今月のテーマ 「わたしのまちの防災」

毎年データを上書きするかのように、さまざまな災害に見舞われる日本。各地の河川で大氾濫を引き起こした「令和元年台風」も記憶に新しく、命を守る行動について、考えを改める機会が多くなっています。

そんな経験や得た教訓を、さまざまな“かたち”で伝え、生かす地域があります。悲しい記憶を、前向きに伝えようとするアイデアや工夫は、いつの間にか、地域に愛される“文化”になっていくようです。

今回は、全国の皆さんから集まった「共有したい防災アイデア」をご紹介します。

【石川県能美市】 大災害の記憶を、“お菓子”で語り継ぐ

日本三霊山のひとつである白山を源に、日本海へと注ぐ手取川は、急流として知られ、かつては氾濫を繰り返していました。

治水技術の発達で氾濫が抑えられるようになり、流域では洪水のことも忘れつつあった昭和9年のこと。悪い条件が重なって、手取川は氾濫し、未曾有の大災害を起こしました。

普段は穏やかな手取川の流れ。

普段は穏やかな手取川の流れ。

その災害のことを風化させないため、発生した「昭和九年」を名前にしたお菓子が売られています。

こちらをつくっているのが、手取川の流域、能美市にある〈御菓子處たなか〉。昭和61年からかれこれ30年以上、この郷土銘菓をつくり続けています。

お菓子の名前にして災害を忘れさせないという発想に驚かされますが、茶道や和菓子の文化が根づいている石川県だからこそ、ともいえそうです。

御菓子處たなかの店内。店舗は12月にすぐ近くに移転予定。

御菓子處たなかの店内。店舗は12月にすぐ近くに移転予定。

最中に大納言小豆の餡、カステラ、バタークリームがサンドされた和洋折衷のお菓子。甘さ控えめで重たくなく、ずっと食べ続けていられるような、誰にでも愛されるおいしさです。

〈手取川 昭和九年〉1個175円(税込)。日本茶だけでなく、紅茶やコーヒーにもよく合う。

〈手取川 昭和九年〉1個175円(税込)。日本茶だけでなく、紅茶やコーヒーにもよく合う。

手取川の氾濫は、災害だけでなく、一方で能美市の名産〈加賀丸いも〉が育つ土壌という恵みも与えてくれました。

「水を大切にしなさいということだと思っています」

と御菓子處たなかの田中さんは言います。その言葉を聞き、水や川への関心を高めることが、防災の第一歩なのではと思いました。

information

御菓子處たなか

住所:石川県能美市徳久町ナ50(※2019年12月に移転予定)

TEL:0761-51-2116

営業時間:8:00〜19:00

定休日:水曜(祝日の場合は営業)

photo & text

若井 憲 わかい・けん

フリー編集者&ライター。神奈川県生まれ、石川県在住。旅行雑誌の編集者を経て、1999年に家族とともに、Iターンで石川県へ移住。地に足がついた情報発信ができるローカルメディアのおもしろさを知る。編集長を務めていた季刊誌の休刊を機に、2018年からフリーとなり、北陸の魅力を広く伝えることに力を注ぐ。製本家の妻がつくる豆本ではイラスト描きも。Web:豆本工房わかい

【岩手県一関市】 まちのBGM! 震災後に開局したFMラジオ

一関の防災と聞いて一番に思いつくのが、ラジオの存在です。地域で親しまれるコミュニティFM〈FMあすも〉は、東日本大震災の1年後の、2012年に開局しました。

FMあすも

ラジオパーソナリティの塩竃一常(しおがまいちじょう)さん。

ラジオパーソナリティの塩竃一常(しおがまいちじょう)さん。

3年前にUターンで一関に戻って来た際に、住所変更の手続きで市役所を訪れたら、帰り際にラジオが手渡され、驚きました。なんとラジオが全戸に配布されているのです。

全戸配布されたラジオ機

地域おこし協力隊の活動中や、移動時の車の中、地域の方のお宅を訪れると、いつもFMあすもが流れています。なかにはスピーカーに取りつけて、畑の熊避けに使っている方もいました(笑)。

地元の情報源でもあるFMあすもには、地域でイベントを行うときは、たびたび宣伝で出演させてもらうことがあり、出演後は「櫻井くん、こないだあすも出でだっけなぁ」と地域の人に会うたびに言われることもしばしば。

イベントの宣伝で、ラジオ出演させてもらいました

そんなまちのBGMになっているFMあすもは、災害時に瞬時に情報を伝えてくれます。

先日の大型台風のようなときはもちろん、日頃起こる小さな地震でも、ものの30秒もしないうちに情報を伝えてくれます。

いつも暮らしのそばにあるラジオが、まちの防災を支えてくれています。

photo & text

櫻井 陽 さくらい・よう

岩手県一関市出身。2016年よりUターンで一関市の地域おこし協力隊に着任し、農業分野の地域団体の活動支援を行う。好きな食べ物はカレー。趣味の硬式テニスをやらないと病にかかる体質。2017年より一関で楽しく暮らしたい20代のための地域団体〈TAKU。(たくまる)〉を発足し、各々がまちを楽しむためのさまざまな企画を実施する。

Instagramでみるわたしのまちのくらしとけしき

今月は「秋」がテーマ。秋の味覚、風景、お気に入りの場所――Instagramに投稿された、全国のまちのくらしとけしきをご紹介します。

【新潟県長岡市】秋が旬の食用菊〈おもいのほか〉

この投稿をInstagramで見る

な!ナガオカ(@na_nagaoka)がシェアした投稿 -- 2019年11月月14日午前4時05分PST

【石川県白山市】秋は夕暮れ。お気に入りのカフェにて

この投稿をInstagramで見る

Glocal Food Lab(@glocalfoodlab)がシェアした投稿 -- 2019年11月月24日午後6時34分PST

【長野県栄村】この景色も、もうすぐ銀世界に

この投稿をInstagramで見る

Ai Yarimizu(@aiyarimizu)がシェアした投稿 -- 2019年11月月23日午後11時24分PST

【愛媛県西条市】棚田を埋め尽くすコスモス

この投稿をInstagramで見る

ひの あい(@hino_ai)がシェアした投稿 -- 2019年11月月1日午前8時19分PDT

あなたの住むまちのこと、Instagramで投稿してみませんか?

あなたのまちのくらしとけしきを、連載〈このまちのくらしとけしき〉に掲載いたします。

地域ならではの食文化、風景、祭事、自慢したいこと、まちの有名人、友人が訪ねてきたときに連れていきたいお店や絶景スポット etc ……。どんな投稿でもOKです。

【投稿方法】Instagramに「#このまちのくらしとけしき」のハッシュタグをつけてご投稿ください。投稿〆切はございません。

【掲載採用について】編集部でいくつかの投稿をピックアップいたします。採用された方には、DMにて事前に連絡をいたします。※投稿されたInstagramがすべて掲載されるわけではありませんので、ご了承ください。

あなたのまちのくらしとけしき、投稿をお待ちしております!

photo & text

Ken Wakai, Yo Sakurai

若井 憲/櫻井 陽