■「交通事故死傷者ゼロ」を目指す、トヨタの本気度がうかがえるシステムが登場

東京・池袋で起きた高齢ドライバーによる暴走死傷事故は、社会的に大きな影響を与え、自主的な免許返納の流れを加速させた契機にもなっています。一方で、地方などでは日常の買い物や通院などの生活の足としてクルマは欠かせない存在。筆者の実家は北関東にありますが、クルマのない生活は考えられず、1人に1台という家庭も少なくありません。もちろん、高齢ドライバーも日常的に見かけます。

とは言え、踏み間違い事故は必ずしも高齢者特有の事故ではないというデータも有り、早急な対応が望まれ、徐々に対策用品などが登場してきています。

トヨタ プリウス
新車向けの「プラスサポート」、「踏み間違い加速抑制システムⅡ」を新たに発売したトヨタ

トヨタやダイハツ、SUBARUなどは、こうした踏み間違え事故に対応するため、後付けできる「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」をすでにリリースしています。対応車種も登場時から徐々に増え、すでに装着した方や検討している方も多いのではないでしょうか。そして今回トヨタは、既存車向けの新たに進化させた「踏み間違い加速抑制システムⅡ」と新車向け(最初は新型プリウスより)の「プラスサポート」を7月1日に発表しました。

■後付けできる「急アクセル時加速抑制」機能

「プラスサポート」についてはプリウスのマイナーチェンジ情報とともにお届けしましたので、ここでは、「踏み間違い加速抑制システムⅡ」についてご紹介します。新たな急アクセル時加速抑制装置である「踏み間違い加速抑制システムⅡ」は、ペダル踏み間違い事故のさらなる抑止・被害軽減のため、既存のシステムに、加速抑制システムを加えることで、さらなるペダル踏み間違い事故を抑制するもの。

トヨタ 踏み間違い加速抑制システムⅡ
トヨタの「踏み間違い加速抑制システムⅡ」
トヨタ 踏み間違い加速抑制システムⅡ
踏み間違い加速抑制システムなしの場合

なお、既存のシステムは、センサーで検知できる壁やガラスなどの障害物がある場合の踏み間違い事故に対応するのが特徴です。同社のデータによると、「インテリジェントクリアランスソナー」は、ペダル踏み間違い事故全体の約7割に対応するものの、一方で障害物がない場合を含めた、「残りの事故を新技術により減らしていく必要があった」と開発の背景を説明しています。つまり、障害物がないシーンでのペダル踏み間違いに対応する新機能として開発されたわけです。

今回の新機能開発では、実際の踏み間違い事故発生時に、アクセルペダルが全開で踏まれた状況を分析。そして、その踏まれ方の特徴をコネクティッドカーから得られたビッグデータと照合し、右折時や一時停止後など、ドライバーが実際に急加速を必要とする状況を除くことで、アクセルの踏み間違い操作を特定。障害物がなくても加速を抑制することにより、踏み間違い事故の低減が図られる設定になっています。なお、「踏み間違い加速抑制システムⅡ」は、加速を抑制する一方で、ブレーキ制御は盛り込まれていません。踏切などに誤って進入したり、立ち往生してしまったりした際などの緊急時への対応でしょうか。

トヨタ
「踏み間違い加速抑制システムⅡ」では、アクセルペダルを戻すように警告もする

また、従来のシステムにもある、前方の障害物を検知し、加速抑制する機能、後退時に加速を抑制する機能に加えて、後退時には障害物の有無に関わらず加速を抑制するなど、より幅広いペダル踏み間違い事故の抑止・被害の軽減に貢献することが狙いだそう。これにより、商店に突っ込んでしまったり、立体駐車場からの転落してしまったりする事故も減らせるはず。

こうしてトヨタは、機能強化を図りつつもシステム構成を見直すことで、従来商品よりも1万7600円安い低価格を実現することで、さらなる普及を図る構え。なお、国土交通省が2020年4月に創設した「後付障害物検知機能付ペダル踏み間違い急発進抑制装置」の性能認定制度において、初の認定を取得しています。

既存車向けの後付け装備「踏み間違い加速抑制システムⅡ」は、プリウスは2015年12月〜2020年6月生産の車両で、インテリジェントクリアランスソナー非装着車から対応となります。

さらに、2020年11月発売予定のSAI(2009年10月〜2018年2月生産)、2021年1月発売予定のクラウン(2008年2月〜2012年12月生産)、2021年1月発売予定のマークX(2009年10月〜2016年11月生産)と順次設定車種を拡大するそうです。税込価格は3万8500円。

後付けアイテムで既存車向けの「踏み間違い加速抑制システムⅡ」は、高齢ドライバーのみならずすべてのドライバーに推奨できる安全装備になっていますので、プリウスをはじめとした対象モデルの購入予定者、あるいは、すでに乗っている方はぜひ検討して欲しい装備になっています。

(塚田勝弘)