■初心者からエキスパートまで、スキルに合わせてクルマを開発するプロドライバーが丁寧にアドバイスしてくれる

●スムーズに運転操作をすることが、上手な運転

「上手な運転」というと、どういった運転の仕方を思い浮かべますか? ある人は、車庫入れや縦列駐車をスマートに行うことと思うかもしれませんし、サーキットで1秒でも速く走ることと答えるかもしれません。

走行データ計測プログラム02
滑りやすい路面を86で走行し計測する

この2つの意見は一見かけ離れているように感じますが、クルマの動きや路面の状況を把握して、自分の思いどおりスムーズにクルマを操ることができれば、どちらも実現可能なのです。

つまり、「上手な運転」というのはクルマをスムーズに操作することだと言えるのです。

スムーズに操作することを意識しても、人によってそのスキルは異なりますし、もっと上手くなりたい!と言っても、どうすればスムーズに操れるようになるのかわかりません。そこでドライバーの操作を数値化し、目に見えるようにすれば自分の良いところ、悪いところがわかるので、悪い部分を改善していけば上手な運転への近道となるでしょう。

各ドライバーの運転スキルを可視化し、自分の運転を見つめ直すことで、運転が楽しく、そして上手になる。そんな、これまでなかったドライビングレッスンが始まりました。それが富士スピードウェイにあるトヨタ交通安全センター モビリタで開催されている「走行データ計測プログラム」です。

今回、この「走行データ計測プログラム」を体験してきました。

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計測に使用するのは先代86のAT車
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計測に使う86のインテリアには計測器やカメラを装着
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ハンドル操作やドライバーの体の揺れなどをこのカメラで撮影
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このカメラでペダル操作を撮影する

●86に乗って計測、プロのアドバイスを受けられる

「走行データ計測プログラム」はカメラや計測器の付いたトヨタ86を運転して、ドライバーの運転を可視化。そのデータをトヨタ開発ドライバー出身のインストラクターがアドバイスしてくれるというプログラムです。

これまでは1回の走行、アドバイスという3300円(別途富士スピードウェイの入場料が掛かります)の体験プログラムだけでした。2021年10月から走行とアドバイスを3回行う1万3200円の半日プログラムがスタート。今回はこのスタートしたばかりの半日プログラムを体験しました。

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初めてのスポーツカーを運転するというのでやや緊張気味

体験したのは、2匹のワンコと一緒にドライブに行きたい!と、8月に免許証を取得したばかりの高市智子さん。教習所を卒業してから、ハンドルを握ったのは数回というキャリアです。

まず、簡単なプログラムやコースの説明を受けると、早速トヨタ86のステアリングを握り、低ミュー路をインストラクターの後ろについてコースの慣熟走行を行います。滑りやすい路面、そして乗ったことないクルマということもあり、インストラクターの後ろに付いて走行するもなかなかままならないようです。

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走行データ計測プログラムを行う低ミュー路。水を撒くことで滑りやすくする
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まずは、今回行うプログラムに関しての簡単な説明からスタート
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インストラクターは、ドライバーから話を聞いてスキルをチェック
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インストラターの後ろを走りコースを覚える

 

 

 

 

慣熟走行が終わると、早速計測開始。ここではインストラクターが無線で「終了です」と言ったら戻ってきてください…という走行のルールについて説明しますが、運転に関しては何も話しません。まずは、ドライバーの現状の運転スキルの確認を行います。

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いよいよ計測スタート!

恐る恐る低ミュー路を高市さんのドライブする86が走行します。コース走行時ほとんどブレーキランプが光ることはなく、同じような速度で周回を続けて無事、計測終了。

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免許証を取得し2カ月の運転を動画でチェック
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動画を見ながら、気になる部分について話をする。ドライバーのスキルに合わせてわかりやすい言葉で説明する
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佐野インストラクターはペダルやフットレストの踏み方について最も時間を追加した

 

 

 

 

 

さっそく、計測データを見ながらアドバイスが始まります。高市さんはほとんどブレーキを使用せず、アクセルとハンドル操作だけでカーブを曲がっていることが画像やデータからひと目でわかります。教習所ではブレーキを使わずに速度調整するように…と言われたようで、ブレーキをほぼ踏むことなく走行しています。

