2018年4月、国際NGO〈世界で最も美しい湾クラブ〉に加盟認定された九十九島(くじゅうくしま)。長崎県佐世保湾から北へ、平戸までの約25キロの海域には複雑に入り組んだリアス海岸と208の島々が織りなす美しい自然景観が広がっています。大自然を満喫できる九十九島のアクティビティを中心に、佐世保の魅力を詰め込んだ、とっておきの旅をご案内。

世界文化遺産に登録された集落のある黒島や佐世保で話題のはしご酒スポットまで。佐世保のよくばりなアウトドアトリップへ、出かけてみませんか?

1.シーカヤックで青い海を全力で楽しむ 無人島ランチツアー

乗船場沿いにシーカヤックを準備。インストラクターに簡単なレクチャーを受けて出発。

乗船場沿いにシーカヤックを準備。インストラクターに簡単なレクチャーを受けて出発。

佐世保市が世界に誇るもののひとつとなった九十九島は、市内8か所にある展望台からの眺めもすばらしいですが、その湾の美しさを間近で体感することもできます。佐世保駅から米海軍佐世保基地やSSK(佐世保重工業)を横目に車で走ることおよそ15分。〈九十九島パールシーリゾート〉を発着地点とした、シーカヤックやヨットツアーが体験できます。

せっかく夏に九十九島を訪れるなら、美しい海へと飛び出してみたい。そこで、今回体験したのは、〈ウェーブピーク〉の「無人島ランチツアー」。九十九島の島々を眺めながら、片道40分ほどかけて無人島に上陸するコースです。

水面に近い位置から九十九島を眺め、ゆったり無人島を目指すシーカヤックの旅。

水面に近い位置から九十九島を眺め、ゆったり無人島を目指すシーカヤックの旅。

透明度の高い海水に、ほのかに香る潮の匂い。多くの島々が防波、防風の役割を果たし、とにかく海が穏やか。それぞれの島が織りなす風景は、変化に富んでいてパドルを漕ぐ手が思わず止まってしまいそうになるほど。

九十九島の地層は、新生代第3紀層の砂岩でできていると言われ、これが九十九島特有の絶景をつくったのだとか。いくつもの層が重なった島の岩肌は美しく、なかには縞や渦のような不思議な模様の砂岩も発見できました。自然が何千億年かけてつくった岩の造形は、まさに天然のアートです。

九十九島の無人島でバーべキュー。メインは長崎和牛のステーキ。

九十九島の無人島でバーべキュー。メインは長崎和牛のステーキ。

片道およそ3キロの距離を漕いだとは思えないほどあっという間の40分。無人島に上陸すると、悠々と飛び回るトンビやミサゴ、絶滅危惧種のウミアメンボが出迎えてくれました。

無人島ランチツアーは、上陸するとガイドの方がさっそくランチの準備をしてくれます。その間、海を眺めながらゆっくり過ごしたり、海岸線を散策したり……小さいながらも美しいビーチがある無人島なので、海水浴を楽しむツアー客もいるそうです。

雑穀米に手づくりキーマカレー、ステーキにスペアリブに焼き野菜とボリュームたっぷり。

雑穀米に手づくりキーマカレー、ステーキにスペアリブに焼き野菜とボリュームたっぷり。

4月〜10月は、BBQと季節に合わせた料理を用意。ガイドさん手づくりのキーマカレーと焼きたての長崎和牛は絶品でした。

「静かな自然を感じながら、たっぷりおいしいごはんを食べてもらって体も心も満足してもらいたい」というガイドさんの心遣いがうれしいランチ。

寒い時期は、温かい鍋料理を準備。特に冬季は九十九島の海で養殖された〈九十九島かき〉も楽しめるというから贅沢です。

トンビの鳴き声や波の音を聞きながら食べるランチは、格別。

トンビの鳴き声や波の音を聞きながら食べるランチは、格別。

information

ウェーブピーク無人島ランチツアー

ツアー実施場所:長崎県佐世保市鹿子前町1008

料金:大人14500円、子ども13500円

TEL:0956–80–1710

アクセス:佐世保駅から車で15分(駐車場は九十九島パールシーリゾート内を利用)

定休日:なし

2.世界文化遺産の島「黒島」のアクティビティを満喫!

