ビットコイン価格は20日にクジラクラスターが示した56000ドルというレジスタンスを超えられずに停滞している。

一方で米ドル指数(DXY)は数週間ほど下落を続け、7週間ぶりの安値となる90.85ドルまで下落している。ドルの下落はビットコインにとって強気とされているが、なぜビットコインの上昇に結びつかないのだろうか。

ビットコインや金といった安全資産は、米ドルに対して価格が上下する。ドルが下落するとビットコインや金が買われ、価格が上昇するのが一般的だ。

しかしここ数日はビットコイン価格のパフォーマンスが低迷している。上記のチャートで示されるように、ドル下落時にはビットコインが上昇トレンドを迎える確率が高いにも関わらずだ。

ビットコインはここ数日間、56000ドルという重要なレジスタンスを突破できず、特に50日移動平均線(下図の緑色の線)を超えることに苦労していることから、強い売り圧力がかかっているようだ。

一部のアナリストは、ドルが上場局面を迎えると予想している。これが実現すれば、ビットコインにとってはマイナス要因になる。

コメルツ銀行でストラテジストを務めるユーナ・パーク・ヘーガー氏は、ユーロ圏のワクチン楽観主義と米連邦準備制度理事会(FRB)のインフレに対する堅実な姿勢がドルの下落を促した可能性が高いと述べている。

これにより、短期的にはドルに非常に大きな圧力がかかったが、パーク・ヘーガー氏は、今後数週間でトレンドが変わる可能性があると予想する。

しかしドルの上昇トレンド再開を否定する声もある。クレディ・アグリコルでリサーチャーを務めるヴァレンティン・マリノフ氏は、オルタナティブ市場の魅力的な利回りがドルに圧力をかけていると主張する。

「米ドルの上昇はもはや遠い昔の話となっており、この通貨の低パフォーマンスは、低迷する米国債利回りと、他地域の魅力的な債券利回りとの間に明らかに見通しの相違があることが見て取れる。これは、3月に見られた動きとはほとんど正反対だ」

10Tホールディングスの共同創業者であるダン・タピエロ氏も、ドルの弱気相場はまだ始まってもいないと述べ、さらに下降すると予想している。

短期的には強気か
一方で短期的にはビットコインには強気のニュースが流れ、これによって勢いを取り戻す可能性がある。20日にはベンモがビットコインとイーサの取り扱いを発表したことで、BTC価格は56000ドル付近まで反発した。

20日から3週間かけて機能が広く公開されていくため、7000万という利用ユーザーが仮想通貨に触れることになる。

さらにWeWorkが仮想通貨の支払いを受け付け、バランスシート上に保持することを発表した。

こうした要因から現在の不調回復に貢献するかもしれない。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン