■自然と見かけなくなった車載スペアタイヤ

●メーカー側の都合とユーザー側の都合によるもの

この光景はもはや絶滅危惧種
この光景はもはや絶滅危惧種

スペアタイヤが搭載されていない最近のクルマ。標準装備ではなくオプション装備としての立ち位置になっていて、新車注文時に必要な人が選ぶのみという傾向にあるようです。

スペアタイヤが積まれなくなったことにはいろいろと理由があり、まとめると下記の通り。

    車両を軽くして燃費を稼ぐ
    荷室スペースをより広く使えるようにする
    パンク修理キットが普及した
    携帯電話が普及したことでロードサービスを呼びやすくなった
    スペアタイヤが一度も使われることなく廃棄物になるのを防ぐため

1/2/5番目はメーカー側の都合のように感じますが、この中で特に気になったのが4番目の理由。電波の通じるところにいれば電話でロードサービスを呼んで対応してもらったり、自宅近くで家族や友人が助けてくれることを経験していれば、「スペアタイヤなくてもイイじゃん」という考えが広がるのも自然なことかと。

他力本願という印象を拭うことはできませんし、携帯の充電が切れていたら為す術ありません。

●応急処置したタイヤよりもノントラブルなタイヤの方が安心かつ安全

ちょうど昨年、筆者も初めてタイヤパンクに遭遇しました。道の駅で昼食をとってクルマに戻ってきたらタイヤがペシャンコになっていたのです。

クルマにはシザースジャッキとスペアタイヤ、クロスレンチにトルクレンチ(トルクレンチは持っていない時もある)を車載しているので、その際には笑いながらささっと車載タイヤに交換してトルクチェックを行い、ドライブを再開しました。応急処置が施されたタイヤよりも、トラブルが何もないタイヤを履かせたほうが安心・安全です。

■自己解決型ドライバーの証でもあり、一種のシンボル

タイプ35。トヨタ博物館にはスーチャーを積んだタイプ35Bが展示されている。
タイプ35。トヨタ博物館にはスーチャーを積んだタイプ35Bが展示されている。

車種にもよりますが、スペアタイヤを搭載できる車種であれば、自分でタイヤを交換してすぐに出発できるこれ以上にないメリットがあります。ロードサービスを待つ必要もなく、貴重な旅行の時間を失うこともありません。

自分でやればその分愛着も湧くし、日頃整備してくれる整備士の人たちへの感謝の気持ちもより一層増すというもの。

20世紀前半には筆者が憧れるブガッティ タイプ35のようなレーシングカーにもスペアタイヤは車載されていたし、三菱 パジェロミニやスズキ ジムニーなどのクロカン車両の背面にスペアタイヤ(スコップも?)が積まれているのは当たり前。

それらを振り返ると、昔のクルマでは車載して当たり前だったスペアタイヤも、現代では一部カテゴリーのシンボルという立ち位置にあるようです。