■日本が誇る変形オモチャから発想を得た運べるバイク

日本が誇るサブカルチャーのひとつが変形オモチャ。特に、ロボットがクルマなどにも変形する「トランスフォーマー」などは、アニメや映画化なども後押しし、登場するキャラクターを忠実に再現したオモチャも世界中で大きな支持を受けていますよね。

「CES 2023 イノベーションアワード」も受賞
「CES 2023 イノベーションアワード」も受賞

そんなトランスフォームするオモチャから発想を得た、折りたたみ可能な電動バイクが「タタメルバイク」。

四角くてコンパクトなボディは、スーツケースサイズに変形させることができることで、机の下やクルマの荷室などにも収納が可能な原付一種モデルです。

毎年1月にアメリカで開催される世界一の家電見本市・CESで「CES 2023 イノベーションアワード」を受賞したことでも話題となったモデルですが、その先行抽選販売をスタートアップ企業のICOMAが開始することを発表しました。

しかも、独特で小粋なフォルムを生むサイドパネルを、ユーザーの好みに応じたデザインにできるオーダーメイドも可能だといいます。

●往年のモトコンポを彷彿させる変形バイク

タタメルバイクは、前述の通り、スタートアップ企業のICOMAが開発した折りたたみ式の電動バイクです。開発を手掛けた同社の代表取締役である生駒崇光さんは、タカラトミーで変形オモチャ「トランスフォーマー」の海外事業を担当した実績を持つ人。その経験から発想を得たのが、このモデルだといいます。

折りたためることで、コンパクトになるタタメルバイク
折りたためることで、コンパクトになるタタメルバイク

主な特徴は、なんといってもその小粋で四角いフォルム。車体サイズは、全長1230mm×全幅650mm×全高1000mmですが、折りたたむことで、全長690mm×全幅260mm×全高690mmとスーツケースと同じくらいのサイズにすることも可能。

自宅内にある机の下やクルマの荷室にも積載できるサイズにできることで、駐車スペースを気にせず保管することができます。

1981年に登場したホンダ・モトコンポ
1981年に登場したホンダ・モトコンポ

ただし、車体重量は57kg(バッテリー込み/サイドパネルは除く)とちょっと重いので、クルマに積む場合は、2人以上で載せないとちょっと辛いかもしれませんね。

ちなみに、折りたためてクルマに積める原付バイクといえば、1980年代にホンダが販売した「モトコンポ」というモデルがありました。

当時、同時発売したコンパクトハッチバック車「シティ」に載せることを前提に開発されたモデルで、ハンドルを折りたたむことで、やはりコンパクトなサイズを実現していました。

ホンダ・シティも1981年にモトコンポと同時発売
ホンダ・シティも1981年にモトコンポと同時発売

モトコンポは、車体サイズが全長1185mm×全幅535mm×全高910mmで、車両重量45kgでしたから、タタメルバイクはそれよりちょっと大きくて、重いようですね。

でも、そのスタイルやコンセプトから見ると、まるで「現代のモトコンポ」と呼んでもいいかもしれません。

モトコンポを折りたたんだところ
モトコンポを折りたたんだところ

●原付スクーターと同等の走破性を発揮

そんなタタメルバイクは、定格出力600W、最高出力2000Wの駆動用モーターと、定格容量12Ah(約0.6kWh)のリチウムバッテリーを搭載しています。規格は原付一種ですから、普通自動車免許や原付免許など、原付バイクを運転できる免許があれば乗ることができます。

最高速度は40km/hで、航続距離は約30km。ホイールはフロント10インチ、リヤ6.5インチで、リヤサスペンションには大径のモノサスペンションも装備することで、国内メーカーの原付スクーターと同等の走破性を実現するといいます。

バッテリーの充電は一般的な100Vのコンセントで可能。折りたためることで、自宅内に運び、室内のコンセントなどを使うこともでき、満充電までの時間は3時間。

充電時間は3時間で、自宅のコンセントなどでも可能
充電時間は3時間で、自宅のコンセントなどでも可能

搭載するバッテリーは、安全性も優れ、ライフサイクルも長いリン酸鉄リチウム電池を採用。2000〜3000回というバッテリーライフサイクルにより、長く使うことができることで、地球環境に優しいことも特徴です。

さらに、USBによる給電機能も搭載。出先でスマホなどを給電できるポータブル電源としての活用も可能です。

なお、今後機能をさらに追加することで、非常時にも役にたつ防災用ポータブル電源用途や、側面パネルを活用したデジタルサイネージ、太陽光パネルによる自家発電など、これまでのバイクにはない、さまざまな拡張可能性を検討しているといいます。

●着脱可能なサイドパネルなどをカスタマイズ販売

そんなタタメルバイクですが、今回の先行抽選販売では、着脱可能なサイドパネルなどのオーダーメイドが可能です。これは、注文を入れたユーザーの使い方を聞いて、ICOMAのデザイナーがそれに応じたデザインを施すというもの。

ユーザーの好みに応じたデザインにできるオーダーメイドが可能
ユーザーの好みに応じたデザインにできるオーダーメイドが可能

より具体的には、サイズH350mm×W570mmの左右サイドパネルやフロントセンターパネルへの特殊印刷加工、オリジナルカラーの塗装をメインに、自分だけのデザインを持つタタメルバイクを作れるというものです。

たとえば、自分のオリジナルキャラクターを入れたラッピングバイク、自分が経営するお店のロゴ入り、キャンプなどで使うためにタフなイメージにしたいなど、さまざまな要望に応じてカスタマイズを施すといいます。

オーダーメイドの価格(税込)は55万円。ICOMAの公式ホームページで、2023年5月5日より受付が開始されており、専用フォームからエントリーした人の中から、抽選で購入者を決定。デリバリーは2023年秋頃の予定だそうです。

なお、ICOMAでは、今回のタタメルバイクの先行オーダーメイド抽選販売を第1弾とし、今後もさまざまなユーザーの声を聞くことで製品をアップデートさせていくそうです。

(文:平塚直樹)