写真:高橋希

ひと箱完結の手づくりキット

箱を開けると、田んぼや畑、果樹園の風景が浮かぶ――。食材とともに、そんなひと時を自宅に届けてくれる手づくりキット〈ひとしお〉を販売するウェブサイトがオープンしています。

企画したのは、秋田市でオリジナルの焼き菓子などを販売するBAKE&食料品店〈マザー食堂 savu.(ヴー)〉を運営する五十嵐麻美さん。キットで手づくりできるのは調味料や保存食で、自身の店でおもに体や環境への負担が少ない商品を扱う麻美さんがこれまでに出会った、信頼できる生産者の農産物を中心に材料を構成しています。

秋田では馴染みのある「いぶり大根の醤油漬け」もキットで届く一例。知らない土地の郷土料理もすぐに仕込むことができます。

秋田では馴染みのある「いぶり大根の醤油漬け」もキットで届く一例。知らない土地の郷土料理もすぐに仕込むことができます。

旬の素材で構成するため商品は季節により異なりますが、秋は、「いぶりがっこ」の元となる「燻した大根」を使用してつくる「いぶり大根の醤油漬け」や、秋田県大潟村で農薬・化学肥料を使わずに育てられた〈松橋ファーム〉のショウガを使い「ジンジャーシロップ」をつくるキットを企画。冬には、秋田県潟上市で無農薬・無化学肥料の米と野菜をつくる〈ファームガーデンたそがれ〉の大豆・米麹と、秋田県男鹿沖の海水からつくられた塩などで仕込む「手前味噌」のキットを販売しました。

ひと箱に必要な材料と情報がすべて入っているため、調味料や保存食づくりがはじめての人も、簡単に挑戦できるのが魅力です。

自宅に届くひと箱の一例「ジンジャーシロップ」キット。レシピもついていて、ジンジャーシロップをつくった後のショウガのおいしい食べ方など、キットのメイン料理だけではなく、素材を無駄なく使う知恵も教えてくれます。

自宅に届くひと箱の一例「ジンジャーシロップ」キット。レシピもついていて、ジンジャーシロップをつくった後のショウガのおいしい食べ方など、キットのメイン料理だけではなく、素材を無駄なく使う知恵も教えてくれます。

仕込むには少しの手間と時間が必要ですが、そのわざわざを楽しんでほしい。自分で手づくりすることで、喜びもおいしさも“ひとしお”、いちだんと深まっていく体験をしてほしい。そんな想いで〈ひとしお〉は生まれました。

スーパーに行けば買えてしまう調味料も、自分でつくってみることで記憶に残る体験になるはず。夏には「トマトソース」や「バジルソース」などのキットも登場します。 写真:高橋希

スーパーに行けば買えてしまう調味料も、自分でつくってみることで記憶に残る体験になるはず。夏には「トマトソース」や「バジルソース」などのキットも登場します。 写真:高橋希

今春は、4月17日に「酒粕ヤンニョン」キットを販売。〈ファームガーデンたそがれ〉の田んぼで育てた酒米「亀の尾」を原材料にした〈秋田醸造〉の日本酒「ゆきの美人」の酒粕、秋田県大潟村〈みすず農場〉の無農薬大豆を使用した醤油、秋田県産のニンニクや長ネギを使って、ヤンニョンをつくります。ヤンニョンは韓国の合わせ調味料で、ナムルやヤンニョンチキンに使うとおいしいと麻美さん。豆腐に載せて食べても好相性だそう。

4月17日にリリースする「酒粕ヤンニョン」キット。

4月17日にリリースした「酒粕ヤンニョン」キット。3300円

秋田で真面目に、土地を慈しみながら命を育む生産者を知るひとつの入り口にもなる〈ひとしお〉。最新の発売予定はウェブサイト『ひとしお』をチェックしてみてください。麻美さんが生産の現場へも足を運び選んだ、信頼できる食材で構成された商品が揃っています。

梅の旬には、「梅干し」や「スパイス梅シロップ」のキットも販売予定です。 写真:高橋希

梅の旬には、「梅干し」や「スパイス梅シロップ」のキットも販売予定です。 写真:高橋希

information

ひとしお

Web:ひとしお

information

マザー食堂 savu.

住所:秋田県秋田市楢山南中町2-40

営業時間:10:30〜17:00

定休日:木・日曜、祝日

Web:マザー食堂 savu.

writer profile

Haruna Sato

佐藤春菜

さとう・はるな●北海道出身。国内外の旅行ガイドブックを編集する都内出版社での勤務を経て、2017年より夫の仕事で拠点を東北に移し、フリーランスに。編集・執筆・アテンドなどを行なう。暮らしを豊かにしてくれる、旅やものづくりについて勉強の日々です。