■NCAPは、新車を衝突させて安全性を点数で評価して公表する制度

●前突、オフセット衝突、側突など、市場で起こる衝突を模擬して試験

衝突安全性の評価は、法規とNCAPに基づいています。
NCAP(New Car Assessment Program)とは、新しく発売されたクルマを衝突させて、安全性を評価する新車アセスメントプログラムです。衝突試験は、市場で起こるさまざまな衝突事故の形態を模擬して行います。

衝突時の乗員の安全性を評価する実車の衝突試験について、解説していきます。

●実車衝突試験の概要

実車衝突試験の目的は、市場で起こる衝突事故の代表的な形態や条件で人体各部の傷害値が基準を満足しているかを評価することです。さらに、衝突時に燃料漏れによる火災の恐れがないかなども評価項目になります。

具体的な評価としては、傷害値が計測できるダミー(人体模擬マネキン)を乗員の代わりに搭載して、衝突時にシートベルトやエアバッグが正常に作動するか、車体変形によって乗員がどの程度傷害を受けるか、燃料漏れはないかなどを調査します。

評価試験は、市場で起こるさまざまな形態の事故を分析して、代表的な衝突パターンを模擬して行います。評価の衝突パターンには、法規で決まっているフルラップ前面衝突試験とオフセット前面衝突試験、側面衝突試験と、これらにさらに衝突パターンを増やして評価するNCAP(新車アセスメントプログラム)があります。

●NCAP(New Car Assessment Program)とは

NCAPは、市場に投入された新車を衝突させ、衝突時の乗員の安全性を評価し、結果を点数にして公表するプログラムです。法規ではありませんが、国ごとに独自の方法によって世界中で実施されています。

日本ではJ(Japan)NCAPと呼ばれ、国土交通省と自動車事故対策機構(NASVA)が評価を行い、「自動車アセスメント」結果として毎年2回公表しています。

現代ではクルマの安全性が大きな商品力要素になっており、NCAPの結果が販売に大きく影響すると言われています。

NCAPの評価パターンは、法規のフルラップ前面衝突試験とオフセット前面衝突試験、側面衝突試験の3パターンに加えて、歩行者頭部保護性能試験、後面衝突頸部保護性能試験、また衝突試験ではありませんが、ブレーキ性能試験を加えて合計7項目です。

●さまざまな衝突試験

・フルフラップ前面衝突試験
運転席と助手席にダミーを乗せた試験車を、車速55km/hで前面全体をコンクリート壁にぶつける正面衝突試験です。主として、乗員を保護するエアバッグ、シートベルトなどの性能を評価します。

・オフセット前面衝突試験
運転席と助手席にダミーを乗せた試験車を、64km/hでアルミハニカムを装着した障壁に運転席側前面の一部(運転席側の4/10)を衝突させる試験です。車体変形が大きく、変形による乗員への加害性を評価します。

・側面衝突試験
運転席にダミーを乗せた静止状態の試験車の運転席側または助手席側に、重さ950kgの台車を55km/hで衝突させます。

・歩行者頭部保護性能試験
ボンネットに頭部を模したダミー(インパクター)を車速35km/hでたたきつけ、障害値を計測します。

・後面衝突頸部保護性能試験
停車中に後ろから衝突された状況を再現し、乗員の頸部に受ける衝撃の度合いを計測します。

・ブレーキ性能試験
車速100km/hで急制動、停止するまでの距離を計測(乾燥路面と濡れた路面)します。

衝突試験の一例
衝突試験の一例

2014年からは、以下の予防安全評価試験が追加されました。

・対車両と対歩行者の緊急自動(被害軽減)ブレーキ

・車線はみ出し警報

・後方視界情報(バックビューモニター)


衝突試験による評価結果は、そのクルマが衝突事故に対していかに安全かを示す指標であり、クルマの商品力や価値を大きく高めます。

最近は、衝突のシミュレーション技術も飛躍的に進んでおり、従来のように多くの試作車を製作して衝突評価する時間と工数、試作車費用が大幅に削減できるようになりました。

(Mr.ソラン)