ホンダのグローバルモデルとしてCセグメントを担ってきたシビックが日本市場に再挑戦。9月29日の発売から累計で1.2万台の受注を集めるなど、好調なスタートダッシュを切っています。

1.5リッターターボのセダンとハッチバック、2.0リッターターボのタイプRと3つのバリエーションをラインナップする新型シビック。初期受注の内訳を見ると、約半分がハッチバックで、そのうち35%がMTといいます。タイプRのようなスポーツカーではなく、日常的なモデルをMTで操りたいというユーザーニーズが集まっているようです。

そんな新型シビック・ハッチバックのMTモデルに試乗することができました。

試乗したのは長尾峠〜箱根スカイライン〜芦ノ湖スカイラインというワインディングロードを中心としたコース。速度的には2〜3速で事足りますが、減速・旋回・加速を繰り返すシチュエーションでの試乗となりました。

まずは、グローバルで10代目となる新型シビック・ハッチバックのプロフィールから紹介しましょう。

セダンは日本で作られますが、ハッチバックはイギリスからの輸入車。エンジンは1.5リッターの4気筒直噴ターボで、6速MTとCVTが設定されています。6速MTのギア比はレシオカバレッジで約5.3と、いまどきのトランスミッションとしてはタイト。つまり、クロス気味のギアレシオになっているといえます。

サスペンション形式はフロントがストラット、リヤがマルチリンク。タイプRで使うことを前提にゼロから開発されたという新世代プラットフォームを採用しています。日本仕様のハッチバックは18インチタイヤ(試乗車はグッドイヤー・イーグルF1)を履いています。

さらにマフラーがセンター出しになっているのも印象的。ベーシックなCセグメントのハッチバックというキャラクターもありながら、ホンダらしい、シビックらしいスポーティさも目指していることが、その外観からも伝わってくるのです。

最大トルク240Nmと6速MTを組み合わせたシビック・ハッチバック、ワインディングでは余裕のトルクでハンドリングを味わえることだろうと期待が高まります。

短くなく、長くもない、ちょうどいい按配のシフトストロークを確認、軽めのクラッチを踏み込んでからエンジンをスタート。そのまま長尾峠を走り出します。

その第一印象は「まっとうなFFに仕上がっている」というもの。リヤはマルチリンクですが、パッシブステアなど違和感のある制御はなく、しっかりとストロークして接地することを優先しているといった味付け。減速してステアリングを切リ込み、立ち上がりでアクセルを踏み込むといったオーソドックスな操作に対して、しっかりと結果を残してくれるシャシーに仕上がっています。長尾峠は右に左に切り返すコーナーが続きますが、そうしたシーンにおいても車体の反応遅れは感じません。

そして、メーター中央のインフォメーションディスプレイをブースト計モードにして確認しましたが、ターボエンジンはブーストが立ち上がる前から十分にトルクがあって乗りづらさはありません。とはいえ、過給の立ち上がりレスポンスには若干のラグを感じます。メーターの表示を見ている限り、アクセルを踏んでからワンテンポあってブーストが一気に盛り上がっていくといったキャラクター。

ステアリングを切った状態で2速でブーストが立ち上がると、イン側のタイヤが空転するほど。FFらしく減速と加速のメリハリをはっきりつけた運転がマッチしそうな印象を受けました。

こうしたフィーリングには、コーナリング時にブレーキを緻密に制御して回頭性などをサポートする「アジャイルハンドリングアシスト」が効いているのでしょう。その一方で電子制御の影響なのでしょうか、車両からのフィードバック情報にフィルターがかかっているような印象を受けるのは、シビックのDNAとして考えると、意外に思える部分。

操作に対する結果としては思い通りの挙動やパフォーマンスを示しているのですが、クルマとの対話という意味では若干の距離感を覚えるのです。

そうしたキャラクター作りについて、開発エンジニア氏にうかがった中で気になったのは「先代モデルを基準として見ると、スポーティになっています」という発言です。先代モデルというのは、日本では販売しなかった北米仕様のシビックのこと。たしかに北米でのニーズを前提にスポーティにしたということであれば、こうしたフィーリングは狙い通りなのかもしれません。

■ホンダ・シビック ハッチバック(6MT)主要スペック
車両型式:DBA-FK7
全長:4520mm
全幅:1800mm
全高:1435mm
ホイールベース:2700mm
車両重量:1320kg
乗車定員:5名
エンジン型式:L15C
エンジン形式:直列4気筒DOHCターボ
総排気量:1496cc
最高出力:134kW(182PS)/5500rpm
最大トルク:240Nm(24.5kg-m)/1900-5000rpm
変速装置:6速MT
燃料消費率:17.4km/L (JC08モード)
タイヤサイズ:235/40R18
メーカー希望小売価格(税込):2,800,440円

(写真:門真 俊/文:山本晋也)