黒島の引き

佐世保市本土から、西へ約12キロの沖合いに浮かぶ黒島。 九十九島の中でも、面積が最大の島です。400人余りの島民のうち、約8割がカトリック信者で、 人々の信仰の歴史を物語る「黒島の集落」は、 2018年7月「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産のひとつとして、世界文化遺産に登録されました。

しかし、黒島の魅力はそれだけではありません。 釣りやサイクリングを楽しみたくなる、ダイナミックで豊かな自然も魅力のひとつです。

釣り

写真:ただ(ゆかい)

黒島の海の恵みを体感するなら、ぜひ釣りにチャレンジを!九十九島の周辺の中でも、黒島は、多種多様な魚が釣れることで有名で、全国から釣り人が訪れます。 釣り具を持参しての磯釣りはもちろん、 島内の民宿や漁師さんによる、漁船のチャーターも可能。 島旅ならではの思い出づくりにおすすめです。

黒島内の散策は、〈黒島ウェルカムハウス〉で借りられるレンタサイクルがおすすめ。電動アシスト自転車で、坂道もらくらく!

黒島内の散策は、〈黒島ウェルカムハウス〉で借りられるレンタサイクルがおすすめ。電動アシスト自転車で、坂道もらくらく! 写真:ただ(ゆかい)

黒島のダイナミックな自然を感じるなら、サイクリングがおすすめ!半農半漁で暮らすのどかな集落の風景も楽しみながら、島内をぐるりと回ることができます。

黒島サイクリング

写真:ただ(ゆかい)

青々とした海、珍しい岩や神秘的な自然の造形、溢れる緑や花々……島の手つかずの大自然が、しばし忙しい毎日を忘れさせてくれます。

information

船釣り体験・漁船のチャーターに関する問い合わせ/電動アシスト自転車のレンタル 黒島ウェルカムハウス

住所:佐世保市黒島町8-4

TEL:0956-56-2311

営業時間:9:00〜16:00

電動アシスト自転車レンタル料金:1時間あたり300円

3.佐世保市内ではしご酒!

2008年より立ち飲みスタイルで九州のお酒を提供する〈注連蔵(しめぞう)〉。置いている日本酒は佐世保の酒蔵〈潜龍酒造〉や〈梅ヶ枝酒造〉のお酒をはじめ45種類、焼酎は33種類とすべて九州のお酒です。

2008年より立ち飲みスタイルで九州のお酒を提供する〈注連蔵(しめぞう)〉。置いている日本酒は佐世保の酒蔵〈潜龍酒造〉や〈梅ヶ枝酒造〉のお酒をはじめとする45種類、焼酎は33種類とすべて九州のお酒です。

九十九島でアクティビティを楽しんだ後は、“夜の佐世保”へ。佐世保といえば、アメリカンな気分を味わえるバーもいいけれど、日本酒を楽しめるお店はいかが?

夜店公園通り沿いにある〈注連蔵(しめぞう)〉には、長崎の日本酒をはじめ、九州のお酒が店内にずらりと並んでいます。もともと、酒見屋酒店という酒屋だったこちらは、角打ちスタイルが人気。壁に掛けられた木製の清酒の看板や酒屋時代の白黒写真がお店の歴史を物語り、より一層いい雰囲気を醸し出します。

