下田にある9つのビーチとは?

伊豆下田には、9つのビーチがあります。そのそれぞれに個性があり、下田住民も時と場合によって使い分けているという津留崎さん。夏本番を迎え、地元に住んでいる目線でそれぞれのビーチの特徴を教えてくれました。お気に入りのビーチを見つけてみてください。

9つの海水浴場がある下田。夏は意外と過ごしやすい!?

梅雨も明けていない6月末から、これまでないほどに全国的に気温が上がりましたが、ここ伊豆下田は、道端のヤシの木、コバルトブルーの海、白い砂浜……という「南国イメージ」に反して、半島の先で海に囲まれているという立地のおかげもあってか、30度を少し越す程度の比較的過ごしやすい気温でした。

窓際のハンモックで涼む津留崎さんの娘さん

下田は、東京と比較すると、夏の最高気温が3度ほど低く、冬の最低気温が3度ほど高いという、通年にわたって比較的過ごしやすい気候です。古民家をリノベしたわが家、今のところエアコンなしですが、風を通したり、打ち水したりと工夫しつつ、なんとか過ごしています。

でも、東京より3度低くたって十分に暑い……。そんな「暑い!」ときには下田に9つある海水浴場に出向き、その美しい海にドボーンッと入ってしまえば、最高のクールダウンになること間違いなし!

下田の海でシュノーケリング

実は移住する前、海水浴場が9つもあったってどこもそんなに変わらないだろう、と思っていました。でも、下田に移住してからは、それぞれの海に特徴があることがわかり、こんなときはこの浜で、と使い分けるようになったのです。そうして特徴がわかることで、よりそれぞれの海を楽しめるようにもなってきました。

夏本番になり下田の海で過ごす計画を立てている方も多いと思います。また、どこの海に行くか検討中という方もいるかもしれません。

ということで、今回は9つあるビーチのそれぞれの特徴と、さらにそれ以外のおススメ海遊びスポットをふたつ紹介します。今回はあくまで移住して5年という自分の「主観たっぷり」の紹介です。もちろん、データ的にはオフィシャルの伊豆下田観光協会の公式サイトが確実なので、その点ご了承の上、参考にしていただけらうれしく感じます。

また、この連載をご覧いただいている方には、下田や伊豆への移住を検討中という方もいるようです。せっかく伊豆に移住するなら、自分のライフスタイルにあったビーチの近くに暮らすほうが楽しめます。わが家は、移住検討中にたまたま見つけた物件が9つの海水浴場のうちのひとつ「外浦海水浴場」徒歩圏内だったことで、結果、そのことに恩恵を感じて暮らしてきました。下田移住を考えている方の参考にもなったらうれしいです。

では、北に位置する海水浴場から順に紹介していきます。

サーファー向けからファミリー向けまで、それぞれの個性をご紹介!1 白浜中央海水浴場

神奈川県の湘南エリアから静岡県伊豆半島に入りしばらく東海岸を南下して下田に入ると、それまでとはあきらかに違う白い砂浜が現れてきます。その最初の海岸が白浜中央海水浴場です。

白浜中央海水浴場

下田は東京からだと車でも電車でも3〜4時間。決して近くはないのですが、この白い砂浜と海のきれいさで3〜4時間は近いのでは? とも感じます。

こちらは、白い砂浜だけでなく磯遊びもしたい! バーベキューもしたい! そんな欲張りな方におススメの海水浴場です。ほかのビーチでは基本的にバーベキューは禁止ですので、浜でバーベキューをお考えの方はこちら一択かもしれません。(指定の場所、期間、時間のみ。詳しくは白浜中央海水浴場HPへ)波もあまり立たなく、徒歩圏内に宿泊施設が少ないこともあって下田のビーチのなかでは人も少なめな静かなビーチで、「まったり」過ごす方向けです。

2 白浜大浜海水浴場

全国でも有数の来場者数でありながら、水質はAAクラスという貴重な存在の海水浴場です。波が立つこともありサーファーも多く、サーフィンスクールやレンタルショップも多くあります。大型のホテルからこぢんまりとした民宿まで徒歩圏内に多くの宿泊施設もあり、そうした宿を利用すれば、駐車場や道路の混み具合を気にせずビーチを利用可能です。

