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東京2020組織委員会(以下、組織委)は、東京2020大会公式文化プログラムである
東京 2020 NIPPON フェスティバルのうち、テーマ「東北復興」として実施する主催プログラム
「しあわせはこぶ旅 モッコが復興を歩む東北からTOKYOへ Presented by ENEOS(以下、しあわせはこぶ旅)」の
福島会場プログラムを2021年5月29日(土)に福島県南相馬市の雲雀ヶ原祭場地で開催しました。当日の様子をお伝えします。

【福島会場当日の様子】

福島会場全景

2021年5月15日(土)に岩手県陸前高田市の高田松原津波復興祈念公園にて開幕した「しあわせはこぶ旅」。
続く、5月22日(土)に二ヵ所目の開催地である宮城県岩沼市の千年希望の丘相野釜公園でのパフォーマンスを無事に終え、
5月29日(土)、東北3県の最後を飾る福島会場となる南相馬市へとやってきました。

福島県の東部浜通り地方に位置し、太平洋に面する人口約5万2000人(2021年5月1日現在)の南相馬市は
2011年3月11日(金)に発生した宮城県沖を震源とする東日本大震災により、市内で最大震度6弱を記録。
地震により発生した津波は最大高約9.3m(相馬港)に達し、沿岸から実に3km以上の距離を飲み込み、
市面積の約10%にあたる約40k㎡、約9,700棟の住宅が全半壊及び浸水被害を受け、死者・行方不明者、
そして避難先等での震災関連死者を合わせて1,156人が犠牲(2021年4月5日現在)となる大きな被害を受けました、
また同県双葉郡大熊町に位置する東京電力福島第一原子力発電所で発生した、地震と津波を原因とする
原子炉の炉心溶融事故により、同発電所から半径20〜30km圏内に位置する南相馬市では、
平成23年当時に約7万1000人であった市人口の内、一時、約5万人が市外への避難を余儀無くされるという
東日本大震災の被災地の中でも突出して大きな被害を受けた自治体の一つです。

祭場西門にまつられている馬頭観世音

その南相馬市内のほぼ中央部、原町区にある雲雀ヶ原祭場地が「しあわせはこぶ旅」福島会場の舞台。
平安時代、相馬氏の遠祖とされる平将門が自身の領地であった下総国小金ヶ原(現在の千葉県北西部)に
放した野馬を敵兵に見立てて軍事演習に応用したことにはじまったとされる、実に千年以上の歴史を持つ
福島県を代表する神事「相馬野馬追」のメイン会場として全国的にその名を知られる会場であり、
2021年3月25日(木)には、同日に県内双葉郡樽葉町のナショナルトレーニングセンターJヴィレッジを
スタートした東京2020オリンピック聖火リレーの福島県開催第1日目のゴール地点となる
セレブレーション会場として使用され、東京2020大会とも縁のある場所となっています。
その会場には多数の福島県民が来場・・・・・・となる筈でしたが、開催1週間前に組織委より、
福島県内の新型コロナウイルス感染症の感染状況等を踏まえ、福島県とも協議の結果、
宮城会場と同様に有観客での開催を見送るとの発表が。その為、当日の現地には、
報道陣および関係者のみが集まることとなりました。

プログラム開始に先立ち、「しあわせはこぶ旅」の総合演出・クリエイティブディレクターを務める
箭内道彦さんより、本事業の主旨説明、モッコの紹介に続き、被災者の追悼し、1分間の黙祷が捧られます。

続いて、主催者を代表して古宮正章組織委副事務総⻑の挨拶。
古宮事務総長「このイベントについては何年も前から東北の方達の思いを何らかの形で
世界にメッセージとして届けたいそういう企画が出来ないかとという所から始まっております。
このプログラムは決して賑やかしや盛り上げだけの物ではありません。
(東北3県を巡り)色々な思いをモッコは岩手県、宮城県、そしてこの福島県で
沢山抱え込んでいるなという風に思い、モッコ自身がますます力を得ている様に感じますし、
まるで生きている、命を貰っている様に感じます。」

次に開催地代表として内堀雅雄福島県知事、門馬和夫南相馬市⻑の挨拶が。
内堀知事「モッコ、福島にようこそ!今日私から福島から託す3つのメッセージがあります。
一つ目は「ありがとう」。震災、原発事故以降、全国からの御支援と応援を頂き、
この10年で復興を前に進める事が出来たのも多くの皆さんの「福島頑張れ!」の応援の御蔭です。
皆さんに心からありがとうの思いをお伝えしたいと思います。2つ目は「頑張ろう」。
福島、東北に限らず、全国で災害、或いは新型コロナウイルス感染症という難病と立ち向かっています。
この逆境を乗り越え、皆で夫々頑張ろう!という思いをモッコに託します。
そして3つ目は「思いやり」です。コロナ禍において、夫々の意見の食い違いがともすると、
ソーシャルディスタンス(社会的距離)ではなく、”心のディスタンス”になっていると私は受け止めています。
様々な意見がある事を理解した上で、相手を尊重しどうしていくかという思いやりが
今の日本や世界にはとても大切だと思います。素敵なモッコが福島の地から東京へ向かい、
東京から世界へと東北の思いが伝わっていく事を心から祈念します。」

