東京2020オリンピック聖火リレー開催100日目(移動日を含まず)となる2021年7月9日(金)、
オリンピック聖火リレーの最終開催地にして東京2020大会の開催都市である東京都へと聖火がやってきました。
東京都内のスタートを飾った駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場での聖火お披露目式と
町田シバヒロにて行われた東京都DAY1の点火セレモニーの様子をお伝えします。

【東京都オリンピック聖火リレー聖火お披露目式】

2021年3月25日(木)に福島県双葉郡樽葉町のナショナルトレーニングセンターJヴィレッジを出発した
東京2020オリンピック聖火。約3か月半をかけて46道府県、およそ800の市区町村(公道走行中止、
点火セレモニー等で実際には聖火リレーが訪れていない地域を含む)を実に約8,600人以上の
聖火ランナー達が聖火を繋いで来ました。しかし途中、半数の24の開催道府県で、
走行ルートの変更・短縮、無観客での走行や公道でのリレーを中止し、セレブレーション会場での
聖火点火セレモニーのみが実施される等、新型コロナウイルス感染症の影響を非常に大きく受けた
東京2020大会の聖火リレーは7月8日(木)の埼玉県さいたま市での点火セレモニーを経て、
ついに47番目の開催地、東京都へとたどり着きました。東京都DAY1となる7月9日(金)、
都内に聖火が到着した事を東京都民に広く知らせるべく、東京1964大会では、
サッカー、レスリング、ホッケー、そして「東洋の魔女」と謳われたバレーボール日本女子代表が
金メダルを獲得した会場として、都民に広く愛される、世田谷区の駒沢オリンピック公園総合運動場の
陸上競技場トラックにて聖火お披露目式が開催されました。

厚い雲に覆われた梅雨空の会場には、65媒体・104人の報道関係者が詰めかけ、
居並ぶスチールカメラとムービーカメラの砲列が、聖火の登場を待ち構えています。

定刻になると、東京1964大会をきっかけに設立された東京都交響楽団の5人のトランペット奏者が
ステージ下手側にて、5重奏のパフォーマンスを約10分間に渡って披露。今井光也氏作曲の
「東京オリンピック・ファンファーレ」が競技場に響き渡り、途中には、すぎやまこういち氏作曲の
ロールプレイングゲーム「ドラゴンクエスト」の序曲が演奏され、記者エリアがどよめく場面も。

演奏が終わると、小池百合子東京都知事の挨拶。
小池知事「聖火は全国46の道府県をぐるぐると周って、本日、遂に東京に到着を致します。
新型コロナウイルスの影響で、公道を走行出来なかった事もございました。厳しい状況を
全国の皆様方の強い思いと様々な工夫によって乗り越えて、希望の道としてここまで繋がれて参りました。
都内の聖火リレーは本日から15日間、全ての区市町村が参加して実施を致します。
ランナーの皆様は年齢・性別・職業・障害の有無・国籍、実に様々でございます。
夫々の思いを聖火に込めてオリンピックスタジアムに向けてしっかりと繋げて頂きたいと存じます。
皆で応援して参りましょう。宜しくお願い致します。」

続いて、MCからの呼び込みにてステージ上手側より、スペシャルゲストとして聖火が灯された
ランタンを手に登場したのは、射撃のパラリンピアンで東京2020聖火リレー公式アンバサダーの
田口亜希さんと元プロテニスプレーヤーでスポーツキャスター・タレントの松岡修造さんの二人。

