シソ、ピーマン、明日葉、らっきょうにふだん草! 野菜のおすそ分け文化

家の周辺に野菜を育てている人が多く、散歩や回覧板を回しに行くと、たくさんの野菜を「おすそ分け」していただけるという津留崎家。それならばと、育てている本人におすすめの料理を聞くと、意外な調理法もあるようです。今回はそこで学んだレシピも紹介してくれます。

市内での引っ越しでの意外な変化とは?

以前この連載でもお伝えしたのですが、昨年わが家は引っ越しをしました。引っ越しといっても徒歩5分ほどの距離で、下田市内の同じ地域での引っ越しです。なので、さほど環境は変わらないだろうと思っていたのですが、意外な変化がありました。

以前住んでいた地区には比較的新しい住宅が多かったのですが、今の集落は代々住み続けている古い家屋が連なっていて、高齢者も圧倒的に多い。

さらに、畑があちらこちらに点在し、野菜を育てている方がたくさんいて、ありがたいことに、よく、おすそ分けしてもらっています。今までにもいただくことはありましたが、ご近所さんに回覧板を回しに行ったついでにたくさんの野菜をいただくというようなことは、引っ越ししてからです。

津留崎さんの娘さんの通学路。あちこちに畑がある。

娘の通学路にはいくつも畑があり、畑仕事をしているご近所さんたちに「行ってらっしゃい」と声をかけてもらっています。

近所の畑で育てられている赤紫蘇

近所の畑に赤紫蘇がたくさん育っていたので、梅干し用に分けていただきました。ありがたい。

下田に移住する前は、東京の杉並区に住んでいたので、ご近所の方に野菜をいただくような経験はありませんでした。地方では当たり前なのかもしれませんが、移住先の下田では野菜を自分で育てている方がたくさんいます。

わが家はお米は育てているものの、野菜を育てるのが苦手です。米ももちろん手間がかかるのですが、野菜の方がさらに頻繁に手をかけてあげないとうまく育ちません(もちろん品種にもよりますが)。トマトを何度か育ててみましたが、間引きなどをしなかったため、最終的にはジャングル状態になってしまいお手上げに。そんなこんなで、みなさんにいただく瑞々しいお野菜が本当にありがたいのです。

サニーレタス

畑におじゃますると、おすすめの食べ方を聞いてみたりします。初めて名前を聞く野菜もあったり、知っている野菜でも意外な食べ方を教えてもらったり、そんな新しい発見がとても楽しいのです。今回はそうしたレシピも含めて、ご紹介します。

とれたて野菜はどうやっていただく? 〜レシピのご紹介〜

ダンボールに入ったじゃがいも

娘の登校を見送りながら散歩に出ると、近所の方がちょうど畑で作業をしていました。挨拶をしたついでにじゃがいもをいただき、さらに「シソって育ててる?」と苗をいただき、うれしいお土産つきの朝散歩になりました。

おすそわけしてもらったシソの苗

シソの苗を新聞紙で包み、持たせてくれました。

フライドポテトは常温から

じゃがいもを育てている方に好きな食べ方をたずねると、大多数の方がそのまま素揚げにしたフライドポテト! と言われます。わが家でも大好物のフライドポテト、かなり頻繁に食卓に並びます。何年か前にとある料理家さんの本を見ていたら、火をつけない常温の時点でじゃがいもをオイルに投入して、その後、火をつけて揚げていくというつくり方が書かれていました。試しにやってみると、なんと! すごくカラッと揚がっているではありませんか! 驚き。それ以来、フライドポテトは常温の油から揚げるようになりました。

自作の塩フライドポテト

また別の料理家さんなのですが、ご自宅におじゃましたときにつくってくれた〈コイケヤ〉の「のり塩」味のチップスみたいなのり塩フライドポテトがおいしくて、それ以来マネしてつくっています。

お隣のおばあさまにいただく、ありがたきお野菜

立派に育ったピーマン

わが家のお隣には80代のおばあさまが住んでいます。その方も畑をやっていて、野菜がいい具合に育ったところでわが家に持ってきてくれます。

たとえば先日はピーマンとふだん草をいただきました。ふだん草というのを初めて知り、どうやって食べるのがおすすめか伺ってみると、おひたしにするとおいしいのだそう。その晩さっそくやってみると、癖がなくて食べやすく、ほうれん草のような甘みもある。

