50組のアーティストが参加する熱海の魅力を再発見させる芸術祭

「熱海の魅力をアートにより再発見」することを目的に2021年にスタートした「PROJECT ATAMI」。アーティストが熱海に滞在して作品制作をする滞在制作型プロジェクト「ACAO ART RESIDENCE」と、若手アーティスト応援プロジェクトである「ATAMI ART GRANT」がふたつの柱となっています。

河野未彩による「ATAMI ART GRANT 2022」のキービジュアル。(c) ︎ ATAMI ART GRANT 2022

河野未彩による「ATAMI ART GRANT 2022」のキービジュアル。(c) ︎ ATAMI ART GRANT 2022

2回目の開催となった「ATAMI ART GRANT 2022」は、11月3日にスタートしました。「ATAMI ART GRANT」には、200組以上の応募があり、その中から選ばれた30組のアーティストの作品と、「ACAO ART RESIDENCE」に参加している20組のアーティスト、合計50組の作品が熱海市内のあちらこちらに展示されています。

作品が展示されているのは、熱海駅前の地下道や、市内の宿泊施設、カフェや飲食店、公園などさまざま。中でも中心的な会場で、アーティストの滞在場所でもある〈ACAO SPA & RESORT〉内には42組もの作品が設置されています。

ダンスホール「サロン・ド・錦鱗」に展示されているハシェル・アル・ラムキの『Lucy』。

ダンスホール〈サロン・ド・錦鱗〉に展示されているハシェル・アル・ラムキの『Lucy』。

〈ACAO SPA & RESORT〉の別館である〈HOTEL ACAO ANNEX〉にある〈サロン・ド・錦鱗〉は、ハシェル・アル・ラムキの『Lucy』の展示会場です。

『Lucy』は関連企画のアラブ首長国連邦と日本の国交50周年を祝した「East-East: UAE meets Japan Vol.5, Atami Blues」の作品のひとつ。

パールをテーマに、自然の顔料を使って描かれた作品群は、かつてダンスホールだったエキゾチックな空間で浮遊するかのように展示されています。

松田将英『The Big Flat Now』。

松田将英『The Big Flat Now』。

2022年9月に開催された「六本木アートナイト」で話題をさらった松田将英の『The Big Flat Now』も〈HOTEL ACAO ANNEX〉内に。天井高の関係で、今回は少し潰れた形で展示されていて、泣き笑いの表情が一層豊かになったかのように見えます。

森山泰地『濡れることについて/About get wet』。

森山泰地『濡れることについて/About get wet』。

森山泰地の作品は『濡れることについて/About get wet』。展示場所はかつての屋内プールです。プールの底に置かれた石の中にスプリンクラーが設置され、ときどき水が噴出します。

〈HOTEL ACAO ANNEX〉内には他の会場とリンクする作品も複数あります。

井上岳、大村高広、 齋藤直紀、棗田久美子、赤塚健による建築コレクティブGROUPの作品『浴室の手入れ Repair of a Bathroom』。

井上岳、大村高広、 齋藤直紀、棗田久美子、赤塚健による建築コレクティブGROUPの作品『浴室の手入れ Repair of a Bathroom』。

井上岳、大村高広ら5名による建築コレクティブGROUPの作品『浴室の手入れ Repair of a Bathroom』は、浴室だけが残る空き地となっていた場所で撮影した動画作品がメイン。その空き地も作品の一部。〈薬膳喫茶gekiyaku〉と〈合宿所yutorie〉のそばにあります。

〈ACAO FOREST〉の丘の上にある藤倉麻子『火の光保存場〜ドラセナ大会〜』。

〈ACAO FOREST〉の丘の上にある藤倉麻子『火の光保存場〜ドラセナ大会〜』。

〈ACAO FOREST〉近くの屋外に温室のように囲いを作り、内部にドラセナなどの植物を配置した藤倉麻子の作品『火の光保存場〜ドラセナ大会〜』。〈HOTEL ACAO ANNEX〉で以前はショップとして使われていた空間にも植物を設置しています。

小金沢健人『ニュー ア/New A』photo by Naoki Takehisa (c) ︎ATAMI ART GRANT 2022

小金沢健人『ニュー ア/New A』photo by Naoki Takehisa (c) ︎ ATAMI ART GRANT 2022

〈HOTEL ACAO ANNEX〉の旧名である「ニューアカオ」のネオンサインを使った作品は小金沢健人のもの。17時から24時までの間、赤いニューアカオの文字が組み合わせを変えて光ります。熱海の夜を彩る作品です。

〈起雲閣〉に展示されている髙木彩圭『無声の詩』。

〈起雲閣〉に展示されている髙木彩圭『無声の詩』。

〈熱海魚市場〉にある大野光一『遠くにみえる、何もみえない』。

〈熱海魚市場〉にある大野光一『遠くにみえる、何もみえない』。

会場は熱海市内の広い範囲にわたります。熱海駅周辺や熱海市指定有形文化財になっている〈起雲閣〉にも作品が展示されています。〈起雲閣〉エリアにある〈熱海魚市場〉には大野光一による絵画作品が、施設内のさまざまな場所に展示されていて、見応えがあります。

会場のあちこちではNFT作品の配布も行われています。この機会に新しいアート体験を手に入れることも可能です。

11月4日にはオープニングレセプションが開催されました。審査員で東方文化支援財団の代表理事、中野善壽さんが、「ATAMI ART GRANTは参加アーティストたちが次のアートの時代を担ってくれるのを見守っていきます。会場の皆さんも、後見人としてアートと熱海を盛り上げていただきたい」と挨拶。

実行委員会や審査員、アーティストたちが集まり、ステージからテープを投げて、オープニングを祝う熱気あふれる場面も見られました。

vug、河野未彩、Nimyuの3人のアーティストがラベルを描いた〈熱海ビール〉。

vug、河野未彩、Nimyuの3人のアーティストがラベルを描いた〈熱海ビール〉。

「ATAMI ART GRANT 2022」では、地元のクラフトビール〈熱海ビール〉とのコラボも実現。また、会期中は、新宿を出発して熱海の会場をめぐるオフィシャルバスツアーも用意されています。

都心から新幹線で約36分という立地で、緑と海を間近に感じる熱海。作品を見ながら、熱海市内をめぐることで今まで知らなかった熱海の魅力に気がつくとともに、これからの活躍が期待されるアーティストたちの作品を間近に感じられる芸術祭です。

information

ATAMI ART GRANT 2022(アタミ アート グラント 2022)

会場:静岡県熱海市内各所

期間:2022年11月27日(日)まで

会場時間:11:00〜18:00 (17:00受付終了)

*会場により月・火は閉館

作品鑑賞パスポート:一般3500円、 大学生・高校生・専門学生 3000円

※中学生以下、入場無料

※施設によっては別途入館料、もしくはワンオーダーが必要な場合があります。

※一部、無料で観覧できる会場もあり

Web:ATAMI ART GRANT 2022公式サイト

*価格はすべて税込です。

writer profile

Saori Nozaki

野崎さおり

のざき・さおり●富山県生まれ、転勤族育ち。非正規雇用の会社員などを経てライターになり、人見知りを克服。とにかくよく食べる。趣味の現代アート鑑賞のため各地を旅するうちに、郷土料理好きに。