白浜大浜海水浴場

こちら2020年、コロナ禍まっ最中の白浜大浜の繁忙期の様子。コロナ禍とは思えないような混み具合です……。今年はいかに?(写真提供:土屋 尊司)

ただ、夏の繁忙期には写真の通り多くの人であふれかえるビーチとなり、治安が少々悪くなってしまうのが残念なところです。あえて、そういった「賑わう海」を楽しみたいのなら夏の繁忙期の白浜大浜はバッチリかと思います。でも、そんな白浜大浜も夏の繁忙期以外は混み具合もそこまでではないので、個人的には白浜大浜に来るなら落ちついて過ごせて、海やビーチのきれいさを堪能できる繁忙期以外がおススメです。

夕方の白浜大浜海水浴場

シーズン中でも夕方はのんびりしています。

この連載でも取り上げた「南インド料理イベント」を開催した〈伊豆白浜バーベキューガーデン〉や隣接するペンション〈ガーデンヴィラ白浜〉は白浜大浜から徒歩圏内。白浜中央海水浴場とは違いビーチでバーベキューはできませんが、こちらの施設でバーベキューを楽しみつつビーチの海も楽しむ、という過ごし方もおススメです。

伊豆白浜バーベキューガーデン

白浜大浜の海を見下ろす絶景のバーベキュー場。宿泊施設が隣接されているので飲んでも安心です!

3 外浦海水浴場

入り江にある静かでファミリーにも人気の美しいビーチです。

浅瀬が広がる外浦海水浴場

前述しましたが、わが家からは徒歩圏内なので、よく散歩に行ってます。シーズン中はそれなりに混みますが、オフシーズンはこの通りで、絶景独り占め。

波がないのでサーフィンやボディボードには不向きですが、シーカヤックが盛んで、スクールのあるショップもあります。最近はSUPを楽しむ方も多いです。

外浦海水浴場でのシーカヤック

シーカヤックで海上散歩! 気持ちいい〜。下を見ると透明度の高さにビックリします。

SUPを楽しむ人

ここ数年、多く見るようになったSUP。一度挑戦しましたが、初めてでも十分に楽しめます。是非!

駅にも比較的近く、また数年前に人気のパン屋ができたこともあり、最近は移住者に人気のエリアでもあります。こぢんまりとした宿泊施設がビーチ近くに点在していて、外浦を満喫するならそうした宿泊施設がおススメです。漁師さんが営む宿もあり、新鮮な魚介も楽しめます。

静かで落ち着いたビーチも選べる4 九十浜(くじゅっぱま)海水浴場

天皇家の別荘「須崎御用邸」の近くということもあり、とても治安がよく、静かなエリアのこぢんまりとしたプライベート感たっぷりのビーチ。入り組んだ地形もあって、蟹や魚がたくさんいるので磯遊びやシュノーケリングも楽しめます。

九十浜(くじゅっぱま)海水浴場

プライベート感たっぷりの小さなビーチです。

宿泊施設が多いエリアではないので、基本的には駐車場に車を停めてそこから歩いて行く感じとなりますが、駐車場から浜までは少し距離があり、荷物たっぷりだと結構大変です。

九十浜へと下る長い坂道

この坂の向こうに見えるのが九十浜です。なかなかな道のり……。

最近はかなり認知度が上がり人気のビーチとなったので、繁忙期は「プライベート感」はあまりなく、プライベート感を求めるのなら、少し時期をはずすのがおススメです(下田の海、全般にいえることですが……)。

この連載でも度々登場する漁師の友人が営む〈貸別荘飯田〉は九十浜の近くにあり、自炊やバーべキューを楽しめます。

貸別荘飯田でのバーベキュー風景

貸別荘飯田さんで下田の友人たちとバーベキューを定期的に開催していましたが、コロナ禍になってからはすっかりご無沙汰です。

5 鍋田浜海水浴場

鍋田浜海水浴場

小さな穏やかなビーチ。下田の市街地にもっとも近く、駐車場も小さいということもあり観光客より地元の子どもたちで賑わう海水浴場です。アクティビティとしては、子どもがジャンプして楽しめる堤防があるくらいで、ほかはあまり盛んではないかもしれません。

とはいってもリゾートホテルが何軒か近くにあるので、そこに宿泊するリゾート感たっぷりな客層もちらほらと。繁忙期、地元の子どもたちが堤防からジャンプする「昔ながらの海のまちの夏休み」な感じと、ホテルの客層のリゾート感が混在しているのが鍋田浜独特の雰囲気とも感じます。

桟橋から海に飛び込む子供

ちびっこたちの夏の思い出!

