下田住民だからこそ知っている冬のアクティビティ

9つも海水浴場があり、夏のイメージを抱いてしまう伊豆下田。もちろん冬にもたくさんの魅力があります。そのなかから、津留崎鎮生さんがおすすめのハイキング&プチ登山のコースを紹介してくれました。

どちらもお手軽にアクセスできる場所でありながらも、それなりのアップダウンもあり、いい運動になるようです。

そしてご褒美には下田らしい絶景を望むことができます。

ローカルこそが知る、夏、そして海以外のアクティビティに注目です。

下田は夏の観光地……だけど、冬の魅力も!

わが家が暮らす伊豆下田は、9つの海水浴場を有する夏の観光地ではあるのですが、冬の魅力もたくさんあります。

まず、この時期から満開となる水仙の群生地がある「爪木崎」。300万本の水仙が甘い香りを漂わせて、多くの方を楽しませます。

爪木崎

爪木崎では毎年12月20日から1月末まで「水仙まつり」が開催されていて、期間中はさまざまなイベントがあります。

元旦には、伊豆最古の神社である「白浜神社」の海辺に建てられた鳥居越しに初日の出を拝もうと多くの方が訪れていました。

白浜神社の海辺に建てられた鳥居と初日の出

(写真提供:安丸千秋)

また、1月末から咲きはじめる河津桜。本場、河津町と南伊豆町(ともに下田の隣)では多くの桜の名所があり、毎年多くの人がひと足早い春の訪れを楽しみに来られます。

七分咲きの河津桜

有名な河津町の桜まつりはかなり混雑しますが、南伊豆町は比較的穏やかでのんびりと桜を楽しめます。

というように冬の伊豆、下田も見どころ満載です。是非、お越しください〜! と自信をもって言いたいとこなのですが、観光名所を回った方によく聞かれることがあります。

「ハイキングコースとかちょっとした登山とかできるとこないですか?」

下田には冬でも、サーフィンや釣りをやる気合いの入った方も多く来られますが、そこまでアクティブではないのだけど、花を見るだけじゃ……そんな感じなのかもしれません。

そこで、ちょうど冬休みで運動不足になりそうな娘を連れ出して年末年始に行ったハイキングと登山のコースが想像以上によかった! ので、冬の下田(もちろんほかの季節でもいいですが)のおススメとして紹介させていただきます。

小学5年生の娘と行ったのでそんなにハードなものではなく、健康な脚があればかなり楽しめます。海あり山ありの下田の魅力を堪能するにはもってこいなコースです。伊豆、下田滞在の際の参考にしていただけたらうれしく思います。

おススメコース1 「須崎遊歩道」絶景&郷土料理&水仙まつり&ジオスポット 一度で何度もおいしいハイキングコース!

市内でもっとも漁業の盛んな須崎漁港と、水仙まつりで賑わう爪木崎を結ぶコースです。全長2.7キロの道のりは、これでもか! というほどの絶景が広がっています。海の美しさはもちろんなのですが、ユネスコ認定の世界ジオパークである伊豆半島ならではともいえる「地球の動きを感じる」地形にゾクゾクします!

海沿いの「地球の動きを感じる」岩場

多少のアップダウンや荒れた道があり、市のホームページによると所要時間2時間40分程度となっていますが、健康な脚の方であればそんなにかからないかと思います。ちなみに娘とのんびり歩いて、1時間30分ほどでした。

富士箱根伊豆国立公園の須崎歩道の案内看板

須崎側には海岸コースと岩場コースとあります。とりあえずは海岸コースがおススメ!

小高い丘から海岸線を見下ろす

こんな景色がひろがっています。

須崎漁港にも、爪木崎にもバス停があるので、電車で観光に来られた方も行きやすく、どちらかに車を置いて片道だけ歩いてバスで戻ってくるというコトもできます。(水仙まつり期間中はバスが増発されていますが、期間外は地方あるあるで相当本数が少ないです。ご注意ください。バス時刻表)

また、水仙まつり開催中(毎年12月20日〜1月末)には仮設のお店ではあるのですが、とてもしっかりとした郷土料理を出してくれる〈ほうえい浜の食堂〉が出店されていて、こちらの「さんま寿司」が本当におススメです!

〈ほうえい浜の食堂〉の外観

棒寿司のように提供されるさんま寿司

名物さんま寿司!冬に下田に来たら是非味わっていただきたいです!

ではでは、そんな須崎遊歩道を行程にいれたオススメコースを紹介します!(須崎まではバスで往復する想定です)

1 下田駅方面からバスで須崎海岸へ(オススメは下田駅10時10分発、須崎海岸10時23分着)2 須崎海岸から須崎遊歩道経由で爪木崎へ(1時間半程度)3 昼に到着!期間を問わず出店しているお店でランチするもよし、水仙まつり期間中であれば上で紹介したほうえい浜の食堂でさんま寿司やら漁師汁でお腹を満たすもよし!4 食べ終わってから爪木崎の絶景、ジオスポットを堪能!5 爪木崎14時10分発のバスで下田駅へ(下田駅14時32分着)このバスは水仙まつり以外の期間ではなんと最終バス!? なので乗り過ごしのないようにお気をつけください!(水仙まつり期間中は16時10分が最終となります)

爪木崎の海岸に咲くアロエの花

これは自分でいうのもなんですが……最高のコースです!