ピーマンもたくさんいただいたので、私が小さいころよく母にリクエストしていたピーマンの胡麻炒めにしました。

お隣さんがふだん草を収穫中

ふだん草を収穫してくれているお隣さん。

ふだん草のおひたし

ふだん草をさっと茹でて醤油と胡麻をまとわせたおひたし。

ピーマンの胡麻炒め

細切りにしたピーマンをごま油で炒め、麺つゆをかけて少し煮込むだけ。ご飯がすすみます。

オクラの花

明日葉とバナナのジュース

グラスに入った明日葉とバナナのジュース

明日葉とバナナのジュース。

たまたま通りがけにご近所さんと雑談になり、明日葉とバナナのジュースというのを教えてもらいました。「バナナジュースをつくるときに明日葉を入れると、普通のバナナジュースより断然おいしいよ!」というのです。しかも、庭に生えている明日葉をとってきて生のまま使うとのこと。

天ぷらやおひたしではよく食べるけれど、生で食べていいのだろうか?と思ったのですが、「生のほうが栄養がそのままとれていいじゃない!」とご近所さん。一応ネットで調べてみたところ、毒性がないので生でもOKだそうです。しかし苦くないのだろうか? と試してみると、いやこれが実においしい。

単調なバナナジュースに比べ、明日葉の爽やかな青臭さがいいアクセントになっている。ということで、それ以来すっかりはまってしまい毎日飲んでいます。

明日葉とバナナのジュースレシピ

ミキサーにバナナ1本と明日葉の葉っぱ、豆乳を入れて攪拌するだけ。明日葉の茎も一緒に入れてみたのですが、ミキサーで砕ききれずに残ってしまい歯触りが悪かったので葉っぱのみを使うようにしました。

小皿に盛り付けたらっきょうの麺つゆ漬け

らっきょうの麺つゆ漬け。

しょっぱい系のらっきょうの漬物

あるとき知り合いの方にらっきょうの漬物をいただいたのですが、それがとてもおいしい。らっきょう漬けというといわゆる甘酢が多いと思うのですが、いただいたのは醤油ベースのしょっぱ系。なので、弁当箱の隙間に入れるものいいし酒のアテにももってこい。

いただいた方につくり方を教えてもらえないかと電話をしてみると、「明日の朝、一緒に畑で掘るか?」と誘ってくださいました。そして翌朝、畑におじゃましてらっきょうを堀り、一緒にその場で根っこと茎を取り除く作業を。

手を動かしながらあれやこれやと話を伺う。たとえば悩んだときの対処法などなど。太陽が燦々と降り注ぐ畑で一緒に作業をしながら話をする。そんな時間はとてもとても心地がよく、心がほっとする安心感すら感じました。

掘り出したばかりのらっきょう

らっきょうの麺つゆ漬けレシピ

・らっきょうを掘る(買ってきてもいいです、もちろん)・ざっと泥を洗って茎と根っこを包丁で取り除く・水を貯めたボールにらっきょうを入れ、手でぐるぐると攪拌すると薄皮がむけるので取り除く。・薄皮がなくなってきれいになったら、殺菌済みの瓶にらっきょうと唐辛子、市販の麺つゆを原液のまま注ぐ・1週間後からが食べ頃

ボウルに入っている水洗いしたらっきょう

元気をもらえる土いじり

畑をやっている方がよく口にするのが、土をいじっていると本当に気持ちがよくてすごく楽しいと。たとえばモヤモヤとしてすっきりしないときにでも、土をいじり始めるとスッと気持ちが切り替わるよ、とか。野菜がどんどん育つ姿を見ていると、すごく元気をもらえるよと。そんなご近所さんたちが楽しんでいる畑におじゃまさせていただくことが、私にとってもいい気分転換になっています。

らっきょうの収穫作業

もうひとつ、こんなできごともありました。わが家で友人たちが集まって酒宴を囲んでいたときのこと。ご近所の方が自家製の糠漬けとらっきょう漬けを持ってきてくれたのです。「みんなで飲んでるのが見えたから、よかったらつまみに食べて」と。開けっぴろげで丸見えなわが家のリビングなのですが、そんな気の利いた計らいに友人たちも夫も感動。新居に引っ越したことでまた、新たな楽しい暮らしが始まっています。

ご近所さんお手製の糠漬けとらっきょう漬け

いただいたお漬物は味がとても馴染んでいて、お酒のアテに最高でした。熟練の味わい、おいしかった〜。

文 津留崎徹花

text & photograph

Tetsuka Tsurusaki

津留崎徹花

つるさき・てつか●フォトグラファー。東京生まれ。料理・人物写真を中心に活動。移住先を探した末、伊豆下田で家族3人で暮らし始める。自身のコロカルでの連載『美味しいアルバム』では執筆も担当。