■握らず離さずの「手のひらの圧力」がバイクの運転に重要

●暑くてもTシャツ・短パンはNGです!

皆さん、こんにちは。私は猛暑でもバイクレッスンでアチコチへ駆け回っていますが、この暑さにはさすがに辟易としています。しかし暑いからといってTシャツ・短パンでバイクに乗るなんてことはしません。Tシャツで走り出すと皮膚の表面だけは涼しい感じになるけど、皮膚の炎症(火傷)以外に脱水症状も引き起こしますから要注意です。

着ているものは、暑い時期でも肩肘・背中はもちろん、胸部プロテクター付きのバイク専用ジャケットです。近くから見た感じは一般的なライディングジャケットなのに、実はメッシュタイプを使用しています。バイクから降りての買い物や散歩にも、違和感がなくて重宝しています。

さて、前回はカーブの途中でクラッチを切っても破綻しない理屈を解説したのですが、合点がいったでしょうか? 読んで納得できなくても、トライしなくても大丈夫です。要は、今の乗り方で安全快適だったら、それで良しです。乗り方の選択肢を少し増やせたらいいね、という提案です。

●集中力って歯を食いしばってる状態のことかな?

ところで、バイクツーリングの話題によく上がるのが「疲れすぎて翌日は会社を休んじゃった」というボヤキ。なぜそうなるのでしょうか?

教習所などで運転の基本操作を覚える段階で、息が止まり、歯を食いしばり、カタ・ヒジ・手がガチガチの状態で運転スキルを習得するからです。免許取得して10年、20年後もガチガチのまま走っていることに、自分自身が気づけないままだからです。各部の緊張をほぐしながら走る術を知らないままだから、ツーリング後の筋肉疲労は避けられないのです。

緊張=集中力が早く低下=ゆっくり走行でも早く疲れ危険な運転状態となります。これを避けるため運転のイロハは、普段の発進・加速・減速・停止の各操作時に、緊張度をチェックすることがとても大切ですが、手のひらの写真をまずは見てください。

手のひら
手のひら

手のひらには、誰でも常に相応の圧力をかけて走っているのが現状ですが、クラッチ、スロットル、ブレーキ、そしてステア操作時に個人差が非常に大きく出てきます。本来なら発進操作ひとつでも、コーナリング時でもチェックしたいのですが、まずは信号待ちで停止時か5分・5kmに1度でいいから手のひらの圧力確認をして欲しいのです。

その効果的な方法は

1)左右のハンドルグリップを思い切り強く5秒ほど強く握る。
2)強く握った手のひらをグリップから少し浮く状態までユルユルにします。これの反復に尽きるのです。

たったそれだけですから難しくないはず。是非実行を!

バイク操作ミスの大半は、過大な手のひらの圧力が伴っています。各操作が乱雑で急な発進やブレーキ、速度の出し過ぎによって自分をどんどん追い込んでしまい、無意識のうちにハンドルを強く握ったまま走っているのです。手にひらに伝わるバイクからの情報を脳へ伝えるべきですが、過剰圧力によって遮断され、対応時間の遅れ、誤操作に繋がりやすいのです。

手のひらの圧力を大きく減らすだけで、貴方の集中力の低下は大きく防げ、疲労も軽減できるのです。

●さらに一つ上の脱力・呼吸管理方法

さらにもう一段階クオリティの高い脱力を望むなら、次の方法を試してください。脱力に呼吸管理を加えるだけです。
上記1)と2)の作業に次の項目をトッピングするのです。

1)ハンドルグリップを強く握る時に、両肩を大きく高く上げながら鼻で息を吸います。これ以上吸い込めない状態で3秒ほど我慢。
2)次はゆっくりと息を吐きます。鼻ではなく口先を細め7秒かけながら両肩を穏やかに落としながら息を吐き切ります。

鼻で3秒で吸って、口で7秒かけて息を吐く、3秒+7秒=10秒マインドフルネス。手のひらの圧力と呼吸を連動させる、バイク版10秒マインドフルネスの実行です。ゆっくり息を吐き切る7秒のロングブレース状態こそが、もっとも高い集中力状態と言われています。

5分・5kmに1回やってください。走行中でも速度が出すぎていないなら可能なはずです。

できるだけ歯を食い縛らないで、上の歯と下の歯を噛み合わせない状態のまま、手のひらの圧力をゼロにするのが理想です。歯を食いしばる状態は、集中力ではなく、β波の過度の緊張状態です。歯を食いしばらずに、グリップには触れているだけの状態で練習やツーリングのデフォルトにするべきです。歯をくいしばる状態は、難易度が高すぎる状態、あるいは飛ばし過ぎです。効果的に見えてスリルだけの危険な状態で、上達に見えて「慣れ」だけに終わるモードと解釈してください。

そんなハンドルグリップを「握らず離さず」の状態を、私は「FG」ことフローティング・グリップと呼んでいます。

●脳と仲良くなる運転

手のひらの圧力低減FGはもっとも大切な脱力管理であり、同時に呼吸管理で脳にしっかりと酸素を送る管理になるというわけです。なんとなくの呼吸や脱力は誰でもやっているでしょうが、もっとも重要なことは「より正確かつ明確に部位・場所をフォーカスし、さらに高品質な呼吸脱力管理」を実行することです。

これがα波1-2-3段階の脳波のうちの「もっとも高い集中力維持となるミッドアルファ=α2」(周波数9-11Hz)に持っていく作業となります。

α2は、運転初級から超エキスパートまで絶対に欠かせない脳波ゾーン。これを常に意識して生み出す習慣化こそが大事なのです。つまり、頑張りすぎるライディングはマイナス効果。頑張らないでこそ上達と楽しさが手に入るという、奇妙に思えるかもしれない極意と私は考えて実行しています。

次回はこの手のひらの握る強さだけではなく、角度に関連するもっとも合理的なライディングフォームについて解説します。

(柏 秀樹)