■合流部の先端から1台ずつ交互に合流する構造に変更

中日本高速は20日、愛知県内の高速道路合流部の渋滞を「ファスナー合流」で緩和する新しい対策を発表した。

ファスナー合流のファスナーとは、衣服の継ぎ目をつなぐあのファスナーと同じ意味。合流部で左右のクルマを1台ごと交互に合流させる様子を、継ぎ目を交互にかみ合わせて左右を一体にするファスナーに見立てた。言葉は以前からあるが、実際にこの対策をとるのは高速道路では初めてのことだ。

ファスナー合流
「ファスナー合流」は1台ずつ交互に合流することで本線の流れを阻害しない。

「ドライバーの判断で加速車線の至る所から合流すると、流れを悪くして渋滞を発生させるのではないか、ということが我々の調査でわかった。そこで合流部に設置してあるラバーポールを合流部の先まで伸ばして、先頭から1台ずつ合流するように構造を変えることにした」と、同日の会見で宮池克人社長は語った。

改良工事が実施されるのは、名神高速と東海北陸自動車道が接続する一宮JCT(愛知県一宮市)だ。名神に合流する東海北陸道の加速車線には名神合流側に100mにわたってラバーポールが設置されているが、これを360mまで伸ばす。さらに、合流できる開放区間を350mから210mまで140m短縮する。

改良区間
ファスナー合流の改良工事区間を、対向車線から見たところ。写真右手奥の加速車線から名神の渋滞に合流する。この合流をラバーポールで一部制限して渋滞の緩和を目指す。

●渋滞損失時間だけでなく接触事故の低減も見込む

高速道路の合流は、ウインカーを点滅させながら、加速車線で相手車線の車両と速度を合わせて、車両の切れ目を見計らって合流する。合流できる区間が短くなると、その分だけやりにくくなるようにも思えるが現状でも、それより短い距離で1台ずつ合流している。その効果を同社はあらかじめ工事区間で実証していた。

ファスナー合流が実施される区間は、平日はほぼ毎夕、土日は夕方に限らず渋滞が発生する。路線バスの定時性が確保できない、事故を誘発するなど、国土交通省が主催する関係者会議でもたびたび指摘され、中京圏の高速道路の課題と考えられていた。しかし、合流部は文字通りのボトルネックだ。

例えば、この区間は片側2車線ある名神高速に、1車線の加速車線を持つ東海北陸道が合流する。合流後の名神高速が2+1=3車線になれば渋滞は起きにくいが、海に近づくほど川幅が広くなる川のように、高速道路の車線を広げるわけにはいかない。

「これにはマナーが大切だがーー」と前置きしながらも宮池氏はその効果をこう語った。
この対策で名神側の渋滞損失時間が約15パーセント削減されると見込んでいる。また、合流の接触事故も減ることを期待している」

今年12月上旬の運用を目指す。運用後も効果を検証して、他の合流渋滞にも適用できるかを見極める。

(中島みなみ)