■新車価格を上回る中古車も出現!

●ジワジワ上がり続けるカプチーノの中古車相場

1991年11月に発売されたスズキ・カプチーノは、アルトワークスに採用された3気筒DOHCターボエンジンを縦置きに搭載するFR方式を採用したオープン2シーターでした。同年5月に先行して発売されたホンダ・ビートとともに、90年代の軽スポーツカー市場を牽引した存在です。

一時期中古車相場が下落したビートと違い、カプチーノは比較的高めの中古車相場を維持してきました。それはターボエンジンによるハイパワーと、FR方式による素直な操縦性が評価されてのことです。

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中古車相場が安定しているカプチーノ。

比較的高めの相場を維持したと言っても、やはり10年ほど前は相場が落ちたこともあります。筆者は2013年に自動車雑誌の企画でカプチーノの中古車を取材しています。その時は走行距離が5万キロ程度の極上モノで、足回りやバンパーがカスタムされた個体が110万円でした。当時の平均相場は50万円ほどです。

それが現在、カプチーノの中古車相場では面白い現象が起こっています。現在市場で売りに出されているカプチーノの中古車は140台前後です。その平均相場は70万円台なので、7年前に調べた時を20万円ほど上がりました。さらに程度の良い個体につく金額がどんどん上がり、150万円以上の相場になっているのです。この現象を調べるべく、カプチーノの専門店「カーズナビワン」さんでお話を聞くことにしました。

●スズキ・カプチーノ・プチヒストリー

中古車相場のお話の前に、カプチーノの歴史を振り返ってみましょう。1991年に発売された当時はグレード展開のない1車種のみで、販売価格は145.8万円でした。特徴は3分割タイプのルーフで、クローズ状態からTバールーフやCピラーだけ残るタルガトップへ、さらにはフルオープンへと切り替えることが可能でした。

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1991年発売スズキ・カプチーノ。

1993年には専用色であるディープブルーパールを採用する特別仕様車を149.8万円で追加設定しました。翌年の94年にもマーキュリーシルバーメタリックの専用色を採用するリミテッドが追加されます。

そして1995年に初のマイナーチェンジを実施します。従来までの3気筒DOHCターボエンジンであるF6A型に代えて、新たにオールアルミ製としたK6A型エンジンが採用されました。アルミ製になったことで10kgの軽量化を実現するとともに、最大トルクが8.7kgmから10.5kgmへと向上しています。またこの時から5速MTのみだったトランスミッションに、3速ATが追加されました。MT仕様が145.8万円、 AT仕様が158.6万円でした。

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1995年発売スズキ・カプチーノ。

●サビによる淘汰と海外からの引き合い

それでは早速、カーズナビワン店長の北田順一さんにお話を聞きましょう。「5年前に比べて20万円から30万円くらい相場が上がったと思います。というのも、徐々に良い個体が少なくなってきたためです」と、値上がりしている背景に、クルマが淘汰されたという現象があるようです。

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カーズナビワンの外観。
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カーズナビワン店長の北田順一さん。

現在でも安いものだと20万円台から売り物が見つかります。ですが、それらの個体には例外なく問題があります。

「以前から知られていることですが、構造的にどうしてもサビが出てしまうのです。特に雪国で乗られていたようなものだと、下回りにサビによる穴が空いてしまいます。中には地面が見えてしまうものさえあるのです」。

腐食により穴が空いてしまうと、どのように直したとしても数年後には再発してしまいます。高い金額で修理してもイタチごっこになってしまうのなら、始めからサビのない上質な個体を狙うべきです。それが相場を押し上げた理由の最も大きな一つです。

では、近年の国産スポーツカーが海外で人気になり、結果として中古車相場が上がってしまったという事情はカプチーノとは関係ない話なのでしょうか。その点を聞くと、やはりというか、あまりうれしくないお話が飛び出しました。

「例のアメリカでの25年縛りですね。カプチーノも初期型の平成3年・4年式くらいだと、アメリカで登録が可能になりますので、どんどん流れてしまってます。海外では純正に近い状態のものしか需要がないそうで、カスタムしてあるものは見向きもされないそうです。だから今後、相場が上がる可能性は高いです」。

国内から良い状態のカプチーノが減った理由は、何もサビによる淘汰だけではなかったのです!

●現在の中古車相場は?

では改めてカプチーノの中古車相場を見てみましょう。現在の底値は20万円台ですが、これらはほとんどが29万円などです。実質的に30万円台からが現実味のある相場で、40万円台や50万円台に数多くの売り物が見つかります。ですが、この金額までの個体だと数多くの場合、修復歴があります。修復歴がないものの場合、走行距離が10万キロ台後半、なかには20万キロ台というものもあります。また走行距離が伸びていない場合はトランスミッションがATです。

50万円台後半から80万円台前半までに、数多くの物件が集中しています。この価格帯だと修復歴のあるものとないものが半々とった状態になります。自分好みのものが選べる相場ですが、その多くはいわば「普通の中古車」です。状態が良いものを探すのでしたら、やはり100万円以上を見なければならないようです。

ただし、100万円以上出したからといって、安心できるとは限りません。カプチーノには固有のトラブルがあり、一般的な中古車販売店で対策ができるとは思えないからです。

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●カプチーノの見極め方

ではカプチーノのトラブルを北田店長に聞いてみましょう。

「カプチーノというかスズキ車に多いことですが、ブレーキが固着してしまう例があります。ディスクブレーキのキャリパーピストンが固着して、本来の制動力が得られなくなってしまうのです。これはかなりの確率で発生しています。当店では必ずチェックをしますし、納車前にはキャリパーをオーバーホールしています」。