ステージへと登壇した田口さんから小池知事へとランタンが渡され、小池知事が架台へとランタンをセットします。
そして田口さんに、MCが46道府県を繋いで来た聖火への思いは?と問うと、
田口さん「昨年3月にギリシャから東松島へと聖火が到着しました。その時も私だけではなく、
5人の聖火リレー公式アンバサダーが一緒に迎えまして、そして今年の3月、
福島のグランドスタートにて皆で聖火をみおくりました。私自身は4月に
大阪の万博公園内を走りまして、その時に一緒に走ったチームの皆さんが聖火を持つと笑顔になられて
「楽しかった」「嬉しかった」「いろんな思いを込めました」と仰っていました。
そして自分自身が走った後、ライブストリーミングで聖火ランナーの皆さんの走りを見て、
思いとか感想とかを見て、皆さんが感謝を込めて走ったとか、勇気を与える為に走ったとか、
色んな思いがこの聖火には込められているんだなと、ランナーの皆さんだけでなくて周りの方々の
思いが込められているんだなというのを感じていました。そして本日、東京に到着致しました。
聖火が皆さんの思いが込められて少し力強くなってきているんではないかなと思います。
これから15日間かけまして7月23日、オリンピックスタジアムへ思いの込められたこの聖火が
灯る事がとても楽しみです。東京の聖火ランナーの皆様、本当に頑張って走って頂きたいと思います。」

そして都内第一走者を務める事となった松岡さんに今の心境をMCが問うと、
松岡さん「僕はこの聖火にありがとうって言いたいです。オリンピックが一年延期されて、
心が途切れそうになってもこの聖火は諦めなかった。困難な状況の中で世界中の皆さんが
日本中の皆さんが思いを乗せて、次へ次へと繋げていたからこそ、今ここにあると思うんです。
皆さんの思いにありがとうと言いたいです。そしてこの聖火、炎がアスリート達のゆらぐ心の様に
僕は感じます。アスリートはこの一年、本当に苦しんでいた。どうやって前に行けば良いのか藻掻いていました。
でも、消えなかった。それはこの聖火と同じ様に応援してくれる周りの支えによって辿り着く事が出来た。
ただ、それは日本だけじゃないです。世界中も一緒です。僕はこの状況下で頑張る全アスリートに対して、
本気で応援をしたいと思っています。その思いをこの炎に託して繋げていきます。
この聖火が一歩踏み出す大きな力になる事を僕は信じています。東京なら、日本なら出来る。」

田口さんと拳を合わせる松岡さん

町田へと出発する松岡さんを見送る小池知事と田口さん等

そして小池知事と田口さんに見送られ、松岡さんが聖火ランタンを手に東京都DAY1の
点火セレモニー会場となる町田シバヒロへ向けて、東京都内第一走者として
ステージ下手側へと降壇し、聖火お披露目式は幕を閉じました。

【東京都DAY1点火セレモニー】

午前9時30分頃に駒沢オリンピック公園を出発した聖火は、東京都での開催1日目の会場となる
町田市の町田シバヒロへと到着。旧町田市役所本庁舎跡地に整備された都内でも珍しい、
駅近くに位置するこの芝生広場は本来、東京都DAY1のゴール地点であるセレブレーション会場として
DAY1の最終聖火ランナーを華々しく迎えるセレモニー会場となる予定でした。

ランナー関係者エリアに掲げられた手製の横断幕

しかし、7月6日に東京都は新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、
7月15日(木)のDAY7、7月16日(金)のDAY8に行われる、島しょ部でのリレーを除き、
東京都内の全ての区町村での公道での聖火リレー走行を中止とし、各日のセレブレーション会場で、
一般の観覧者を入れない無観客点火セレモニーを実施すると発表がありました。
その第一日目の点火セレモニーには、世田谷区・狛江市・稲城市・町田市を
走行予定であったランナーが参加。本番走行予定と同じく5つグループに分けて
ステージ上にて点火セレモニーがおこなわれます。観覧エリアにはランナーの家族等、関係者が来場し、
パートナーブースで配布されていたタオルや手製の横断幕を使用してランナーを応援。

午後1時より始まった第1グループの世田谷区の点火セレモニーには、午前中に駒沢オリンピック公園より
聖火の入ったランタンを町田シバヒロへと送り届けた松岡さんが東京都内第一ランナーとして登場。

点火セレモニーに先立ち挨拶をする保坂展人世田谷区長

世田谷区では430年続くボロ市通りから東京1964大会、そして東京2020大会でも馬術競技会場となる
馬事公苑まで34名のランナーが力強く走る予定であったが、世田谷発、全国へ希望の光として平和、
多文化共生の祭典としてスタート記して欲しいと挨拶する保坂展人世田谷区長が握る点火棒より、
松岡さんが持つ水素トーチへと軽い発火音と共に点火。そして第1区間第2スロットを走行予定であった
第2ランナーの齋藤龍音さんとトーチキスをし、力強いトーチキスを披露。満足そうな表情でステージを降壇しました。

