撮影:伊藤彰紀(aosora)

今年で34回目の開催を迎える東京国際映画祭(以下、TIFF)。日本で唯一の国際映画製作者連盟公認の
国際映画祭である本映画祭の2021年10月30日(土)からの会期本番を前に
2021年9月28日(火)、東京都千代田区の東京ミッドタウン日比谷6FのBASE Q HALLにて
ラインナップ発表記者会見が行われました。

【会見の様子】

最初に安藤博康TIFFチェアマンから挨拶。
安藤チェアマン「今、世界中の人々がコロナに苦しんでいます。私達映画祭スタッフもまた、
この一年、悪戦苦闘してまいりました。私達はこのコロナを乗り越えて
ポストコロナの映画の新しい未来は何なのかを模索する為に今年の秋、
映画祭を実施する事を決意いたしました。17年ぶりに六本木エリアから日比谷・有楽町・銀座地区に
会場が移り、より広くお客様に映画を楽しみ、親しんで頂けるのではないかなと思いますし、
またそうする事によって映画祭の存在・認知度を一層高めていきたいと思います。」

安藤チェアマンの挨拶の後、提携企画「東京フィルメックス」、TIFF併設マーケット「TIFFCOM」が
紹介された後、今年の審査委員長が紹介されます。

今年の審査委員長はフランス人女優のイザベル・ユペール氏に決定。「ピアニスト(2001)」で
カンヌ国際映画祭女優賞を受賞する等、世界的な名声を誇り、一昨年のチャン・ツィー氏に続き、
女性審査委員長となる事に。イザベル氏からのコメントが代読されます。
「コンペティション・国際審査員委員長に選ばれた事を光栄に思います。TIFFは
世界で最も重要な映画祭の一つであると私は大いに尊敬して来ました。素晴らしい文化と
堂々たる映画史を誇る国、日本に再び迎え入れて貰える喜びを感じています。
これまで世界各地の映画祭で審査委員長を務めて来ましたが、様々なバックグラウンドを持ちながら、
映画への愛でつながった才能ある仲間達と自分の視点を共有する経験は何時も刺激的です。
今回の映画祭の成功をお祈りすると共に、他の審査員の皆さんと一緒に劇場で今年の入選作を
拝見する事を楽しみにしています。本当に何と幸運な事でしょう。」

次に、TIFFの顔となる、今年のフェスティ・バルアンバサダーが発表されます。
今年のフェスティバル・アンバサダーは女優の橋本愛さん。橋本さんより挨拶がなされます。
「この季節になると、ちょっと暇があるとTIFFのHPを見て「空いてる行こう!」みたいな、
日常の延長線上にTIFFがあったりするんですけど、本当に思い出深い出来事が沢山あって、
自分の人生を丸ごと救われたかの様な体験もさせて頂きましたし、ご縁があるなと
個人的には思っていたので、今回アンバサダーとしてのまた新たなご縁を頂き、本当にありがたいなと思っています。
「エンドレス・ポイトリー」という映画をTIFFで拝見させて頂いて、その中で印象的な場面が有りまして、
具体的には「愛されなかったから、愛を知ったんだ」という言葉があって、
(愛)を得られなかったからこそ、自分が何が欲しいのかっていうのが分かるじゃないですか。
その言葉で自分があまり上手く付き合えなかった人達に対しても、だから私は
こういう気持ちを知れたんだという感謝の気持ちが生まれて、自分の人生を変えて貰った、
と言ったら凄くありふれた言葉になってしまいますけど、本当に人生を変えてくれたので、
そういうありがたい経験がありました。」

そしてアンバサダーとして今年のTIFFに期待する事は?とのMCの問いには
橋本さん「映画祭そのものというよりかは、映画・文化・芸術がもっと日本という島国の
もっと地中深くに根を張っていったら良いなという思いがあって、その為には
皆さんの一人一人の生活の中に、映画や色々な芸術が良い意味で蔓延っていけてたら
良いなと思っていて、この映画祭も皆さんの人生の大きな一部になっていける様に
現状に満足せずにどうしていったら良いかというのを前向きに考えていけたら良いなと思います。
個人的にダンスや舞踊、踊り、舞等、身体芸術が凄く好きなので、
田中みゆさんの「名付けようのない踊り」を見たいなと思います。」と、発展的なコメントがなされます。