6 多々戸浜(たたどはま)海水浴場

多々戸(たたどはま)浜海水浴場でサーフィンを楽しむ人たち

サーフィンをやっている方には有名なビーチです。有名なショップがあったり、大会が行われていたり。サーフィン好きが高じて下田に移住するという方はこの周辺に住んでいる方も多いようです。また、最近開設された下田中学校のサーフィン部(全国2例目だそうです)もこちらの浜で活動。年間通じて利用できる温水シャワーがあったりと、設備面でもサーフィンに特化しています。スクールやレンタルもあるので、サーフィンを始めてみたい! という方は是非!!

ハイビスカスの花

リゾート感のある大きなビーチも7 入田浜(いりたはま)海水浴場

入田浜(いりたはま)海水浴場

9つの海水浴場はどこも白い砂浜と透明な海が特徴ですが、こちらはなかでも際立っていて、さらには雰囲気のある建物やソテツの並木道もあって最も「リゾート感が高い」ように感じます。そして、大型の会員制ホテルをはさんで多々戸浜と隣あっているこちらのビーチでもサーフィンが盛んです。

ただ、多々戸に比べて大きい浜ということもあり、サーファー以外の人も多く、みんなそれぞれにビーチを楽しんでいます(多々戸は年間通じてサーフィンメインという雰囲気です)。

以前この連載でもお伝えしたピッツェリア〈フェルメンコ〉はこのビーチを臨むロケーションです。

ピッツェリア・フェルメンコの店内

開店して間もないお店ですがすでに人気店となっているので、繁忙期は行列必至。こうした行列ができる人気店にも、繁忙期以外の平日にまったりと行けるのが地元民の特権だったりします。

8 吉佐美(きさみ)大浜海水浴場

吉佐美(きさみ)大浜海水浴場

白浜大浜と同規模の大きなビーチですが、周辺に大きな宿泊施設がないこともあり、来客数は10分の1ほどで、広いビーチでのんびり過ごしたいという方にはおススメのビーチです。

近隣には外国人旅行者に人気なカフェやゲストハウス、芸能人も多く訪れる高級別荘地もあったりで、同じ下田のビーチなのですが、白浜大浜とは随分と時間の流れ方が違う印象で、移住者にも人気のエリア。

アカウミガメの産卵のために砂浜に設けられた立ち入り禁止エリア

この時期、下田の砂浜には絶滅危惧種のアカウミガメが産卵にやって来ることがあります。今年は吉佐美大浜で卵が確認されたそうです。訪れた際には、このテープの中には入らないようにお願いします。

賑わいの白浜大浜(東京でいうと歌舞伎町? センター街?)と、くつろぎの吉佐美大浜(自由が丘? 二子玉川?)という感じでしょうか。

冬の吉佐美大浜

2017年、移住先探しの旅で下田を訪ねたときにもこのビーチに立ち寄りました。そのきれいさに驚いたことを覚えています。

9 田牛(とうじ)海水浴場

正直に言います。こちらには降り立ったことがなく、下田市民ならではの視点でビーチの特徴を語ることはできない……というほどに、外浦海岸徒歩圏内に住む下田市民にとってなじみのないビーチです。ネットで調べてわかる程度のことしか語れないので、割愛します(ひいきにしている方、ごめんなさい!!!)。

田牛(とうじ)海水浴場

田牛海水浴場ではなく、隣接する田牛サンドスキー場。自然がつくった地形というから驚きです。

地球を感じられるジオサイトで海遊び!

