山に囲まれた、すてきな建物を生かしたお店

小豆島にあるほとんどの地区(集落)は海岸線沿いにあって、集落のどこかから海を眺めることができます。島暮らしといったらやっぱり海がすぐそばにあって、家の窓から海が見える! くらいの暮らしを想像しますよね。

そんななかで、私たちが暮らす肥土山(ひとやま)とお隣の中山は、山に囲まれた海の見えない場所にあります。小豆島の海とは違う魅力を感じられるエリアで、棚田が広がり、農村歌舞伎や虫送りという伝統文化がいまも残っています。今日はその中山にある〈うすけはれ〉というお店のことを書きます。

小豆島の真ん中にある中山地区。4月から田植えが始まります。

小豆島の真ん中にある中山地区。4月から田植えが始まります。

木々に囲まれた静かな場所に〈うすけはれ〉はあります。

木々に囲まれた静かな場所に〈うすけはれ〉はあります。

うすけはれは、中山地区の山の中にあります。お店の周りは木々に囲まれていて、一度夜に行ったことがあるのですが、真っ暗すぎてびっくりしました。お店を運営するのは、うえすぎあらたくん、道代ちゃんご夫婦。道代ちゃんが生まれ育った小豆島に帰ってきて、2017年5月にうすけはれをオープンされました。

年に数回企画展を開催。私が訪れた2019年3月末には「しましましまのてしごと展」を開催中でした。

年に数回企画展を開催。私が訪れた2019年3月末には「しましましまのてしごと展」を開催中でした。

お店を運営するうえすぎあらたくん、道代ちゃんご夫婦。

お店を運営するうえすぎあらたくん、道代ちゃんご夫婦。

小豆島では素麺の製造が昔から盛んなのですが、もともと素麺工場だった建物を改修してお店にしています。こんなすてきな建物をどうやって見つけたんだろうと聞いたら、町の運営する空き家バンクでみつけたそうです。

たまたま出会ったその建物。立地的にお客さんが来てくれるかどうかよりも、この建物ならいいお店にできそうだなと思って決めたそう。素麺工場の横には家があって、ふたりはそこで暮らしています。

お店の名前の由来についてはこんなふうにWebサイトに書いてありました。

暮らし始めてしばらくすると近所の方が様子を見によく顔を見せてくれるようになり、この場所のことを「うすけ」と呼んでいることを知りました。「うすけ」とは、昔ここの場所が素麺工場として使われていた時の屋号で漢字では「宇助」と書きます。店を構える際、変わらずこの場所を慣れ親しんだ名前で呼んでほしいという思いがあり、うすけに「けはれ」という言葉を足して「うすけはれ」という屋号にしました。

「けはれ」とは「ハレ=非日常」、「ケ=日常」を足した意味で、うすけの日常も非日常も楽しんでいただきたいという思いを込めています。

天井に残されている素麺工場のファン。

天井に残されている素麺工場のファン。

名前だけじゃなくて、お店の中にも当時の素麺工場の名残がたくさん残っています。天井についている素麺を乾かすためのファン、土壁や木製の引き戸。古い家具や木箱。古いものへの手の入れ方、使い方、それから新しいものとの合わせ方がとてもいいんですよね。

木製の建具。そこから差し込む穏やかな光。

木製の建具。そこから差し込む穏やかな光。

竹を使って服をディスプレイ。

竹を使って服をディスプレイ。

お店には、ふたりがセレクトした衣服や食器、雑貨、アクセサリーなどが並んでいます。小豆島をはじめ、瀬戸内の作家さんたちのものも多くあります。あらたくん自身がデザイン・制作した小豆島の鹿や猪の皮を使ったかばんや小物も! たまに遊びに行くとついついアクセサリーとか服とか買ってしまうんですよね。近所にこんなにもすてきなお店があるなんてとてもうれしい。

島の友人がつくったアクセサリーも販売されてます。欲しい……。

島の友人がつくったアクセサリーも販売されてます。欲しい……。

尾道市向島で服をつくっている井出雄二さんとうすけはれのオリジナルの衣服。

尾道市向島で服をつくっている井出雄二さんとうすけはれのオリジナルの衣服。

商品を買うだけじゃなくて、ゆっくりとお茶と手づくりのお菓子をいただくこともできます。お菓子は道代ちゃんの弟さんがつくっているそうで、これまたおいしい! うすけはれに行って、コーヒーとお菓子をいただくのが私の楽しみのひとつだったりします。

コーヒーはハンドドリップで丁寧に淹れてくれます。

コーヒーはハンドドリップで丁寧に淹れてくれます。

この日のおやつは酒粕のスフレ。おいしかった〜。

この日のおやつは酒粕のスフレ。おいしかった〜。

今年は瀬戸内国際芸術祭の会期に合わせて、企画展を開催するそうです。まずは春会期、4月26日より「瀬戸内でつくられるものたち展」が始まります。瀬戸内の作家さんのものがいつもよりたくさん集まります。期間中は無休で営業されるそうです。うすけはれにぜひ立ち寄ってみてください。

information

うすけはれ

住所:香川県小豆郡小豆島町中山131-1

営業時間:10:00〜17:00

定休日:火・水曜(展示期間中は無休)

https://www.usuqefare.com

information

HOMEMAKERS 

住所:香川県小豆郡土庄町肥土山甲466-1

営業時間:金曜、土曜のみ 11:00〜17:00(L.O. 16:00)*冬季休業

http://homemakers.jp/

writer profile

Hikari Mimura

三村ひかり

みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島の中でもコアな場所、地元の結束力が強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HOMEMAKERS」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、築120年の農村民家(自宅)を改装したカフェを週2日営業中。http://homemakers.jp/