次にTIFFの開幕と終幕を告げるオープニング・クロージング作品の紹介が。

オープニング作品『クライ・マッチョ』© 2021 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved

今年のオープニング作品はクリント・イーストウッド監督作品の「クライ・マッチョ」。
ハリウッドレジェンドのクリント・イーストウッド監督50周年記念作品となり、
人生に失敗した男と親の愛を知らない少年がメキシコを横断していく中で、
人生に必要な本当の強さとは何なのかを見出していく感動作。

クロージング作品『ディア・エヴァン・ハウゼン』© 2021 Universal Studios. All Rights Reserved.

そしてクロージング作品はスティーヴン・チョボスキー監督作品の「ディア・エヴァン・ハウゼン」。
9月10日より行われたトロント国際映画祭でオープニングを飾った本作。
大ヒットミュージカルを映画化した作品で、一通の手紙と思いやりをキッカケに、
本当の自分に気付くまでの過程を描く物語が映画祭の終幕を飾ります。

続いて各部門紹介へ。
「コンペティション部門」
15作品が名を連ねる本部門。15作品中、11本がワールドプレミア、4本がアジアプレミアとなり、
幾つかの作品は、作品プロデューサーが欧州の映画祭に出すという所を、監督がTIFFに最初に出す!と説得し、
プレミアとなったものがあるとの事。アジア映画作品の比率が高いのは、面白い作品を優先した結果としています。

「アジアの未来部門」
9年目を迎える本部門は10作品全てがワールドプレミア作品。部門改変により、昨年まで存在した
「日本映画スプラッシュ」部門が無くなり、日本の新人監督については「アジアの未来」部門で、
同じ土俵で戦って貰い、よりコンセプトを強めていくという方針が話され、
10作品中、2本が日本映画、8本が外国映画となっており、4本が女性監督、6本が男性監督となっています。

「ガラ・セレクション部門」
これまでのTIFFには、特別招待作品部門にて日本公開前の話題作を上映をしていましたが、
今年は、TIFF全体の上映枠が少なくなったという事も有り、本数を減らし厳選しようと、
名前を「ガラ・セレクション」と変え、従来の配給会社が決定済みの作品上映から、
配給会社未決定の作品を何本か入れての上映に変更。10本の作品が上映されます。
海外映画祭で評価され、娯楽性・作家性に優れた作品が選ばれています。」

「ジャパニーズ・アニメーション部門」
戦後、日本でアニメーション産業が本格的に立ち上がって今年で63年。
日本のアニメ映画の在り方を国内外にプレゼンテーションしていく場所であろうという
位置づけの本部門。昨年同様3つの特集で構成され、12本の作品が上映されます。

「NIPPON CINEMA NOW部門」
昨年までは「JAPAN NOW」という名で最近の映画を俯瞰して紹介していた部門。
海外に紹介されるべきという観点を重視した形で様々な日本映画を上映。
10作品の上映が予定され、TIFFがワールドプレミアとなる上映も多い本部門より、
今回、特集がなされる吉田恵輔監督が登壇。

先週から通風を発症し、歩くのが痛い中やってきたと、笑いをとる吉田監督。
吉田監督「あまり選ばれるタイプの人間でないんですよ僕。TIFFってお堅そうで、
スーツを着た人達がいっぱい居るイメージです。
(作品作りに関しては)人間皆が持っているであろう感情の変化みたいなものが
(一つ一つ作品テーマは違えど)自分が一番好きな所で、それは皆が見たくない嫉妬であるとか
自己顕示欲であるとか何かそういう様な恥部みたいな、そういうものをさらけ出して。
でも、描いているのは自分自身の心なんですよ。なので俺が如何に小っちゃくて恥部の塊の
人間なのかを自慢するかの様に曝け出している。でもそんな僕も少しは変われる可能性があるぜという物を
毎回、やっている感じです。僕、幼稚園になる頃には映画監督になりたいと言っていたんですね。
ジャッキー・チェンが好きだったんですよ。彼に会いたいと幼稚園の時に親に言ったら、
映画監督になったら会えるよと刷り込みのまま、46歳まで成長をしてしまったので、
ジャッキーに会いたいから映画好きに変わっていきました。」と、映画監督としての積を話しました。

※𠮷田監督の「よし」は上が「土」になります

そして「アジア交流ラウンジ」、新設となる「Amazon Prime Video テイクワン賞」が紹介された後、
最後に橋本さんと吉田監督が登壇してのQ&Aへ。

Q:コロナ禍において、文化芸術とは何か?