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カプチーノのブレーキキャリパー。

どんなにハイパワーなクルマでも、止まれないのであれば危険なだけの存在になってしまいます。本来のブレーキ性能が出ていないければ、コーナーを楽しむこともできません。

「やはりサビです。代表的なところですと、シートの後ろ辺りでフロアがサビます。シートを倒してカーペットをめくると床がサビていたり、なかにはアルミテープで補修している例もあります。リヤタイヤの手前を下から見ると状態を把握しやすいです」。

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サビが出やすいフロア。
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フロアのサビを下から確認。
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シート後方を確認。

「サイドシルもパネルの継ぎ目を中心にサビが発生します。これは水抜き穴が塞がって内部に水が溜まってしまうからなんです」。

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カプチーノのサイドステップ。

フロアはボディ剛性を保つ重要な部位です。またサイドシルはカプチーノの場合、強度を左右する部位ですので、腐食が進行すると致命的なことになります。このほか、エンジンルームのインナーフェンダーにもサビを見受けられることがあるそうです。

「近年ではオルタネーターのパンクもありましたし、今ではミッションに問題が出ることも多くなりました。3速から2速に落とせなくなってオーバーホールして欲しいという声が数多くあります」。

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カプチーノのトランスミッション。

これはミッション内部のシンクロメッシュが段付き磨耗して起こる現象です。カーズナビワンさんでは常時オーバーホールミッションを用意して、トラブルに即応できる体制を整えています。

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カプチーノのシンクロメッシュ。

「インターネットを見てタイミングベルトの交換歴を気にされる方が多いのですが、ベルト交換をするならシリンダーヘッドのパッキンも交換すべきです。オイル漏れの原因になる個所ですので、逆にパッキンを交換する時にタイミングベルトを交換すればいいのです」。

こうした対策はカーズナビワンさんでは納車整備で当たり前のようにされているそうです。

また気になるのは修復歴があるクルマです。その点を聞くと「フロントからぶつかっているクルマが多いのですが、軽度の事故であれば問題視しなくて大丈夫です。フロントからの場合、ライトが押されてコアサポートが歪んでしまいます。コアサポートを交換すると修復歴アリになってしまいますが、この程度であればフレーム修正でしっかり直せます」。

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カプチーノのコアサポート。

とはいえ重度の事故を起こしたものは敬遠すべきです。ですが「そこまでの事故を起こして60万円も70万円もかけて直すより、廃車にして乗り換える人が多いですから、あまり市場には出回りません」とのことです。

●カプチーノは買い時なのでしょうか?

すでに20数年も前の軽自動車ですので、コストのかかったカプチーノといえどトラブルと無縁ではいられないようです。ですが、事前に対策を立てられる専門店で購入すれば、幸せなカプチーノライフが送れるようです。また海外からの引き合いがあることを考えると、今のうちに手に入れておくべきかもしれません。

北田店長も「今後は値上がる可能性が高いですし、今なら消耗部品を含めスズキから大体のものが供給されていますから直すことも容易です。欲しい時が買い時です」と、後押ししれくれました。

ちなみにカーズナビワンさんで販売する60万円以下のMT仕様カプチーノは、サビが発生していても構わない人向けのベース車です。短期間乗る場合やサーキット走行用としてならいいでしょうとのことです。

冒頭でも述べましたが、カプチーノの中古車相場は5年前10年前と比べて変化が極めて少ないです。裏返せば、カプチーノの中古車相場は今後上がることはあっても下がることはないということです。すでに新車価格を超える物件も見られるようになりました。やはり、今のうちに手に入れておくべき1台だと断言しましょう!

●カーズナビワンさんで見つけたカプチーノをご紹介

【1台目】1997年式カプチーノが95万円!

アルミ製エンジンになった後期型で走行距離こそ10万キロを超えていますが、5速MTで修復歴はありません。スズキスポーツCPUやGABサスペンション、ガレージジョン製マフラーなどでカスタムされ、車検整備付きです。シートの破れなど痛みは見受けられません。退色しやすいルーフもキレイにされています。

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1997年式カプチーノの外観。
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1997年式カプチーノのルーフ。
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1997年式カプチーノののインパネ。
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1997年式カプチーノののシート。
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1997年式カプチーノのエンジンルーム。
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1997年式カプチーノのマフラー。

【2台目】ライトチューン済みの1995年式が79万円!

2台目は5速MTで修復歴のない個体で、モンスタースポーツ製車高調サスペンション、マフラー、HIDライト、FD・RX-7用シートなどに変更されクラッチが新品に交換済み、純正アルミホイールをルーフ同色で塗装済みです。走行距離は14.4万キロですが全く問題ない状態で、車検整備付きです。

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1995年式カプチーノの外観
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1995年式カプチーノのアルミホイール。
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1995年式カプチーノのインパネ。
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1995年式カプチーノのシート。
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1995年式カプチーノのエンジンルーム。

【3台目】1997年式でもATだから40万円!

3台目はアルミ製エンジンになった後期型で程度も良いのですが、トランスミッションがATということで格安です。ほぼノーマル状態を保っていてインパネのウッド風パネルもキレイです。CDステレオやETCを装備しています。走行距離は13.7万キロで、もちろん修復歴はありません。

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1997年式カプチーノATの外観。
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1997年式カプチーノATのインパネ。
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1997年式カプチーノATのウッド風パネル。
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1997年式カプチーノATのシート

(増田 満)