新年に訪れてほしい展覧会

あけましておめでとうございます。2023年が始まりましたー!今年も『小豆島日記』をどうぞよろしくお願いいたします。

さて、この新しい年の始まりに、小豆島で訪れてほしい場所があります。棚田が美しい農村、中山地区にあるギャラリーショップ〈うすけはれ〉で開催中の『月樹舎のアトリエと原画展』です。

小豆島の中山地区にある〈うすけはれ〉。もとはそうめん工場だった建物を改修した、とても素敵なお店です。

小豆島の中山地区にある〈うすけはれ〉。もとはそうめん工場だった建物を改修した、とても素敵なお店です。

店内には、セレクトされた衣服や陶器、雑貨などが並びます。企画展やライブなども開催。

店内には、セレクトされた衣服や陶器、雑貨などが並びます。企画展やライブなども開催。

昨年、小豆島で草木染めをしている〈月樹舎(つききしゃ)〉の植松優子さんと、絵を描いたりアート雑貨を制作したりしている〈artHouse tematoca(アートハウス・テマトカ)〉の高野ゆっこさんと『植物からのメッセージ』という本をつくりました。優子さんが草木染めをしているときに受け取った植物からのメッセージを、ゆっこさんの素敵な絵とあわせて伝える本です。

私は編集という立場で本づくりに携わりました。詳しくは小豆島日記vol.301をご覧ください。

〈artHouse tematoca〉のゆっこさん(左)と〈月樹舎〉の優子さん(右)。

〈artHouse tematoca〉のゆっこさん(左)と〈月樹舎〉の優子さん(右)。

2022年に月樹舎から出版された『植物からのメッセージ』という絵本。

2022年に月樹舎から出版された『植物からのメッセージ』という絵本。

昨年秋に発売し、多くの友人たちが手にとって読んでくれました。「植物からのメッセージ読んだよ! めっちゃ感動した。すごくよかったよー」と言ってくれた友人が何人かいて、わー、こんなに反響があるんだととてもうれしくなりました。

うすけはれの店主、上杉道代ちゃんも本を読んでくれて、とてもよかったと話してくれました。彼女がこの本を初めて読んだときに感じたぬくもりややさしさを、ほかの誰かとも共有したい、本とはまた別のかたちで届けたいという思いから、展示会『月樹舎のアトリエと原画展』を企画してくれました。

本の世界へ入り込んで

うすけはれの店内には、展示やイベントを開催できるスペースがあります。今回の展示では、そのスペースが、本の著者である月樹舎の優子さんのアトリエをイメージした空間に大変身し、草木染めに使う道具も置かれています。壁や天井に飾られているのは、本に登場したミモザやオリーブなど10種類の植物たち。

それぞれの植物から受け取ったメッセージと、本で使われた絵の原画が展示されていて、本の世界が現実に出てきてしまったよう。というか、そこにいる自分が本のなかに入り込んでしまうのかもしれませんね。

月樹舎が草木染めをするアトリエをイメージした展示。ちなみに本当の月樹舎のアトリエの大きな窓の向こうには海が見えます。

月樹舎が草木染めをするアトリエをイメージした展示。ちなみに本当の月樹舎のアトリエの大きな窓の向こうには海が見えます。

木枠のなかに飾られているのは、ウチワサボテン。ちなみにこのウチワサボテンは、ホームメイカーズカフェの庭に生えています。

木枠のなかに飾られているのは、ウチワサボテン。ちなみにこのウチワサボテンは、ホームメイカーズカフェの庭に生えています。

そうそう、展示エリアに入るところには、いつもは存在しない扉が置かれているんです。この扉は、優子さんの旦那さん(大工さんです!)がつくったもので、置かれているというより、新たに扉と壁ができたといってもおかしくないくらいしっかりつくられています(笑)。

この扉を開けると、その先に本のなかの世界が広がっていて、そんな演出もすばらしいなぁと思いました。

展示エリアに入るところに設置された扉と、その扉をつくった大工のきんさん。

展示エリアに入るところに設置された扉と、その扉をつくった大工のきんさん。

扉の持ち手は小豆島のオリーブの樹。こういうところも素敵です。さぁ、扉を開けて本の世界へ。

扉の持ち手は小豆島のオリーブの樹。こういうところも素敵です。さぁ、扉を開けて本の世界へ。

あまりここで詳細を書いてしまうのはやぼなので、あとは実際に訪れて感じていただけたらうれしいです。

この展示にあわせて、優子さんが草木染めしたレッグウォーマーやはらまき、ゆっこさんが新たに描いた小さな絵(原画)も販売されています。本のなかに登場する植物たちの絵です。気に入った植物があったら、ぜひお部屋に飾っていただけたら。絵を見るたびに、その植物からのメッセージをふと思い出すかもしれません。

展示を見終えた帰り道に振り返ると、やわらかい明かりと本の表紙になった絵が窓越しに見えて、なんだか温かい気持ちになりました。

展示を見終えた帰り道に振り返ると、やわらかい明かりと本の表紙になった絵が窓越しに見えて、なんだか温かい気持ちになりました。

自分たちの思いを込めた本ができあがり、その本の世界を体感できる展示会が開かれるなんて夢のよう。草木染めをしたり、絵を描いたり、文章を書いたり、歌を歌ったり、空間をつくりあげたり、いろんな手段で、自分たちがいいなと思っていることを表現して、誰かに伝えることができるのはとてもすてきなことだなとあらためて思いました。

『月樹舎のアトリエと原画展』は、小豆島の〈うすけはれ〉で、2023年1月15日(日)まで開催しています。ぜひ訪れてみてください。

information

うすけはれ

住所:香川県小豆郡小豆島町中山131-1

電話番号:090-8284-6171

営業時間:10:00〜17:00

定休日:火・水曜

Web:うすけはれ

writer profile

Hikari Mimura

三村ひかり

みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島の中でもコアな場所、地元の結束力が強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HOMEMAKERS」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、築120年の農村民家(自宅)を改装したカフェを週2日営業中。https://homemakers.jp/