■静粛性が高く振動の少ない救急車は患者や隊員の負担軽減にも

いきなり私事で恐縮ですが、私の父親は東京消防庁で救急救命士として長年働いてきました。消防・救急などのお仕事は、父が現役の時から少数派でありながらも女性が活躍していた話を聞いています。しかし、ご想像の通り厳しい職務であり男性が中心の職場というのが現状で、結婚後に育児などのため退職する人も少なくないといいます。また、東京消防庁管内での異動も定期的にあり、保育園や学校などの関係からも育児との両立も容易ではないと想像できます。

日産自動車 EV救急車
池袋消防署に納車された日産自動車のEV救急車

そして、現在の東京消防庁には、平日の昼間限定で活躍する「デイタイム救急隊」があるそうです。これは、2019年5月、東京消防庁の働き方改革の一環として、平日の日中にのみ運用される救急隊として池袋消防署に発隊されたもの。女性の活躍の場を維持するのはもちろん、女性の怪我人などによっては、女性の救急隊の方が話をしやすいなどの配慮もあるようです。

そんな池袋消防署に、「デイタイム救急隊」で運用される予定の日本初EV救急車が日産自動車から納入されたそうです。同車両は、東京都が推進する「ゼロエミッション東京」の取り組みの一環として、東京消防局に初のEV救急車として導入されています。

日産自動車 NV400
欧州で発売している日産NV400
日産自動車 NV400
日産NV400のリヤビュー

同車両は、日産が欧州で販売している「NV400」がベース車両で、日本の法規適合や専用の救急架装は、日産製の高規格準拠救急車「パラメディック」での実績を持つオートワークス京都に委託されています。

日産自動車 高規格準拠救急車
日産自動車の高規格準拠救急車「パラメディック」

また、内・外装は、欧州の緊急車両架装大手であり、LCV(Light Commercial Vehicle/小型商用車)などの多様な架装を得意とするGruau社に委託され、堅牢で合理的な救急架装パッケージが採用されているそうです。

日産自動車 EV救急車
日産自動車が池袋消防署に納車した電動救急車には、電動ストレッチャーなどが装備されている

装備では、救急隊員の負担を軽減するための電動ストレッチャーや、すべてのシートに乗員の安全性を向上させるシートベルトを用意。また、救急車には、患者や隊員の身体的な負担軽減が求められることや、精密医療器具を搭載する必要があることなどから、静粛性が高く、振動の少ないEVのメリットは大きいなどの利点もあます。

さらに、同車両には、33kWhと8kWhの2つのリチウムイオンバッテリーが搭載されていて、電装機器やエアコンをより長時間作動させることが可能で、停電時や災害時には、「走る電源」としても活用することが可能。

ボディサイズは、全長5548×全幅2070×全高2499mm。駆動用バッテリーは、容量33kWhで、装備用バッテリーは容量 8kWhとアナウンスされています。

(塚田勝弘)