■ヤマハの稼ぎ頭、マリン部門

YAMAHA HARMO
ヤマハ発動機の営業利益推移。濃い青が2輪部門、薄いブルーがマリン部門

驚いた! ヤマハ発動機と言えば2輪車をメインとする企業だと思っていたけれど、2021年の決算を見たら2輪部門(濃い青)とマリン部門(薄いブルー)の営業利益はイーブン! 2022年の上期なんか最大の稼ぎ手になっている。しかも今後の予想を見ると110%とか120%という元気一杯の数字が並ぶ。今やヤマハ発動機にとってマリン部門は最も重要な分野といっていい。

●マリン環境への心意気は電動パワーユニット『HARMO』にも

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そんなマリン部門にも当然ながら二酸化炭素排出抑制の義務が出てくる。ヤマハの担当者に聞くと、水素や電気など様々な研究をしているというが、小型船舶(最も多いのは漁船)のパワーユニットとして決定的な答えは出ていないそうな。だったら「出来ることからやりましょう!」ということでスタートしたのが、今回試乗会を行った小型の電動パワーユニット「HARMO」である。詳細見ると、なかなか興味深い!

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周囲がコイル、プロペラ部分のリムが回転子となる
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YAMAHA HARMOのモーターでもあるプロペラ部分

なかでも「初めて見ました!」なのがモーターとスクリューを一体化したユニット。普通、電動船外機はモーターのシャフトにプロペラを付ける。エンジンをモーターに変えた、と思えば解り易いと思う。『HARMO』と呼ばれるヤマハのパワーユニットは、ステーターと呼ばれる電極や磁石を写真のダクトに配した。ダクト部分がモーターになっているワケ。この構造、高速回転は苦手ながら、低速で高トルクを出せます。

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試乗は横浜ベイサイドマリーナの構内

しかも低負荷で稼働させた時は通常の軸モーターよりずっと高効率とのこと。実際、今回試乗した(同乗ですね)ボートに7人乗って4km/hで走らせる時の出力は500W程度で済むという! 試作船は石器時代的な鉛電池を使っていたけれど、新世代リン酸鉄リチウム電池を使うことにより12Vの400Ahタイプ1個で(容量5kWh。重さ40kg。20万円少々)10時間走れる。素晴らしい効率だ!

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さらに水の抵抗の低いカタマラン(双胴タイプ)に搭載すると、同じ出力でもっと速度出せることだろう。5km/hで10時間航行出来れば50km進む。欧州で普及している運河用のプレジャーボートなどに使ったら最高だと思う。はたまた、もっと大きなサイズのカタマランに2セット搭載することで、観光地の運河クルーズ(東京湾奥のお花見クルーズなどに最高です!)に使える。すぐ実現出来そう!

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本当に静か! 音はしない

なんといっても音がせず快適! 最新の大型クルーズ船と同じ、いわゆるポッド推進のためマニューバビリティ高く、その場で回転も可能。さらに500Wなら300Wの太陽光パネル2枚(サイズは1枚100cm×170cm程度)で発電出来てしまう。価格は2枚で4万円しない。いずれにしろボートには屋根が必要。今回乗ったボートなら屋根にちょうど良いサイズです。これを付ければ、天気良い日はいくらでも走れる。

いやいや夢がありますね! 量販すればコストも下がってくる(現在は少量生産のため削り出しの部品もあるとか!)。同じコンセプトでサイズアップしていくと、屋台船や水上バス、観光船といった様々な用途に使えるんじゃなかろうか。22フィートくらいのカタマランで、曇りの日は搭載している電池使って6時間10km/h走れ、天気良ければそいつをターボ代わりに使い16km/hくらい出たら欲しいです!

もちろん二酸化炭素は出さない。

(文:国沢 光宏 /写真:小林 和久)