橋本さん「自分自身が文化芸術に生かされて来た人間なので勿論、人体の危機を
医療が救ってくれたりというのもありながら、芸術というのは「心の命」というか、
心の人命を救ってくれる物だと思っていて、どちらが死んでも駄目なんだというその一端を
芸術が担っているんだと意識が凄く強いので、そんな風に文化芸術は今、早急に必要なものでは
無いという考えに触れると「あっ、苦しいな」と思うし、しんどい気持ちでいる人には
映画、芸術、文化があるよと、触れて貰って少しでも癒しを得て貰いたいなという気持ちが
凄く強いので、自分も俳優として作品作りに関わる中で、そういう作品を一つ一つ
大事に作っていって、一人一人の心に届いて欲しいという思いでやっているので、
そういう考えがもっともっと根強く広がってくれると嬉しいなと思います。」

吉田監督「僕、春に公開した映画が途中で緊急事態宣言で終わっちゃった経験が有るですけど、
そうは言いつつも、はっきりいって、コロナだ何だというのはこれからもずっと来るでしょう、
みたいな気持ちも割とあるんですけど、あまり僕自身は芸術だとか、そういう物には
あまり危機感がないというか、観たいというファンや作りたいという人達の力という物は
そんなにヤワじゃないだろうと思って、国がなんだどうだと言ってもその熱量は、
それを打破すると信じているので変な話、ビビっていないという感覚はありますよね。」

いよいよ約1か月後、10月30日に東京都千代田区の東京国際フォーラムホールCにて
幕を開けるTIFF、34回目の映画の祭典が日比谷・有楽町・銀座地区にて華やかに行われます。

【第34回東京国際映画祭ラインナップ発表記者会見概要】

公式サイトはこちら

<日時>2021年9月28日(火)15:30開始

<会場>
BASE Q HALL (東京都千代田区有楽町1丁目1-2 東京ミッドタウン日比谷 6F)

<登壇者>
安藤裕康:第34回東京国際映画祭チェアマン
松本浩:TIFFCOM事務局長
市山尚三:プログラミング・ディレクター
石坂健治:シニア・プログラマー
藤津亮太:「ジャパニーズ・アニメーション」部門 プログラミング・アドバイザー
『ゲスト』
橋本愛:フェスティバル・アンバサダー
吉田恵輔:「Nippon Cinema Now」部門特集監督
神谷直希:「東京フィルメックス」プログラミング・ディレクター

MC:荘口彰久(フリーアナウンサー)

【第34回東京国際映画祭開催概要】

公式サイトはこちら

<開催期間>
2021年10月30日(土)〜11月8日(月)

<会場>
シネスイッチ銀座(中央区)、角川シネマ有楽町、TOHOシネマズ シャンテ、
ヒューマントラストシネマ有楽町、有楽町よみうりホール、東京ミッドタウン日比谷 日比谷ステップ広場、
東京国際フォーラム、TOHOシネマズ 日比谷(千代田区)ほか、都内の各劇場及び施設・ホールを使用

<実施体制>
主催:公益財団法人ユニジャパン(第34回東京国際映画祭実行委員会)
共催:経済産業省/国際交流基金アジアセンター(アジア映画交流事業)/東京都(コンペティション部門、ユース部門)
後援:総務省/外務省/観光庁/中央区/独立行政法人日本貿易振興機構/国立映画アーカイブ/
一般社団法人日本経済団体連合会/東京商工会議所/一般社団法人日本映画製作者連盟/一般社団法人映画産業団体連合会/
一般社団法人外国映画輸入配給協会/モーション・ピクチャー・アソシエーション(MPA)/
全国興行生活衛生同業組合連合会/東京都興行生活衛生同業組合/特定非営利活動法人映像産業振興機構/
一般社団法人日本映像ソフト協会/公益財団法人角川文化振興財団/一般財団法人デジタルコンテンツ協会/
一般社団法人デジタルメディア協会

©2021 TIFF