門馬市長「皆様からのご支援の御蔭をもちまして、南相馬市と福島の復興は一つずつ着実に進んでいると理解しています。
この雲雀ヶ原祭場地は一千有余年の歴史を持つ相馬野馬追の舞台であり、本日は中ノ郷騎馬会による
地域平和と住民の安明、そして復興の願いを込めた法螺貝の吹奏を行い、モッコに相馬の武士(もののふ)の
不屈の魂が宿り、被災地のメッセージを世界中に無事に届ける事を祈念する次第です。」

そして門真市長から箭内さんへ来場予定であった福島県の観覧者から預かった、観覧申し込みサイト内にて
事前募集し、来る7月の東京会場にて初披露されるオリジナル楽曲「とうほくの幸」の詞の制作に活用される
「東北復興への思い」のメッセージが包まれた風呂敷が手渡されます。
その中には「10年経ち、未だ復興半ばだと思います。後10年経った時、新しい福島になっていたらいいな」というものや、
「頑張れ東北!と励まし続けられ10年、今の東北は私を含めとても強くなりました。そんな10年が形になったのが
今の東北の姿です。沢山応援して下さった日本国民の皆さんに感謝を込めてこの姿を見て頂きたいです。
そして私はこう言って頂きたい。「良く頑張った、東北」と。」」という10年の月日の思いが記された物も。

そしてモッコパフォーマンスに先立ち、相馬野馬追に参加している南相馬市の中ノ郷騎馬会の
中島三喜会長を筆頭に総勢10名による法螺貝の演奏が行われます。毎年7月の最終週末に行われる相馬野馬追。
その初日に行われる相馬市内三社からの荘厳な出陣式「お繰り出し」の様相を呈する、周りの空気を一変させる
4連奏の法螺貝の音色に雲雀ヶ原祭場地は出陣式さながらの高揚感に包まれます。

そして内堀知事、門真市長が見つめる中、モッコパフォーマンスがスタート。今回は後半パートである
約25分間の「大団円」が行われました。4月の長野県下伊那郡高森町での操演公開から、
岩手・宮城を巡り、モッコの操演、そして舞台演技がこの1ヵ月ですっかり円熟の域に達した各出演者。

何やら雲雀ヶ原祭場地が騒がしいぞと外周路に集まった約60名の地元住民の皆さん

セーリング競技並みにロープに全体重をかけてモッコを操演する沢さん(写真左)と演者

「300歳のこども」と箭内さんが話すモッコもロープ捌きが体に染みついた演者たちにより、この1ヵ月間で
動きが別物と呼べる程進化しています。フィナーレ間近のシーンで東北3県の伝統的な祭りの踊りを踊るモッコの姿に、
関係者でも思わず血が騒いで手や腰の動きをとってしまう所が大きなポイントの様子。
最後には、福島会場で河童役として出演、およびモッコ操演者として活躍した地元福島県のボランティアが紹介され、
相馬野馬追中ノ郷騎馬会の終演の法螺貝演奏にてパフォーマンスを終えました。

【囲み取材の様子】

モッコパフォーマンス終了後、古宮副事務総長、箭内さん、モッコの人形デザイン設計、
人形製作操演・総指揮を務める沢則行さんが登壇しての囲み取材が行われました。
その中でも福島県出身者である箭内さんに多くの質問が向けられます。

Q:モッコのパフォーマンスを通して福島の人々に一番伝えたい事は?

門馬市長から箭内さんに手渡された「東北の思い」のメッセージの一部

2019年4月に南相馬市立原町第二小学校にて箭内さんと共にモッコのワークショップに参加した卒業生・在校生からのメッセージ

箭内さん「皆さんご覧になっていると勿論、モッコに目が行くんですけど、それを
地元のボランティアの方々が操演ロープを握って、皆の力が無いと動かせないという存在でもあって、
今、世界に必要な事の一つなんじゃないか、とそこは思いましたね。地元が違う人、
今日初めて操演する人もいる中でこうやって力を合わせていくと、この大きな存在を
歩かせる事が出来るんだ、という部分を今日改めて僕は感じました。」

Q:地元福島県でパフォーマンスが出来た事については?