DAY1最年少となる13歳の近藤壮一郎さんは、第4区間第18スロットを走行予定でした(写真左)

DAY1は少年消防団を務める13歳の中学生から、夏季4大会連続出場を果たし、
計13個のメダルを獲得した89歳の日本体操界のレジェンドまで、幅広い年齢の計104名のランナーが
点火セレモニーに登場。様々な思いを胸にトーチキスを行います。
その中には俳優の山田孝之さんや、元読売巨人軍やメジャーリーグでプレーし、
アテネ2004大会の野球競技で日本に銅メダルを齎した元プロ野球選手の上原浩治さんも登場。

町田市内某所にて行われた聖火ランナーの囲み取材に登壇した上原さん

上原さんは、点火セレモニー後に行われた囲み取材の中で、予定されていた公道が走れなかったという事に関して、
「仕方のない事だとは思いますけども、もうちょっと盛り上がりが欲しかったというのもありますよね。」と
本音を話され、無観客試合となる野球日本代表チームへのメッセージとして
「やるという事が決まっている訳ですし、あれこれ考えずに兎に角、メダルを目指して
頑張って欲しいと思います。」とコメント。
そして、自分のトーチに聖火が灯った瞬間は、トーチが重いと感じたか?軽いと感じたか?との問いには
「う〜ん…熱いと感じました。軽い・重いというよりも、この熱い気持ちを皆さん持って
頑張って欲しいという気持ちでしたね。」と、点火セレモニーに参加したランナーへのエールを送っていました。

第5区間第33スロットを走行予定であった酒井久美代さんとトーチキスをする鹿沼さん

途中、第3〜第5グループのセレモニー中、梅雨空から大粒の雨が落ち、ステージを降壇したランナーが
びしょ濡れになる部分もありましたが、滞りなく各グループがトーチキスを完遂し、
そして時刻は19時40分過ぎ。DAY1の最終ランナーによる聖火皿への点火式へ。

鹿沼さんが掲げたトーチから勢い良く聖火皿に点火される聖火

104名のDAY1の最後を務めるのは、町田市出身で、リオ2016パラ大会の
自転車女子タンデム(視覚障がい(ストーカー、Bクラス))のロードタイムトライアルにて
銀メダルを獲得したパラリンピアンの鹿沼由理恵さん。
第5区間第33スロットを走行予定であった酒井久美代さんとトーチキスを行った鹿沼さんは、
介助者と共に104人のランナーの思いを乗せて聖火皿へと点火しました。
大役を果たした鹿沼さんは「リオで私が頑張れた聖火と同じ聖火がこの東京にやって来た事に
改めて感動しました。そしてこの灯が選手の頑張る力になる事と思っています。
皆さんの暖かい拍手、そして私に繋ぐまでの皆の暖かい思いが私を改めて強くさせてくれたと思います。
日本全国を駆け巡って来たこの聖火、どうか東京大会の会場に皆さんの応援の力と共に
繋いでいただければと思います。どうぞ宜しくお願いします。」と会場内の人々へ挨拶をされ、
無事に東京都DAY1のセレモニーは全行程を終了しました。

遂にやってきた開催都市東京の聖火リレー。7月23日、新宿区霞ヶ丘町のオリンピックスタジアムに向け、
15日間、都内全区町村を巡る聖火の旅が始まりました。

【東京都聖火お披露目式概要】

<日時>
2021年7月9日(金)8:45開始

<会場>
駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場

<登壇者>
小池百合子:東京都知事
田口亜希:パラリンピアン・東京2020聖火リレー公式アンバサダー/パラ射撃女子・アテネ2004年大会、北京2008大会、ロンドン2012大会
松岡修造:元男子プロテニスプレーヤー・スポーツキャスター・タレント
東京都交響楽団:トランペット奏者5名

©Tokyo 2020