「ホンダ」というブランドにスポーティなイメージを持っているユーザーもいますが、近年のホンダは軽自動車やミニバンなど生活に密着した便利なクルマを生み出すメーカーという風にシフトしています。そこで、かつての走りに一家言あるユーザーが選んでいたホンダを復活させようと、10代目シビックは日本市場に復活することになりました。

グローバルではホンダの柱であるシビック、その10代目は「世界で戦える最強のシビック」を目標に生まれています。「きびきびした気持ち良い走り」や「操る喜び」を「ゼロから見直す」ことで目指したといいます。すなわち、クルマの基本となるプラットフォームから開発されたわけです。しかも、そのプラットフォームはタイプRありきで生み出されたもの、ベーシックグレードであっても強靭なボディに仕上がっているというわけです。

日本ではハッチバックの標準車とタイプR、そしてセダンの標準車がラインナップされています。つまり、ハッチバックボディはホンダUKによるイギリス生産の輸入車となり、セダンが日本(埼玉・寄居工場)での生産で、CVTだけの設定となっています。

その新型シビック・セダンにワインディングロードと市街地で試乗することができました。

ワインディングロードでは、かなりの好印象。シビックという名前に期待する要素をすべてバランス良く達成しているといえるものでした。ステアリング操作に対する反応はリニアですし、後輪の接地感も不足のないもの。タイヤサイズはハッチバックの235/40R18に対して215/55R16となっていますし、エンジンもハッチバックがハイオク仕様であるのにセダンはレギュラー仕様で最高出力が若干劣るのですが、乗り比べてもそうしたネガは感じません。

むしろセダンという形状からくるボディ剛性のアドバンテージと、適度なグリップ感でしなりのあるタイヤがマッチして、操作に対するレスポンスだけでなく、クルマ全体から伝わってくるインフォメーションも必要十分以上。

さらに注目すべきはエンジンのレスポンスです。ハッチバックには6速MTが用意されていますから、そちらのほうがドライバーの意思に忠実なパワートレインであると想像していましたが、実際に乗ってみると、CVTのほうがブーストの立ち上がりがスムース(今度のシビックは1.5リッター直噴ターボを積んでいます)なのです。

具体的には、MTではエンジン回転が上がってから一息おいてブーストが盛り上がってくるのですが、CVTではインターセプターポイントが早めでエンジン回転とブーストが連動して高まってきます。結果的にタイヤに伝わるトルクがコントロールしやすいのはCVTという印象です。

このあたり、ハッチバックのCVTは未試乗なので、MTとCVTの違いといえるかもしれません。だとすれば、新しいシビックに搭載されている1.5リッター直噴ターボとの相性ではCVTのほうが有利といえそうです。そして、ホンダセンシングが標準装備となった新型シビックにおいて、CVTだけに「渋滞追従機能付きACC(アダプティブ・クルーズコントロール)」が付いているのも大きな違いです。

渋滞追従ということは先行車が停止すれば、それに合わせて停止。スイッチ操作などで再発進するというもの。渋滞というドライバーが疲れるシチュエーションを自動運転技術によってカバーしてくれるというのは、最強のCセグメントカーを目指したという開発陣の強い意思を感じる部分といえるでしょうか。

そうして、ある意味でクルマ任せで走っていると、55偏平タイヤによる当たりの柔らかな感じが、より活きてきます。ワインディングロードで、あれほどレスポンシブルと感じたハンドリングとは思えないほど乗り心地がソフトでロングツーリングでの疲労も少なそうと感じます。

今回、後席の乗り心地は確認できませんでしたが、居住スペース的には十分に広く、後席シートもゆったりしています。さらにトランクルームの容積は519リッターで、ゴルフバッグ4個が積めると聞けば、ゴルファーの友としても”使える”一台に仕上がっているといえそうです。もちろん、ACCは最新版となる120km/h対応(135km/hまで設定可能)で、将来的に予想されている高速道路の制限速度アップも考慮したものとなっているのも見逃せません。

グローバルで通用すべく、世界共通ボディとなり、世界中の道で鍛え上げられてきた新型シビック。タイプRのイメージからハッチバックに人気が集まっていますが、その高いポテンシャルを日本向けに使い切ったといえるセダンの走りや使い勝手にも注目すべきといえそうです。

■ホンダ・シビック セダン主要スペック
車両型式:DBA-FC1
全長:4650mm
全幅:1800mm
全高:1415mm
ホイールベース:2700mm
車両重量:1300kg
乗車定員:5名
エンジン型式:L15B
エンジン形式:直列4気筒DOHCターボ
総排気量:1496cc
最高出力:127kW(173PS)/5500rpm
最大トルク:220Nm(22.4kg-m)/1700-5500rpm
変速装置:CVT
燃料消費率:19.4km/L (JC08モード)
タイヤサイズ:215/55R16
メーカー希望小売価格(税込):2,650,320円