13日にイーロン・マスク氏はビットコインのマイニングが環境に優しい再生可能エネルギーによって賄われるまで、ビットコインを使ったテスラ車への支払いを中止すると発表し、市場は大きく下落した。

この発表の際、マスク氏はビットコインの電力消費が1%以下となる「他の仮想通貨」を検討していると明らかにした。この発言を受けて、仮想通貨コミュニティではビットコイン以外の仮想通貨は何かと話題になっている。

4万5000人のツイッターフォロワーを持つ「The Cryptic Poet」氏は、ETHかXRPを使用するのではないかと予想する。これに対し「Massimo」氏は、イーサが現状はビットコインと同様のプルーフ・オブ・ワーク(PoW)を使用している段階のため、イーサはありえないのではないかと推測している。

TRGデータセンターの分析によると、ビットコインは1回の取引で平均約700キロワット時(KWh)を消費すると推定されている。これはオランダと同じくらいの電力消費量だ。さらにデジコノミストによると、年間の二酸化炭素排出量はシンガポールと同等だという(注:トランザクションあたりの電力消費量の推定は議論の余地があるため、ここでは大まかな比較として推定している)。

イーサとPoS
イーサリアムの1トランザクションあたりの消費電力は推定62.56kwhだ。イーサリアムネットワークは現在、ビットコインと同じエネルギー効率であるPoWを用いている。デジコノミストの試算によると、イーサリアムネットワークの年間二酸化炭素排出量は、スーダンの二酸化炭素排出量に匹敵するという。

しかし、これらの問題は、PoS(プルーフ・オブ・ステイク)を導入するETH2.0への移行に伴って解決される予定だ。PoSはPoWに比べて、99%もエネルギー効率が良いと言われている。

今月初め、Rocket Poolの貢献者であるジョー・クラピス氏は、小型コンピューターのラズベリーパイを使って、自宅の前庭で10台のETH2.0のバリデータを10時間稼働させ、エネルギー効率の利点を証明した。

ただ、PoSを採用しているのはETH2.0だけではなく、ソラナやカルダノといった選択肢も入ってくるだろう。

リップル
リップル(XRP)は、すべてのXRPトークンがすでに採掘されている。TRGデータセンターによると、XRPの取引で発生するエネルギーはわずか0.0079KWhであることから、(SECの訴訟次第だが)当面はテスラの選択となる可能性がある。リップルはPowと比べてエネルギー効率が高いことを定期的にアピールしている。

ステラ
ステラ・ルーメン (XLM)はXRPのモデルを踏襲した仮想通貨だ。XRP同様にトークンはすべて生成時に生成されている。また、このネットワークでは、取引の認証にステラコンセンサスプロトコル(SCP)が使用されており、PoWやPoSのステークモデルよりも少ないエネルギーで済むと言われている。

アルゴランド
アルゴランドはプルーフ・オブ・ステイクを採用しているだけでなく、ブロックチェーンが完全にカーボンニュートラル(温室効果ガスの排出量と吸収量が等しくなった状態)になったことを発表した。また、スペインのフィンテック企業ClimateTradeと提携し、企業が持続可能な目標を達成するために排出量を追跡できる二酸化炭素マーケットプレイスを構築している。両社は、ネットワークをカーボン・ネガティブ(排出する温室効果ガスよりも吸収する温室効果ガスが多い状態のこと)にするためのサステナビリティ・オラクルの実装に向けて協力している。

ドージコイン
イーロン・マスクが長年愛用してきたドージコインは、ダークホース(暗黒犬が正しいか)になるかもしれない。DOGEはPoWを採用しているライトコインネットワークにマイニングを依存している。しかし、ビットコインのマイニングには複雑なSHA-256アルゴリズムが採用されているのに対し、ドージコインとライトコインのマイニングには、エネルギー効率が高く、短時間で済むScryptが使われている。TRGデータセンターはLTCの電力使用量を1トランザクションあたり18.522KWhとしているのに対し、Dogecoinは1トランザクションあたりわずか0.12KWhと推定している。

マスク氏はがツイッターで「テスラはドージコインでの支払いを開始すべきか」という投票を行った際に、このような試算が背景にあったのかもしれない。