箭内さん「頂くメッセージもそうなんですが、岩手・宮城と旅をして来て、福島は福島第一原発の事故の
影響があって復興の進捗というものが、同じ東北でも復興の形、進み具合が違っていて、
この福島の大地にモッコが立つ事が出来て嬉しいです。そしてこれだけ広い場所ですから、
ここに来た時に最初、岩手宮城で見ていた時よりもモッコが小さく見えるなと思ったんです。
それが逆にのびのびと青空の下でモッコが踊る姿が力強く頼もしく感じました。」

Q:宮城会場に続き、無観客開催となった事については?

箭内さん「今日メディアの皆さんが見た物をここに集まれなかった福島の皆さんに、そして世界に
しっかりと伝えて頂くという事については、本当の意味での無観客ではないなと強く心に感じながらやりました。
ただやっぱり、直にモッコを見て沢山の人が笑顔になってくれたらな…という思いも勿論ありました。
福島県の非常事態宣言の解除が今月31日で解除されるとなっていましたが、そういう意味では、
今日、開催出来るのか?という事もハッキリしない中で、皆で準備を重ねて来たというのも確かです。
無観客でも安全を確保し、開催する事が出来て感謝しています。」

沢さん「宮城に続いて無観客開催が2か所目なんですけど、僕等舞台芸人にとって無観客というのは
本当にやる気が起きないイベントで、なんだかな…と思いながらやったんですけど、
お世辞ではなく皆さんの反応が良いんですよ。カメラを回している絶対笑っちゃいけない立場の方も
ニコニコしていてるのが僕等分かるんです。よく考えるとメディアの皆さんが観た物、撮った物、
これからウデを使って仕込むモノって多分、100人〜10,000人分の目なんですよね。
だから僕は凄く沢山のお客さんが居ると思ってやろうって役者に言いました。
コロナ禍でメディアの担っている力って何時もより大きいんじゃないかなという気がしました。」

Q:3月27日に郡山市で聖火ランナーを務め、そして今日、雲雀ヶ原祭場地で
モッコのパフォーマンスを行った今、自身が思う率直な気持とは?

箭内さん「内堀知事も話されていた事でもありますけど、コロナウイルスも勿論、様々な思いが
心の分担を作っていて、オリンピックに「レガシー」という言葉が有りますけど、
これをこの後、僕等がどう繋ぎ直していくのかという事はオリンピックだけではなく、
世界中の大きな宿題なんだなと感じております。」

そして最後に古宮副事務総長より「箭内さんの通り、色んな意味で分断が進んでしまっていて、
本当にまずいな、と思う中、今日モッコのイベントで皆が集まって、お互いを知らない人達が
いっぱい協力をして出来たんですね。こういう社会にやっぱりしなきゃいけないなと。
オリンピックがその中でどれだけ役割を果たせるか難しい所ですが、少なくともそういう気持ちでやっていきたいと思います。」
とのコメントに箭内さんは「どっち側の人間だ?って言われそうですけど、一方で我々一般人はまだまだ不安が
払拭される説明が足りていないような気がしています。皆が安心して納得して出来る様な形を
上手く作って頂けたらなと。本当に難しいなら無理しないで欲しいなと。一応、言っておきました。」と
自身の率直な思いを話されました。

約2週間をかけて巡った東北3県より集めた溢れんばかりの「東北からの思い」を背負ったモッコ。
約1ヵ月半後の7月17日(土)、「しあわせはこぶ旅」の終着地となる、東京は新宿御苑へ向けてモッコは歩みを進めます。

【プロジェクトストーリー】

2011年から10年後、2021年のTOKYOに東北から向かう「モッコ」。
ワークショップを通し、東北の子どもたちのイマジネーションとともに育まれたモッコ。
The Creation of TOHOKU. その大きな身長は、約10メートル。
陸前高田(岩手)、岩沼(宮城)、南相馬(福島)と、太平洋岸を進む旅の途中、モッコは様々な東北の文化と人を感じます。
TOKYOと東北を繋ぎ、そして、人と人の思いを、もう一度繋ぎ直しながら。
現在の東北を知り、やがて訪ねてみたいと思う人が増えるきっかけにもなりながら。
思い出を携えて、モッコはさらに歩き続けます。みんなを笑顔にするために。
たくさんのしあわせを運ぶために。バラバラな思いを、ひとつにするために。

