一昨年、誕生50周年を迎えたトヨタのカローラ。今年フルモデルチェンジして12代目となります。正式な発表・発売を前に、メディアとジャーナリストを富士スピードウェイのショートサーキットに招集し、カローラハッチバックのプロトタイプ試乗会が開催されました。

新しいカローラハッチバックの試乗を前にチーフエンジニアが行ったプレゼンテーションでは「日本におけるカローラユーザーの平均年齢は非常に高く、今回の新型カローラハッチバック(仮名)は、そのユーザー層を一気に下げることを目的としています」という説明を受けました。*(仮名)は実際にチーフエンジニアが発した言葉です。

その視点からカローラハッチバックを見ると、確かに従来のカローラとは明らかに異なるスタイリングを持つモデルに仕上げられています。そのスタイリングが若者向きか否か? は別にして高年齢層が欲しいと思うスタイリングでないことは確かだと感じました。インテリアもスポーティデザインを目指していて、シートも従来から設定のあるスポーティシートに加えて、その上の機能性を持つスポーツシートも設定するという力の入れようです。

試乗車として用意されていたのは1.8リットルガソリンエンジンを積むハイブリッドと1.2リットルターボの2種です。スペックは公表されていませんが、C-HRに積まれているユニットはハイブリッドが122馬力、1.2リットルが116馬力なのでほぼ同程度と考えていいでしょう。組み合わされるミッションはハイブリッドが電気式CVT、1.2リットルが一般的なCVTに加えてMTも用意されました。

パワーユニットして力強さを感じるのはハイブリッドモデルでした。富士スピードウェイのショートサーキットは、メインストレートが下り坂で右、左のS字を走り、その後のコーナーがグッと上り坂になります。この上り坂をグイグイ登っていくのがハイブリッドでした。ただ、パワーフィールとして気持ちがいいのは1.2リットルターボのほうです。ターボとは思えない軽快な吹き上がりを示します。トルク、パワーともにさほど力強さを感じませんが、パワーを出し切って走れるところが気持ちのいい部分です。

新しいカローラハッチバックの最大の話題とも言っていいのが、iMTと呼ばれるマニュアルミッションです。iMTはMTとクラッチを統合的に電子制御するものです。発進時は1速に入れてアクセルを踏まずにクラッチペダルを戻してくると、半クラッチとエンジン回転数を自動制御しスムーズに発進が可能。MTになれていない人でも、エンストすることなくスタートできるという仕組みです。

また、シフトダウンした際にエンジン回転数を合わせてくれるブリッピングコントロールも備えます。シフトダウンをするときに何速に入るのかを読み取って、的確な回転数までエンジン回転数をアップしてくれます。シフトショックがないことは、スムーズなドライビングに貢献するだけでなく、クラッチの寿命を延ばすことにもつながります。新しいカローラハッチバックには、ドライブモードセレクターが装備されていて、このセレクターがスポーツ、もしくはスポーツS+のときだけ、ブリッピングコントロールが作動するようになっています。

今回の試乗車の場合ドライブモードセレクターは1.2リットルターボがエコ、コンフォート、ノーマル、スポーツ、スポーツS+の5モードとなるAVS。ハイブリッドはエコ、ノーマル、スポーツの3モード切替タイプでした。各モードの差があまり大きくなく、1.2リットルターボのエコとスポーツS+でも極端な差はありませんでした。もう少し差を明確にしたほうがモードを楽しむことができそうです。

新型カローラハッチバック(仮名)は、確かに若者にアピールできるクルマに仕上がっています。あとは、どう売っていくか? でしょう。販売戦略が成功すればカローラの若返りは成功することでしょう。なお、今回のカローラハッチバックはデザインや走りと言ったクルマ本来の楽しさに加えて、コネクティビティにも力を入れた開発を行ったという説明がありましたが、今回の事前試乗会ではコネクティビティについての確認はできませんでした。

(文・写真:諸星陽一)