生簀からあげてすぐの「長崎ハーブ鯖の活き造り」3300円。鯖特有の青臭さがなく箸が進みます。

生簀からあげてすぐの「長崎ハーブ鯖の活き造り」3300円。鯖特有の青臭さがなく箸が進みます。

特別純米酒〈酒々泉〉1合540円。姉妹店〈ささいずみ〉オリジナル日本酒。キリッとした飲み口。

特別純米酒〈酒々泉〉1合540円。姉妹店〈ささいずみ〉オリジナル日本酒。キリッとした飲み口。

おでん3点盛り400円。丸い「げんこつ」と呼ばれる佐世保の練りものは、タコのゲソがいい食感。「どてこん」100円。

おでん3点盛り400円。丸い「げんこつ」と呼ばれる佐世保の練りものは、タコのゲソがいい食感。「どてこん」100円。

暖簾をくぐったら、おつまみときき酒セットを頼んでいろいろなお酒を試してみるのがおすすめ。おでんはあごだしを使い、練りものを入れるのが佐世保流。さっぱりしているけれど、深い魚介の味わいが特徴です。どてこんと呼ばれるこんにゃくは、佐世保の老舗、〈井手蒟蒻店〉のものを使用し、白味噌で煮込んだ逸品。「甘い味噌が佐世保の味」と、地元の人も愛する馴染みの料理です。

information

注連蔵(しめぞう)

住所:長崎県佐世保市下京町4-13

TEL:0956–23–3933

アクセス:佐世保駅から歩いて10分程度

定休日:年末年始

営業時間:11:30~15:00(昼は平日のみ営業)17:00~23:00

URL:http://sasaizumi.com/

2軒目は、赤暖簾が目印の〈宮﨑酒飯〉へ。2020年2月にオープンした創作和食のお店です。大きな梁が印象的でモダンな装いの店内。カウンター越しに店主の料理する様子を見られるのもまた一興です。旬の地元食材を使って、丁寧に振る舞われる料理は見た目にも美しいものばかり。

「夏野菜の炊き合わせ」700円。地元の野菜を使用。冬瓜、トマト、小なす、小芋、合鴨をカツオ出汁で炊いた逸品。

「夏野菜の炊き合わせ」700円。地元の野菜を使用。冬瓜、トマト、小なす、小芋、合鴨をカツオ出汁で炊いた逸品。

「季節の白和え」600円。季節に合わせて食材が変わります。取材時は桃でした。かわいい最中に挟んでいただきます。

「季節の白和え」600円。季節に合わせて食材が変わります。取材時は桃でした。かわいい最中に挟んでいただきます。

「刺し盛り」800円〜。地元の魚を仕入れ、旬のものを提供(イサキ、鯖、カマスの炙り、さわらの炙り)。薄口醤油でいただく上品な味わいです。

「刺し盛り」800円〜。地元の魚を仕入れ、旬のものを提供(イサキ、鯖、カマスの炙り、さわらの炙り)。薄口醤油でいただく上品な味わいです。

合わせるお酒は〈壱岐 ゴールド〉を。佐世保でも愛されているむぎ焼酎で、琥珀色の輝きと芳醇で華やかな香りが特徴です。

店主の宮﨑大輔さん。

店主の宮﨑大輔さん。

県外で料理人として修業をし、地元佐世保でお店を開かれた宮﨑さん。「焼酎グラスに使っているのは波佐見焼ですし、三川内焼など、帰ってきて地元にいいものがあることに気づかされましたね」と、祖母から受け継いだという品のある食器や小物を大切に並べられる姿が印象的でした。「あんまりメニューを決めてないんですが、魚の脂の乗り具合も違うので、その季節ごとに一番おいしい食べ方を提案しています」と、いつ来ても四季折々の食材の良さを愉しめるメニュー設定は、常連客から支持されている理由です。

うまい酒にうまい肴。佐世保を感じられる料理と共に夜の雰囲気を味わってみてください。

information

宮﨑酒飯(みやざきしゅはん)

住所:長崎県佐世保市常盤町4-23

TEL:0956–22–7573

アクセス:佐世保駅からタクシーで8分程度

定休日:日曜

営業時間:18:00〜24:00

writer profile

Miyuki Nakamura

中村美由希

なかむら・みゆき●佐賀県出身。佐賀を編集するWEBマガジン「EDITORS SAGA」の編集長を経て、2020年よりフリーで活動。佐賀県20市町の地域プレイヤーを繋ぐことをモットーに、観光×暮らしのあり方を模索している。

credit

撮影:保利一誠