〈種と旅と〉が今年も始まります!

〈種と旅と〉とは、日本中の農家、八百屋、レストラン、料理人と暮らすひとがつながり、その土地の在来種や伝統食を味わう15日間の祝祭です。

従来型の1か所に集まるマーケットとは異なり、“全国同時多発”スタイルが〈種と旅と〉の特徴。

種と農について考え、味わい、学び、どこまでもローカルに、同時に全国でつながるイベントです。

その〈種と旅と2022〉が、7月21日(木)〜8月4日(木)までの期間で、全国津々浦々で催されます。

写真:繁延あづさ 料理:原川慎一郎

写真:繁延あづさ 料理:原川慎一郎

2020年の冬、2021年の秋から3回目の開催となるこの夏は、前回よりも50組以上参加が増え145組にパワーアップ!

まずは〈種と旅と〉のはじまりからご紹介します。 

発起人は、長崎県雲仙市の〈タネト〉と横浜市の〈青果ミコト屋〉。

タネトは奥津爾さん典子さん夫妻が2019年から営むオーガニック直売所で、プラスチックフリーを実践、地域の在来種野菜を軸に、農薬・化学肥料不使用の野菜を扱っています。

タネトに並ぶのは9割以上が車で20分圏内の野菜。野菜の他に古本屋や食堂を併設し、焼き菓子や器も販売している。写真:栗田萌瑛

タネトに並ぶのは9割以上が車で20分圏内の野菜。野菜の他に古本屋や食堂を併設し、焼き菓子や器も販売している。写真:栗田萌瑛

2010年に開業した青果ミコト屋は現在、横浜市青葉区に、廃棄される野菜をつかったアイス屋〈KIKI NATURAL ICECREAM〉を併設した実店舗を構えます。

日本中の田畑を巡る旅を通じて出合った、「本当においしい野菜」と「背景にある農家の人柄やストーリー」が詰まった、野菜セットを全国宅配している八百屋です。

昨年春にオープンした〈MICOTOYA HOUSE〉の前で、ミコト屋、KIKIスタッフ一同。

昨年春にオープンした〈MICOTOYA HOUSE〉の前で、ミコト屋、KIKIスタッフ一同。

九州と関東という距離はあるものの、「その土地の食文化やルーツを守りたい」「在来種を残していきたい」という互いの共通した思いの原点には、あるひとりの農家さんの存在がありました。

「在来種には個性があり、ひとつひとつ違うおいしさがあるということ。そしてそれはぼくたち人間と一緒だということ。岩崎さんが言った言葉、『食べてくれる人をつくることが、種を守ることにつながるんです』と。あぁ、やっぱりこれは僕たち八百屋の役目なんだとなぁと、あの時身が引き締まったのです」(青果ミコト屋)

岩崎さんとは、雲仙市で在来種の野菜を育て種を採取している農家さん。

岩崎さんは約40年ほど前から有機農業に切り替え、現在は約80種類の野菜を生産するなかで、毎年50種類以上の野菜の種子を採っているといいます。

岩崎政利さんは1950年長崎県生まれ。諫早農業高校卒業後、農業に従事する。 写真:繁延あづさ

岩崎政利さんは1950年長崎県生まれ。諫早農業高校卒業後、農業に従事する。 写真:繁延あづさ

岩崎さんの畑で採取された種。写真:繁延あづさ

岩崎さんの畑で採取された種。 写真:繁延あづさ

九条太ねぎの種とり風景。写真:繁延あづさ

九条太ねぎの種とり風景。 写真:繁延あづさ

奥津さん一家が移住を決断したのも、岩崎さんのつくる野菜が雲仙にあったから。

その土地の風土を理解し、大切に育て上げられた希少な在来種の野菜に魅了されるひとは少なくなく、雲仙市で〈BEARD〉を営んでいる料理人の原川慎一郎さんも東京からこの地へ移り住んだひとりなのです。

BEARDの原川慎一郎さん。写真:繁延あづさ

BEARDの原川慎一郎さん。写真:繁延あづさ

「世界を見渡しても、岩崎さんのような農家さんはいないんじゃないか」

そう思わせるほど、岩崎さん自身が稀有な存在であり、育てられた野菜は別格なのだそう。

種と旅との期間中、岩崎さんの野菜は一部の店舗のみの取り扱いにはなりますが、北海道から沖縄まで105店のレストランで、それぞれの地域で育った在来種や地元野菜を使った創作料理や伝統料理が特別に提供されます。

また各地の料理人たちも腕をふるい、レシピも公開される予定。

「在来種ってどんな味わいだろう?」「地域の郷土料理を食べてみたいな!」そんなワクワクや期待が高まる、15日間となりそうです。

写真:繁延あづさ 料理:原川慎一郎

写真:繁延あづさ 料理:原川慎一郎

世話人の奥津爾さんいわく、「食のロッキンジャパンフェス!」というほど激アツな顔ぶれが揃う、2022年の種と旅と。

回を追うごとに大きな広がりをみせ、多くのひとを惹きつける理由についてうかがいました。

ーー種と旅とをやっていくなかで感じるおもしろさとは?

「純粋に、興味を持ってくださる方々の熱量がすごい。そして、各地の料理人の投稿がおもしろい! 

それぞれの地に守り継がれてきた在来種や伝統料理を表現するその深さは、さながら各地の民俗学を、SNSでシェアし合っているかのようなおもしろさがありますね。」

ーー種と旅とをともに盛り上げてくれる賛同者について。

「このイベントはスポンサーもなく謝礼もなく、皆さんの心意気だけで成り立っています。

仕事でもないし義務感はゼロで純粋に楽しい。ただただ感謝しかないです」

ーー全国各地で同時多発というのは簡単ではないと思います。どのように遠方の方と共通意識を培っているのでしょうか?