【東京 2020 NIPPON フェスティバルとは】
東京2020組織委員会は、世界の注目が日本・東京に集まる2021年4月から9月までにかけて、
あらゆる境界を超えた連帯の象徴となるよう、公式文化プログラムとして東京 2020 NIPPON フェスティバルを実施します。
東京 2020 NIPPON フェスティバルは、スポーツと共にあらゆる境界を超えた連帯の象徴として
平和な社会の実現に貢献しつつ、日本が誇る文化を国内外に強く発信するとともに、共生社会の実現を目指して
多様な人々の参加や交流を生み出すこと、そして文化・芸術活動を通して多くの人々が東京2020大会へ
参加できる機会をつくり、大会に向けた期待感を高めることを目的としています。

東京 2020 NIPPON フェスティバル特設ページはこちら

【「しあわせはこぶ旅 モッコが復興を歩 む東北からTOKYOへ Presented by ENEOS in ふくしま」開催概要】

しあわせはこぶ旅 モッコが復興を歩 む東北からTOKYOへの公式サイトはこちら

<開催日時>
2021年5月29日(土)13:00開始

<会場>
南相馬雲雀ヶ原祭場地

<来場者数>
無観客実施(関係者のみ)

<主な出席者>
古宮正章:公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会副事務総⻑
内堀雅雄:福島県知事
門馬和夫:南相馬市⻑
箭内道彦:総合演出・クリエイティブディレクター
沢則行:人形デザイン設計、人形製作操演・総指揮

<相馬野馬追パフォーマンス>
相馬野馬追 中ノ郷騎馬会10名

<出演予定であったパフォーマンス団体>
山木屋太古(福島県川俣町)
福島県立会津農業高等学校早乙女踊り保存クラブ(福島県会津坂下町)
林家舞楽(山形県河北町)

<実施体制>
主催:公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会
共催:福島県
協力:南相馬市/⻑野県下伊那郡高森町

【「しあわせはこぶ旅 モッコが復興を歩む東北からTOKYOへ Presented by ENEOS」概要】

「しあわせはこぶ旅 モッコが復興を歩む東北からTOKYOへ Presented by ENEOS」の公式サイトはこちら

<日時>
岩手会場:2021年5月15日(土)12:00開場13:00開演
宮城会場:2021年5月22日(土)
福島会場:2021年5月29日(土)
東京会場:2021年7月17日(土)15:30開場17:00開演
※時間は全て予定

<会場>
岩手:高田松原津波復興祈念公園
宮城:千年希望の丘相野釜公園
福島:雲雀ヶ原祭場地
東京:新宿御苑風景式庭園

<公演時間>
約1時間(途中休憩無し)※モッコの物語単独でのパフォーマンス時間

<料金>
入場無料
※本プログラムは新型コロナウイルス感染症対策のため、事前申込制となり、申込多数の場合は抽選となります。予めご了承ください。
『東京会場参加申込』
現在調整中につき、決定次第、公式サイトにて告知

<出演者>
『操演者』
Noémie Gaildrat
縣梨恵
安藤大貴
井川ちなみ
大島清愛
岡本渉吾
桑原博之
小平普 (演出助手兼務)
後藤カツキ
古屋暖華
吉澤慎吾

岩手・宮城・福島:箭内道彦、他
東京:箭内道彦、石川さゆり(歌手)、Mummy-D(ラッパー)、他

<STAFF>
クリエイティブディレクター・総合演出:箭内道彦
メディカルディレクター(新型コロナウイルス感染症対策): 忽那賢志
人形デザイン設計・人形製作操演 総指揮:沢則行
「モッコ」命名:宮藤官九郎
ベースデザイン・世界観:荒井良二
「モッコの物語」作者:又吉直樹(ピース)
「モッコの物語」朗読・「とうほくの幸」歌唱:石川さゆり
「とうほくの幸」歌唱:Tokyo Tanaka (MAN WITH A MISSION)
「とうほくの幸」ラップ:Mummy-D(ライムスター)
「とうほくの幸」編曲&プロデュース:亀田誠治
舞台監督+音響:田中誠治
演出+操演者:沢則行
音楽:oo39ドットコム(八幡浩暢)
演出助手:寺澤宏昭、坂本美帆
現場監督:岡本俊生
重機オペレーター:浅賀岳生、小野貴裕、廣瀬正幸
現場監督補佐:廣瀬芳徳
美術+技術:嶋﨑陽、大池ひとみ
衣装:アキヨ
カメラマン:後藤康介
プロダクションマネージャー:小泉直美
プロデューサー:湯川篤毅
協力:東京藝術大学(演奏・録音)

<実施体制>
主催:公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会
共催:岩手県・宮城県・福島県・環境省
岩手会場協力:陸前高田市
宮城会場協力:岩沼市
福島会場協力:南相馬市
協力:長野県下伊那郡高森町
後援:復興庁

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