■手に持たなければOKなの?

●どのような状態が違反の対象なのか

スマートフォン
第71条からスマートフォンなどを「手で保持すること」と、「画面を注視すること」の大きく2つが禁止されています

クルマを運転しているときに、スマホを操作してはいけないということは、ドライバーであれば誰もが知っていて当たり前の道路交通法です。

具体的には、道路交通法第71条第5項の5において、「自動車又は原動機付自転車を運転する場合においては、当該自動車等が停止しているときを除き、携帯電話用装置、自動車電話用装置そのほかの無線通話装置を通話のために使用し、又は当該自動車等に取り付けられ若しくは持ち込まれた画像表示用装置に表示された画像を注視しないこと」とされています。

「携帯電話用装置、自動車電話用装置そのほかの無線通話装置」には、補足として「その全部又は一部を手で保持しなければ送信および受信のいずれをも行うことができないもの」のことを指しているとされています。

よって、この第71条からスマートフォンなどを「手で保持すること」と、「画面を注視すること」の大きく2つが禁止されていることがわかります。

首都圏の交通安全課の担当者は、「スマホスタンドを使用していても、画面を見ながら走行している場合は『注視』にあたるため、違反になる可能性があります」と説明しており、手に持っていないからといって、スマホを使用しても良いわけではないことがうかがえます。

もちろん、スマートフォンに限らず、タブレットやパソコン、そのほかの機器もすべて同様で、運転中は周囲の安全確認をしっかりとおこない、クルマの操作に集中する必要があります。

とくに、運転中のスマートフォンなどの操作禁止については、警察庁や自治体も頻繁に注意を呼びかけている違法行為でもあります。

警察庁が公表している「携帯電話使用等に係る使用状況別交通事故件数の推移」によると、2016年に2605件、2017年に2832件、2018年に2790件、2019年に2645件、2020年には1283件の携帯電話の注視や使用による事故が発生しています。

●コロナの影響も関係?

パソコン
外出自粛の動きも関係していると考えられます

2020年は急激に事故件数が減っているように見えますが、これには新型コロナウイルス感染症の蔓延による、外出自粛の動きも関係していると考えられます。

また、2016年から2020年の5年間で1番多いのが、「注視」が要因となっている事故で、毎年、携帯電話等の使用にかかわる事故要因の半数以上を「注視」が占めています。

「手に持ってさえいなければ…」「少し動画を見るくらいなら」など、軽い気持ちで画面を注視してしまう人もいるかもしれませんが、違反行為である以前に、注視の危険性をしっかりと理解し、絶対におこなわないように心がけましょう。

●スマホ運転は、「ダメ絶対!」

スマートフォン
「音声入力」「ハンズフリー」などの機能は大丈夫?

一方で、スマホを触らず、画面も注視せずに操作できる方法として「音声入力」「ハンズフリー」などの機能が挙げられます。

では、音声入力であれば、スマホ操作などをおこなっても違法性はないのでしょうか。

実は、道路交通法には音声入力を違法とする条文はありません。前述した第71条では、「保持」と「注視」を禁止しているものの、音声入力は、これに触れないものとされています。

しかし、音声入力をする際に、イヤホンなどを使用すると場合によっては、各地域ごとに制定する「道路交通法施行細則」の違反になる可能性があります。

たとえば、東京都独自の交通ルールを定めた施行細則では、第8条において「高音でカーラジオ等を聞き、又はイヤホーン等を使用してラジオを聞く等安全な運転に必要な交通に関する音又は声が聞こえないような状態で車両等を運転しないこと」と定められています。

このように、周囲の音が聞こえなくなることは、運転に危険性をおよぼすと考えられるため、音声入力を使用する際も、イヤホンなどは装着せずにおこなうのがベストといえます。

さらに、「保持」や「注視」、イヤホンの使用の有無にかかわらず、スマートフォンの使用方法が運転に危険性があるとみなされた場合は、道路交通法第71条「安全運転の義務」の違反になる可能性もあります。

安全運転義務違反とみなされると、大型車では1万2000円、普通車では9000円の違反金が科せられ、違反点として2点が加点されます。

安全な運転をおこなうために、スマートフォンを操作する際は、近隣のパーキングなどにクルマを停車させてからおこないましょう。

(梅村 ゆき)