「『より風土に根ざした食材は?』と考えると、最終的に行き着くのがこの“在来種”。

本質的な料理を目指している料理人と、そうしたお店を支持する方々が増えてきている証だと思います。

140を超える全国のお店や料理家の方とすべて直接やりとりしていますが、このイベントにかける想いが本当に熱い! ゆえに自然と共通意識が生まれているように思います」

先導する奥津さんもまたパッションに溢れる人物。言葉の節々から、周囲を引きつける魅力を感じずにはいられません。

タネト店内にて、奥津爾さん(左)、奥津典子さん(左から2番目)。写真:栗田萌瑛

タネト店内にて、奥津爾さん(左)、奥津典子さん(左から2番目)。写真:栗田萌瑛

参加はインスタグラムで!

種と旅とを楽しむ方法はこちら。

種と旅との公式アカウントと「#種と旅と」をフォローしましょう。

期間中、全国の参加店や料理人たちの熱いPOSTが同時多発していきます。生まれ育った土地、暮らすまち、大好きなまちの在来種や伝統料理を直に感じましょう。

在来種に対する思い、イベントの感想などなど、ハッシュタグ「#種と旅と」をつけてぜひ投稿ください。開催するトークはインスタライブで配信、アーカイブされます。どなたでも無料で視聴可能です。

「種と旅と」の公式アカウントのストーリーをぜひチェックを。企画にかかわるほぼ全ての投稿が随時アップされます。

全国津々浦々、どこにいてもだれでも気軽に参加できるのがいいところ!

その他にもインスタグラムのライブトークイベントや、横浜、京都、雲仙で行われる学びの場〈タネトの学校〉も開催されます(先着順にて申込受付)。

詳しくは種と旅とのアカウントからアクセスを。

種と旅とは、まるで旅するように日本中を駆け巡り、今年も私たちのもとにすばらしい種を運んでくれることでしょう。

information

種と旅と

お店

《北海道・東北》

たべるとくらしの研究所/もりかげ商店/SSAW BIEI/吉浜食堂/ドゥエマーニ/アンソロジー/ファットリア・アルフィオーレ/farmer’s table mano/食堂ヒトト/流れる研究所/ラ・セルバティカ/カノヴァアズーロ/プルピエ/manoma/ベッダシチリア

 

《東京》

ごはん屋ヒバリ/eatrip soil/call/elava/the Blind Donkey/igora/neki/松庵文庫/中華可菜飯店/ダリオ/にほん酒や/パーラー江古田/パン屋塩見/nadi

 

《神奈川》

POMPON CAKES/KIKI NATURAL ICECREAM/KIKI WINE CLUB/MONK-Tsujido/NEW ROSE/meals

 

《長野》

木村製パン/アルプスごはん/山山食堂/ペグ/カルパ/そればな/あゆみ食堂/ReBuilding Center JAPAN

 

《関東・中部》

KAM/一本杉農園/Dill eat,life./ゼルコバ/手打ち蕎麦naru/鮨場まる/サンデースパイス/earlybirds breakfast/at the table est 2015/monologue/ひのめ

 

《京都》

monk/STARDUST/Farmoon/neutral/TAREL/ミルク工房そら

 

《関西・四国・中国》

TANIGAKI/OFF/HOVEL kusayama/福星/シチニア食堂/csew/そば切り蔦屋/くど/藤原みそ/食べれる森シュトレン/ビズー/USHIO CHOCOLATL/DADA NUTS BUTTER

 

《福岡》

くらすこと/クロマニヨン/サークル/cota/nido/チャーリー/ポホヨラ洋菓子店/タラムブックス

 

《九州・沖縄》

あるところ/TANE/サルディナス/まめのもんや/ペッシ/Beppu Sake Stand 巡/糧の家/ワイン食堂トキワ/ペグ/HIKE/Bee/MEALS&GRIND/波羅蜜/宗像堂

 

《長崎》

BEARD/アールサンクファミーユ/カレーライフ/コスタ/プルミエクリュ/コンダテ/サゴッジョ/カリオモンズコーヒーロースター/雲仙福田屋/ロカンダ デル カンポ/トミガワベーカリー

 

料理家 作家 研究者:

岩崎政利/江頭 宏昌(山形大学教授)/高木正勝/オカズデザイン/原川慎一郎/今井義浩(monk)/野村友里/omoto/根本きこ/冷水希三子/船越雅代/奥津典子/長田佳子/たかはしよしこ/平井かずみ/山脇りこ/繁延あづさ/food+things/船山義規/城田文子/バルバッジア/PERCH 成田玄太/山本有紀子/中條順子/遠藤千恵(ties主宰)/やまもとのりこ/北嶋竜樹(neutral)/CHALKBOY/堀田裕介/新井 Lai 政廣

 

○八百屋

青果ミコト屋/タネト/五ふしの草/金子商店/めぐる八百屋オガクロ/warmer warmer/森の扉/タネカら商店/Ggs/グリーングロッサリーストア

writer profile

Mayo Hayashi

林 真世

はやし・まよ●福岡県出身。木工デザインや保育職、飲食関係などさまざまな職種を経験し、現在はフリーランスのライターとして活動中。東京から福岡へ帰郷し九州の魅力を発信したいとおもしろい人やモノを探しては、気づくとコーヒーブレイクばかりしている好奇心旺盛な1984年生まれ。実家で暮らす祖母との会話がなによりの栄養源。