ここからは番外編として海水浴場以外のオススメ海遊びスポットを2か所紹介します。

ちなみに、海水浴場か否かは市が条例で定めていて、海水浴場でないビーチはライフセーバーがいなかったり、遊泳区域が定まっていなかったり、遊泳に関しての情報も出ません。遊泳の際は特にお気をつけください。

番外編1 須崎恵比須島

須崎恵比須島の海

これまで紹介したビーチの「白い砂浜」はこちらにはなく、磯遊び、シュノーケルを楽しむ海になります。

島といっても橋で渡れる、徒歩で1周10分ほどの小さな島です。伊豆半島はユネスコが認定する「ユネスコ世界ジオパーク」で、恵比須島はその代表的なスポット「ジオサイト」でもあります。

ジオパーク?ジオサイト?と思われるかもしれませんから、少し説明を。地球(ジオ)の成り立ちにとって重要かつ地質学的に価値があり、保護や教育などの目的で管理されているエリアを「ジオパーク」といい、なかでもユネスコが認定するものが「ユネスコ世界ジオパーク」です。その特徴がよく出ている場所を「ジオサイト」といいます。

では、伊豆半島のどこに地質学的な特徴があるのか?伊豆半島ジオパークの公式サイトの図を見ると一目瞭然ですが、伊豆半島は本州で唯一「フィリピン海プレート」に乗っている地域なのです。はるか昔、南洋にあった海底火山によってできた島がプレートの移動によって日本列島につながったのが伊豆半島。ということで、遠く南からやってきた伊豆半島は日本列島のほかの地域とは違う独特の地形が目白押しなのです。

その代表的な「ジオサイト」でもある恵比須島では、まさに地球の成り立ちを感じさせてくれるような自然のつくり出す造形の数々が見どころなのですが、恵比寿島の魅力はそれだけではないのです。

「遊べるジオサイト」といいましょうか。磯には蟹やらヤドカリやらがたくさん。そして、海の中には魚がたくさん。そんな魚たちとともに泳ぐシュノーケリングが最高なのです。こんな感じです。

たくさんの小さな魚が群れをなして泳いでいる

また、恵比須島のある須崎地区は、下田でもっとも漁業のさかんな地区です。大きなホテルなどはない地域ですが、「民宿発祥の地」といわれる須崎地区の民宿では新鮮な魚介料理を楽しめます。食とシュノーケリングの旅、おススメです。

夜の須崎地区の漁港

この連載で以前紹介した「割烹民宿小はじ」は須崎漁港に面する立地。食にこだわる友人が下田に来るときには、必ずといっていいほど紹介する宿です。

番外編2 爪木崎海水浴場

爪木崎海水浴場

こちらも恵比須島と同じく「ユネスコ世界ジオパーク」の「ジオサイト」です。九十浜や恵比須島と同じ須崎地区になるのですが、こちらでは柱状節理という火山がつくる独特の造形の地形が特徴となります。

柱状節理という火山がつくる独特の造形の地形

どうしてこんな地形になるのか? 不思議な造形がたくさんです。

また、水仙の花の名所でもあり、例年1月に開催される〈爪木崎水仙まつり〉も大変賑わう海岸です。自宅から比較的近いこともありよく足を運ぶのですが、行くたびに心打たれるほどの「絶景」。

でも、そんな爪木崎も恵比須島と同じく見るだけではもったいない「遊べるジオサイト」でもあり、シュノーケリングが楽しめます。

また、こちら恵比須島と違い一応、砂浜があります。9つの海水浴場のように白い砂浜というわけではなく、砂利まじりの砂浜なのでマリンシューズ必須ではありますが、海水浴とジオ巡り、シュノーケリングや絶景が同時に楽しめるのはココだけかもしれません。

下田の海の夕焼け

以上、9つの海水浴場と2つのオススメ海遊びスポットの紹介でした(紹介できていない田牛ひいきの方、本当にすいません……)。

夏の下田旅行や下田移住の参考になったらうれしく思います。ということで、白い砂浜、透明度抜群の海で、猛暑を乗り切りましょう!夏の下田で、みなさまをお待ちしてます〜。

文 津留崎鎮生

text & photograph

Shizuo Tsurusaki

津留崎鎮生

つるさき・しずお●1974年東京生まれ東京育ち。大学で建築を学ぶ。その後、建築家の弟子、自営業でのカフェバー経営、リノベーション業界で数社と職を転々としながらも、地方に住む人々の暮らしに触れるにつれ「移住しなければ!」と思うように。移住先探しの旅を経て2017年4月に伊豆下田に移住。この地で見つけたいくつかの仕事をしつつ、家や庭をいじりながら暮らしてます。Facebook Instagram