋳造/チャンバー:シグマ/タービン:KKK K27/3064G/11.11/ウエイストゲート:シグマBタイプ/インタークーラー:シグマ水冷 [サスペンション]Fコイル:ハヤシテーパー/Fショック:ハヤシオイル式/Rコイル:ハヤシテーパー/Rショック:ハヤシ8段/ブレーキ:フェロードパッド [タイヤ]F:P7 195/50VR15/R:XDX 205/70VR13 [ギヤ比]トップ:0.825/ファイナル:3.727

RE雨宮RX-7 12Aターボ
−−−km/h

12Aサイドポート+シングルターボの雨宮RX-7。タービンはHKS製スペシャルタービン。エンジンは12Aサイドポートチューン。ブーストは1.2kg/cm2まで高められ、ロータリーとしては異例である。

というのは、圧縮比を変更できないというのがロータリーの最大のネックだからだ。1.2kg/cm2のブースト圧に耐えるということは、1.新型ローター、2.マル秘雨宮チューン、あるいは3.ノーマルでも耐えられる…という3点が考えられるが、現時点では公表されていない。

この高ブーストで走行するには燃料セッティングがさらに難しくなる。そのため、オリジナルのジェット製作をしたのだが、セッティングが合わず不発に終わった。

[エンジン]ユニット:12A/ポート:サイドポート/キャブ:ウェーバー48IDA/マニホールド:HKS鋳造/チャンバー:HKS/タービン:エアリサーチT04/ウエイストゲート:HKSレース用/インタークーラー:HKS空冷 [サスペンション]Fコイル:ノーマルカット/Fショック:オリジナル加工/Rコイル:ノーマルカット/Rショック:スポーツキット/ブレーキ:フェロードパッド [タイヤ]F:P7 205/55VR16/R:P7 205/50VR16 [ギヤ比]トップ:0.825/ファイナル:3.700

トラスト・セリカXX2800GTターボ
−−−km/h

市販のキットパーツを一切使用せず、完全にプライベートでチューニングしてある。すでに276.92km/hという記録をマーク、更にパワーアップしており、ベンチテストで365psという高出力を1.24kg/cm2時に達成している。

ターボチャージャーはKKKのK26レース用(2970U)をツインでトラスト製タコ足タイプのマニホールドに装着。ツインターボ化すると当然、吸気量も増加するために、ノーマルのエアフロメーターでは空気量が不足してしまう。トラストの場合は思い切ってエアフロメーターもツイン化してしまった。実際にコンピューターに結線されているのは1個だけで、片方は単なるエア取入口として利用するアイデアだ。エアフロメーターは燃料の量を決定するだけだから、これでもいいわけである。

エンジンはノーマルボアにアメリカのアリアス社製のターボ用鍛造ピストンを組む。冷間時のピストンクリアランスが大きく、完全なレース用パーツである。このほか、ポート加工・研磨している。カムはトラスト製の252度加工カムだ。

燃料増量は水温センサーとスロットルポジションセンサーを利用、ブースト1.0kg/cm2時で自動的に増量するシステムを使用する。

ツインターボのトラスト。パイプの引き回しが若干苦しい。ラジエターはソアラターボ用の3層。GESCOのCDIが見える。

[エンジン]排気量:2759cc/ボア・ストローク:83.0×85.0/ピストン:アリアス鍛造レース用/カムシャフト:トラスト/クランク:タフトライド処理/燃焼室+ポート:加工・研磨/圧縮比:7.5:1/タービン:KKK K26/2970Uツイン/ウエイストゲート:HKSツイン/インタークーラー:HKS空冷/EXマニホールド:トラスト・タコ足/燃料増量装置:トラスト [サスペンション]Fコイル:TRD加工/Fショック:TRDガス/Rコイル:TRD加工/Rショック:TRD8段/ブレーキ:フェロードパッド [タイヤ]F:NCT225/50VR15/R:NCT235/60VR15 [ギヤ比]トップ:0.783/ファイナル:3.145 [エアロ」フロント:FRPスポイラー/リヤ:FRPスポイラー/サイド:FRPスカート

HKSセリカXX2800GTターボ
264.70km/h

フルワークスチューンのHKS 5M-Gは2mmオーバーサイズの2892ccにボアアップし、エアリサーチT04タービンを搭載する。公表データによればカム、バルブ、腰下などのパーツはすべてノーマルとのことだ。

HKSチューンの特徴はなんといっても複雑な燃料系のコンピューターチューニングにある。毎回、各種の増量装置をセットして谷田部に登場するが、今回も調整ダイヤルを多数装着していた。その詳細は不明だが、水温センサー利用のチョークによる増量だけではなく、吸気温センサーやスロットルポジションセンサーも使用した多角的なもので、コンピューターも専用のものが開発されている。このノウハウはすべて秘密のベールに包まれたままだが、いずれ増量用コンピューターとしてキットにもボルトオン装着できる市販システムが登場するはずだ。

また、スロットルボディをチャンバーから離し、チャンバー自体も加工している。シングルターボにもかかわらず、1.4kg/cm2のフルブーストに5000rpm以下で達するというレスポンスの良さも、このあたりのモディファイに秘密があるのではないだろうか。いずれにしても、最も高度なチューニングを受けた5M-Gが、このHKSユニットと言えるだろう。

[エンジン]排気量:2892cc/ボア・ストローク:85.0×85.0/ピストン:HKS鍛造/カムシャフト:ノーマル/クランク:タフトライド処理/燃焼室+ポート:秘加工/圧縮比:秘/タービン:エアリサーチT04/ウエイストゲート:HKSレース用/インタークーラー:HKS空冷レース用ツイン/EXマニホールド:HKS鋳造/燃料増量装置:HKSフューエルコンピューター [サスペンション]Fコイル:強化型/Fショック:コニ/Rコイル:強化型/Rショック:コニ/ブレーキ:HKS大容量ベンチレーテッド [タイヤ]F:HFD205/50VR16/R:XWX225/70VR15 [ギヤ比]トップ:0.783/ファイナル:3.583 [エアロ」フロント:FRPエアダム/リヤ:アルミ&FRPウイング/サイド:FRPスカート

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さすがの大チューニングメーカーHKSは、コンピューターチューンの先駆者だけあり、この時代にすでに始まっていますね。はたまた「コイル=ノーマルカット」なんて、懐かしくて微笑ましい(?)ワザまで!

そんな時代を経て、いよいよ300km/h時代へと突入していく雰囲気満載の1982年の谷田部・最高速テストでした。さて、次は・・・!

[OPTION 1983年2月号より]

(Play Back The OPTION by 永光やすの)