災害に備え、あらためて暮らしを見直す

大雨による土砂災害など、各地で災害が相次いでいます。伊豆下田も、先日の豪雨で道路が寸断され、陸の孤島になりかけたそう。自然と隣り合わせで暮らすということはどんなメリットとリスクがあるのでしょう?あらためて、災害に備える暮らしを考えてみました。

陸の孤島になりかけた下田の状況は……?

先日の豪雨により伊豆半島を代表する観光地、熱海で土砂災害が起こり、甚大な被害が出てしまいました。被災者の方々にお見舞いを申し上げるとともに、一刻も早く日常を取り戻せるよう祈っております。

わが家が暮らす同じ伊豆半島にある下田は、全国に先立って避難指示が出されたこともあり、状況を心配する声をいただきました。

幸い大きな被害はありませんでしたが、市内全域の学校は2日間休校になるような異例の状況。土砂崩れにより一部の道路は通行止め、下田で唯一の電車伊豆急行も止まり、半ば陸の孤島という状況になっていました。

そんななか、移住して間もない頃に、地元の方からこんなことを言われたのを思い出しました。「災害があって道路が寸断されても、そこらに水は湧いてるし、海には魚がいるし、山にも食べるものがたくさんある。ここは安心だよ」

下田近辺の海の中。たくさんの魚が回遊中

自宅近くの海の中をのぞくと……こんな世界が広がっています。

今回の土石流は人的要素により被害が拡大したようですが、地形によっては土石流は避けられない災害ともいえます。

土石流を注意喚起するための標識

自宅近くの土石流を注意喚起するための標識。自治体の指示に耳を傾けることも大切ですが、自宅周辺の地形を知ることの大切さをあらためて感じました。

そもそも地形というのは火山活動や波、雨風によって刻々と変わっていくものです。

龍宮窟

都会にいるとつい忘れてしまいますが、火山でできた半島、伊豆では動きを感じさせてくれる地形が身近なところに多くあります。こちらは下田市の龍宮窟。

そしていま、毎年のように、数十年に1度といわれる規模の災害が起こっています。災害が起きにくいといわれていた地域を襲うこともあり、どこにいようが安心できない、という状況なのかもしれません。

地震、津波、豪雨による河川の氾濫に土砂災害、台風に竜巻に……考えたくはないですが、すべてが起こり得ること。自分たちの身の上にもいつ何が起こるか、誰も予測ができません。万が一の……いや、必ず起こる災害にしっかり備えていきたいと、わが家の暮らしをいま一度見直してみました。

災害に備える暮らし。避難グッズの確認!

ヘッドライトやランタン、水など各種避難グッズ

まずは避難グッズを再確認。わが家では防水性のリュックを玄関に置いています。家族3人分のヘッドライトをその上に置き、いつでもパッと手が届くように。

以前、とある雑誌の企画で1日避難体験をしたのですが、そのときにこのヘッドライトがとても便利だと実感しました。避難のときに、両手が空くのと空かないのではだいぶ違います。

今回の豪雨のあと、ヘッドライトやランタンの電池残量の確認や、非常食の賞味期限などをあらためてチェックし、補充や交換をしました。定期的に確認しなくては、と思いながらついつい忘れてしまいます。災害多発シーズンを目前に控えた梅雨時の恒例行事にすることにしました。

食糧の備蓄に関しては、以前よりも不安が薄らいだと感じています。もちろん実際に物流が止まれば大混乱になるとは思うのですが、東日本震災のときに暮らしていた東京で感じた不安感とは、いまは随分違います。スーパーの棚が空になっても、「どうにかなる」という気がするのです。

商品がほとんどなくなった食品棚

東日本大震災翌日の都内スーパーの食品棚。この状況でも「買う」行為以外にほかに食品や水を手にする術がなかった……。この経験が移住を考えはじめたキッカケともいえます。

災害に関して、移住後、何が変わった?

移住してからは米づくりを始めたので、とれた米を自宅に備蓄しています。物流が止まったとしても、米があればお腹を満たすことができる。それは自分たちにとって大きな安心感となっています。

籾の状態の米

自宅には籾(もみ)の状態の米がストックしてあります。籾摺りをすると玄米に、玄米を精米すると白米になります。精米したての米は、多少古い米でもとてもおいしいです。

さらに、東京ではペットボトルの水を購入していたので、震災の際にスーパーでペットボトルの水が売り切れになったときは混乱しました。けれど、いまは湧き水を汲んで、それを飲料水や料理に使っています。

山から流れ出る湧き水

汲みたての湧き水を日々いただける。本当にありがたいことです。

さらに、リノベ中の自宅の敷地には井戸があります。井戸つきの家を探したわけではなく、たまたま購入した家に井戸がついていたという幸運。水道設備の一部に井戸水を使用する計画です。

井戸は断水の影響は受けないので災害時に強いのですが、電動ポンプで汲み上げるので電気がないと利用できません。いざという時はガソリンで動く非常用電源で井戸水を使えるようにしています(いつかは電力も自給したい!)。

購入した家についていた井戸

写真右、コンクリートで蓋をしてあるのが井戸。飲料としては使用できなそうですが、生活用水の一部に使用できるだけでも、いざという時に安心です。

太陽熱温水器のパーツ

こちらもリノベ中の自宅、設置前の太陽熱温水器です。太陽の熱でお湯をつくります。冬でも晴れていれば40度を超えるお湯がつくれるとのこと。いわゆる太陽光パネルで電気をつくるよりもエネルギー効率が高く、年月がたっても効率が落ちません。こちらも災害でライフラインが止まってしまったときに重宝しそうです。

ということで、半ば陸の孤島になりつつあった伊豆半島の先っぽ下田で、自然と近い暮らしのリスクやメリット、災害に備える暮らし方についてあらためて考えていました。万が一の……いや、必ず起こる災害にしっかり備えていきたいです。

下田の海でシュノーケリング

先日、自宅近くの海で今季初のシュノーケリング。美しい海の中には魚がたくさん。娘もシュノーケリングを楽しみにしています。自然と近い暮らしはリスクもありますが、恩恵も大きい。しっかり備えて、楽しみたいです。

文 津留崎鎮生

text & photograph

Shizuo Tsurusaki

津留崎鎮生

つるさき・しずお●1974年東京生まれ東京育ち。大学で建築を学ぶ。その後、建築家の弟子、自営業でのカフェバー経営、リノベーション業界で数社と職を転々としながらも、地方に住む人々の暮らしに触れるにつれ「移住しなければ!」と思うように。移住先探しの旅を経て2017年4月に伊豆下田に移住。この地で見つけたいくつかの仕事をしつつ、家や庭をいじりながら暮らしてます。Facebook Instagram