ちなみに、車でいかれる方は爪木崎には大きな有料駐車場がありますので、爪木崎発で行程を組まれるのがいいかと思います。

10時過ぎに歩き始めて1時間半ほどかけて須崎漁港に到着。そして、須崎海岸11時53分発、爪木崎12時2分着で戻ってきて爪木崎でランチを堪能! という感じでしょうか。ちなみに須崎海岸にはランチをとれるお店も買えるお店もありません。

車で行って、徒歩で往復される方はバスの時間を気にせずでいいと思いますが、日が暮れると本当に真っ暗になるので時間配分にはくれぐれもお気をつけください。

岩場に整備された階段つきの歩道

このように階段が整備されていてとても歩きやすい場所もあります。

もちろん、水仙まつり期間以外でも、絶景には変わりませんので、是非!

最後に注意点。伊豆の冬は風が強いです。特にこの須崎エリアは伊豆半島の先にさらに突き出た半島(須崎半島といいます)なのでもろに風を受けます。

気温は高くても風で体温を奪われるので防寒対策はしっかりと。また、あまりに強風のときには無理をせず、撤退する判断も持つようにお願いします。高波が歩道にまで届くこともありますので。

地層がはっきりとわかる海岸沿いの岩場

ユネスコ認定世界ジオパークならではの「地球の動きを感じる地形」がとにかく凄くて圧倒されます!

おススメコース2 「下田富士登山」駅チカお手軽登山、でもちょっとスリリング! もちろん絶景も!

下田富士

下田のランドマーク的な存在ともいえる「下田富士」は、その名の通り「富士」に似た形の山ですが高さは1/10以下の191メートル。

ランドマークといいつつ、移住してきてもうすぐ6年になる自分……実は登ったことがなかったのです。

進んで登山をするタイプではないということもありますが、近くにある名所って意外と行かないもんですよね。でも、正月休みになると運動らしい運動をしなくなってしまう娘の体力づくりもかねて一緒に登ってきました。

記念碑と鳥居がある下田富士の登山口

登山口は国道に面しています。

こちら、登山口が駅から徒歩3分という旅行者にもとっても登りやすい立地です。周辺には駐車場も多くありますので、車の方もご安心ください。

娘は登る前、自宅近くから見える下田富士を見て、「え? あれに登るの??? 絶対無理!」と尻込みしていました。

でも登り始めると、人生初の急な登山道だったことに加えて、振り返ると海を望む絶景スポットもあったりで、意外なほどに夢中になっていました。

急な登山道

こんな道もあります。

下田の街並みと海が一望できる

振り返ると絶景!

登り30分、山頂でカップラーメンを食べて、降りるのに30分、無事に下山してきました。

父と娘、2人分のカップラーメン

外で食べるカップラーメンってなんでこんなにうまいのでしょうか!? ちなみに、お湯はポットに入れて持って行きました。火を起こせるような開けた場所はありませんので、ご注意を!

急な道だったり崩落してる箇所もあったりなので、低山だといってもしっかりとした靴を履いて、動きやすい格好で行くようお願いします。

そんな下田富士の頂上で、娘と話したこと。「まちから見たらすごく大きく見えて、登れるわけないと思ったけど……登れた! 遠くから見るのと全然違った」

降りてから下田富士を見る顔つきが、登る前の自信なさげな感じと違って、少なからず逞しくなった気さえするほどでした。

体験するって本当に大切なことなんだなあとあらためて感じます。アクセスの良さ、それなりに登山っぽいスリルも味わえる、とてもコンパクト、そして下田の海を望む絶景。

普段、登山をしないという方にもおススメの山です。(危険な箇所もあります。自己責任で登るようにお願いします)

下田富士の登山道を登る津留崎さんの娘さん

子どもにはいろいろな体験の機会をつくってあげたいですね。

ということでおススメのハイキングコースとプチ登山コースを紹介しました。

伊豆にいらした際には是非行ってみてください!また、お住まいの方で行ってない! という方も是非〜。

どこの地域にもこうしたハイキングコースやプチ登山コースなどあるかと思います。探してみてはいかがでしょうか?寒い冬、ついつい家にこもってしまいがちですが、体を動かすと温まって気持ちいいですね。

須崎遊歩道の海岸で遊ぶ子どもたち

後日、またもや須崎遊歩道に行ったときには娘のクラスメイトにばったり! 狭いまちですのでスーパーやホームセンターに行くと誰かしらに会うというのが日常ですが、こんなとこで会うとは……。どこの親も考えることは一緒ということなのかもしれませんね。かわいい子には旅をさせよう!!

※どちらのコースも崩落等により閉鎖されることがあります。ご確認の上、行くようにお願いします。※バスの時刻は2023年1月時点のものです。変更される可能性もあります。

文 津留崎鎮生

text & photograph

Shizuo Tsurusaki

津留崎鎮生

つるさき・しずお●1974年東京生まれ東京育ち。大学で建築を学ぶ。その後、建築家の弟子、自営業でのカフェバー経営、リノベーション業界で数社と職を転々としながらも、地方に住む人々の暮らしに触れるにつれ「移住しなければ!」と思うように。移住先探しの旅を経て2017年4月に伊豆下田に移住。この地で見つけたいくつかの仕事をしつつ、家や庭をいじりながら暮らしてます。Facebook Instagram