ベンチャーキャピタル企業は2022年上半期に725件の投資案件で142億ドルを仮想通貨分野に注ぎ込んだが、4大会計事務所のKPMGは今年下半期には投資が鈍化する可能性が高いと予測している。

9月6日に発表されたKPMGのレポートによると、2022年上半期で最大の投資だったのは、ドイツに拠点を置く仮想通貨取引プラットフォームのトレード・リパブリック(11億ドル)だった。次はデジタル資産保管プラットフォームのフィアブロックス(5億5000万ドル)、仮想通貨取引所FTX(5億ドル)、イーサリアムソフトウェア会社コンセンシス(4億5000万ドル)と続く。

レポートを執筆したKPMGのフィンテック部門グローバルリーダーであるアントン・ルデンクラウ氏らは、2022年上半期の投資額だけでも、2021年以前のすべての年のすでに2倍以上であり、「この分野の成熟度が高まり、投資を呼び込む技術やソリューションの幅が広がっている」と指摘している。

しかし、ルデンクラウ氏は、記録的な高水準となった2021年と2022年前半の過剰投資に加え、迫り来る景気後退、インフレ、金利上昇、ロシア・ウクライナ戦争が、今年の投資の落ち込みをもたらすだろうとも指摘する。

KPMGのルデンクラウ氏は、仮想通貨への関心と投資の減速は、コイン、トークン、NFTを提供するリテール企業で顕著だろうと予想している。

KPMGフランスのブロックチェーン&仮想通貨資産担当ディレクターであるアレクサンドル・スタッチェンコ氏は、レポートの中で「健全なリスク管理方針、長期ビジョン、強力なコストとリスク管理アプローチを持つ管理の行き届いた仮想通貨企業」は、現在の弱気市場を生き残るのに最も適した立場にあると述べている。

「もちろん、一部の仮想通貨は消滅するだろう。特に、明確で強力な価値提案を持っていないものはそうなるだろう。それは、強気市場の熱狂の中で作られた混乱を一掃することになるので、エコシステムの観点からは、実は健全なことかもしれない。優秀な企業が生き残ることになるでしょう」

スタッチェンコ氏は、金融機関は分散型台帳技術の運用上の利点を生かすために、ブロックチェーン基盤ソリューションやステーブルコインへの関心を高めているとも付け加えている。

また、KPMGは、アフリカをはじめてる新しいフィンテック市場に対する投資みがさらに進むとも予想している。