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速度やアクセル、ブレーキなどをグラフ化。ほとんどブレーキを使用せずに走行しているのがグラフからわかる
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様々なデータをG・Gダイアグラムというグラフで表す。前後の荷重移動がなく、ハンドル操作だけでクルマを操るとこのような横一直線のグラフになる
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1回目のアドバイスの締めにペダルやハンドル操作を行うとどのようにクルマが動くのかをミニカーを使って説明してくれた

 

 

 

 

 

 

そこでインストラクターの佐野さんから、ブレーキの重要性そして、フットレストに置く左足のアドバイスが行われます。速度が遅い時は、アクセルとハンドル操作だけで曲がることもできますが、速度が速くなったら、しっかりとブレーキで速度を落して曲がらないとならないとのこと。そこで、86での2回目の計測前にマークXを使ったブレーキングのレッスンを行います。

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2回目の運転の前に正しいドライビングポジションについての説明
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ブレーキをしっかりと踏んで指定されたパイロンまでに停める練習

マークXに乗り込んだ際には、インストラクターからドライビングポジションについての説明が行われました。「右足は真っ直ぐ伸ばした先にブレーキペダルがあるように」ということをはじめ、シートリフターやリクライニングでの正しいドライビングポジションの設定の仕方など、丁寧に説明してくれます。

マークXでは、ある程度速度を出した状態からフルブレーキングでクルマを停めるという練習を行います。教習所ではこのようなフルブレーキのシーンというのはないですが、実践的な走行データ計測ぷいログラムでは、しっかりとブレーキングの重要さを身に付けるということで行います。

最初はブレーキの踏みが甘かったのですが、回数を重ねるとしっかりとブレーキを踏んでクルマを停められるようになりました。

●アドバイスを受け、シートポジションも調整して再度、計測

そして2度目の計測では、1度目より速度も上がり、ブレーキも踏めるようになりました。最も変わったのは、ペダルの踏み方とドライビングポジションです。1度目は体が揺れてカメラに映り込むことがありましたが、2度目はそういうシーンは無くなりました。これは正しいドライビングポジションが取れて、体が揺れなくなったから。

「スムーズな運転には安定した視点は不可欠なポイントです」と、インストラクターからアドバイスされました。

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コース図を使ってどこでブレーキやアクセルを踏むのかを説明する
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1回目の青に比べて、2回目の赤ではブレーキを踏んでいることがわかる
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ペダルの踏み方が改善されていると褒められた
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1回目はペダルの踏み方。2回目はハンドル操作についての説明が行われた

 

 

 

 

2度目のアドバイスが終わると、またマークXでブレーキングからハンドルを切って曲がることを練習。数字の付いたパイロンでブレーキを踏み、速度をしっかりと落としカーブを曲がる…という実践的なトレーニングです。これがしっかりとできれば、サーキット走行でもタイムアップが可能となる技術です。

走行データ計測プログラム30
ブレーキをしっかりと踏んで指定されたパイロンまでに停める練習

これまでのアドバイスを受けて、いよいよ3度目の計測。直線部分でしっかりと加速し、カーブの進入前でしっかりとブレーキングして曲がるようになっています。データを見ても1回目より2回目、さらに3回目と、ブレーキを踏んでいる時間が長くなっていました。

プログラムを終えて話を聞くと、「最後の回は運転が面白くなって1周多く走ってしまいました。クルマの走行中の動きやドライビングポジション、運転するときのブレーキの重要性がわかったので、これから楽しく運転できそうです」とのこと。

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インストラターに言われたペダル操作は改善されている
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回数を重ねるうちにしっかりとブレーキで減速していることがグラフに表れている
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左が1回目で右が3回目。ブレーキをしっかりと踏めるようになり、ハンドルを切る量が減っている
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画面右上が最もスムーズな運転をしたときのG・Gダイアグラムのグラフだ

 

 

 

 

 

可視化されたデータとインストラクターの丁寧なアドバイスによって、自分の運転を見つめ直して、よりスムーズで安全な運転ができるようになるスグレモノのプログラムです。またスキルに合ったアドバイスをしてもらえるので、初心者からサーキット走行経験者まで、どんな人でも安心して受けることができます。一度受けたら、何度も受けたくなるプログラムですし、運転するすべての人がスムーズな運転を心がければ、交通事故はもっと減らせると実感しました。

走行データ計測プログラム26
無事に講習が終わり、インストラクターとグータッチで挨拶

自分も受けてみたい!と思った人は、モビリタのホームページで開催日をチェックしてみてください。

(文・写真:萩原 文博/撮影協力:トヨタ交通安全センター モビリタ)