東京2020組織委員会(以下、組織委)は、2021年11月2日(火)より、全国63の自治体から
選手村ビレッジプラザ(以下、ビレッジプラザ)に提供された木材の返却を開始します。
返却開始初日となる11月2日、自治体のトラックに木材を積み込み、返却する様子がメディアに公開されました。

【メディア公開の様子】

選手ビレッジプラザ全景(大会期間前) ©Tokyo 2020

環境に配慮した持続可能な大会を実現するために、国産木材を使用してビレッジプラザを建築し、
大会で使われた木材をレガシーとして各地で活用するプロジェクト「日本の木材活用リレー 〜みんなで作る選手村ビレッジプラザ〜」。
2017年7月のプロジェクト発足以降、全国を対象にした公募により、応募のあった
63自治体から借り受けた約4万本の木材を使用し、木造平屋建て約5300㎡のビレッジプラザを建築し、
2020年4月に完成。全国の木材で一つの建物を作ることでオールジャパンの大会参画を実現し、
各地の木材を建物の様々な箇所に使うことで多様性と調和を表現した施設としてメディアを通じ世界に発信されました。

選手村ビレッジプラザ(2021年6月撮影)

2021年9月5日(日)に東京2020パラリンピックの閉会式が行われ、約1ヶ月間に及んだ大会期間が閉幕した
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(以下、東京2020大会)。
その大会の主役である世界中から集ったアスリート達や関係者の大会期間中の生活の場となった
中央区晴海の選手村に隣接するのが選手村ビレッジプラザ。今大会期間中、
新型コロナウイルス感染症対策として選手村に入村したアスリート達は、
選手村からの外出が厳しく制限がなされる中、競技等の合間に大会生活を支える場として機能した
ビレッジプラザへと来訪。敷地内の5つの棟に分かれて配置された生活必需の用途を扱うブースから、
インターネットラウンジ&カフェ、フォトスタジオ、オフィシャルショップ等の施設で
楽しむ姿がアスリートのSNS等で発信がなされ、日本のみならず海外でも話題となりました。

2021年9月下旬より開始された選手村ビレッジプラザの解体工事 ©Tokyo 2020

2021年9月下旬より開始された選手村ビレッジプラザの解体工事 ©Tokyo 2020

2021年9月下旬より開始された選手村ビレッジプラザの解体工事 ©Tokyo 2020

そして大会期間が終了し、選手村が閉村した後の9月下旬よりビレッジプラザの建物の解体作業が開始され
22022年2月末までにかけて随時、各自治体へと借り受けた木材が返却されていく予定となっています。
その提供木材の返却作業の初日となった2021年11月2日の様子をお伝えします。

【返却初日の様子】

全国から提供された約4万本の木材が使用されたビレッジプラザも9月末より続く
解体作業により大部分の解体がなされ、各棟の印象的な木材架構形成部を残すのみの様子。

ビレッジプラザの正面トラック出入口には、提供木材返却初日の第1便となる、
岐阜県連合(関市、中津川市、郡上市、下呂市、白川町、東白川村)より提供された
大会期間中はヘアサロン等が入居していたB1棟に使用された木材約80㎥の内の
檜材、約5tが大型トラックの荷台に載せられ、出発の時を待っています。
そこに13時過ぎに視察に訪れたのが、組織委の橋本聖子会長、布村幸彦常務理事・副事務総長、
福島七郎会場整備局長。最初にパレットに載せられた岐阜県行きの木材がフォークリフトにより荷台に載せられる様子を見学。

続いて、各自治体へと返却される木材にビレッジプラザで実際に使用された事を証明する
焼印について、東京2020大会のレガシーとして返却先の自治体にて後世に語り継いで頂くキッカケと
なって欲しいと福島会場整備局長から橋本会長に説明がなされます。現場に用意されたのは、
返却後には学校の建て替えに使用する事が決まっている山形市提供のスギ材。

焼印を刻む為の電気ゴテ

そして現場作業員が電熱にて熱せられた縦100㎜×横70㎜の「USED IN VILLAGE PLAZA」の文字と
大会エンブレムが刻まれた焼印を15秒程、木材に押し当てると、独特の檜の焼ける匂いと僅かな煙と共に焼印が完成。

次に、既に解体済みで各自治体への返却を待つ木材が紹介されます。福島会場整備局長から
各自治体へと木材が帰った際、再利用の幅を広げるという意味で木造建築に用いられる組手技法を使わず、
解体をし易い様に小口という木の切り口仕上げが行われているのが特徴。解体作業と並行して
自治体への返却作業も行われ、ビレッジプラザの駐車場が木材でいっぱいになる事は無いとしています。

整然と並べられた各自治体への返却木材

全国63の木材提供自治体

前述の山形市の再利用方法の他に、市役所の住民サービスカウンターに使用するという自治体や、
これから地域住民の意見を聞いて利用計画を考えるという所もあるとし、
また、ビレッジプラザの屋外部分に使用された木材では、各地からの出発時に押された
自治体の刻印が約1年間の使用期間中に風化していたものがあり、
願わくば建物内部に使用してもらえると焼印が長持ちするとしています。

そして時刻は13時38分、木材の積み込みが完了したトラックは橋本会長以下、関係者と報道陣に見送られながら
木材提供の地、岐阜県へと一路旅立っていきました。

最後に橋本会長に対する囲み取材が行われました。
囲み取材の冒頭、橋本会長は「日本の木材活用リレー 〜みんなで作る選手村ビレッジプラザ〜」も
この木材返却をもって最終フェーズとなり、地元へと帰った木材が夫々の場所で活用される事が
東京2020大会を語り継いでいくキッカケとなれば、こんな素晴らしい事は無い、とコメントしました。

Q:最多提供量の福島県を含む東北からの木材も返還されるが、どの様に活用されてほしいか?

橋本会長「東京2020大会のコンセプトの柱となっていたのが、復興オリパラでありますので、
東北の木材がここで各国選手の皆さんに使用をして頂いて、それがまた東北へと戻って
沢山の方が集う憩いの場所で使っていただいたら有難いなと思います。
焼印を皆さんに見て頂いて、復興の証とこれからに繋がっていけば有難いという風に思っております。」

Q:実際に焼印が木材に押される所を見学した感想は?

囲み取材終了後、焼印の電気ゴテを手にする橋本会長(※非通電)

橋本会長「やってみたいなぁ、と先ず思いました。焼印が刻まれていく木材を見て
世界各国の選手や関係者の皆さんをお迎えしたこの建物がまた、一つ一つ
多くの皆さんの触れる場所へと帰っていく。支えて頂くのにここに全国各地の
木材が集まって下さって、そして東京大会をやり終えたんだという刻印が押されて
また夫々の木材が故郷へと帰っていく。何か素晴らしい木材の旅路の物語というものを
凄く感じて、刻印が押された時に凄く感動をしました。」

Q:ホストタウンやパブリック・ビューイング等が中止となり、全国の自治体が大会に関わる事が難しかった東京2020大会。
この木材リレープロジェクトがどの様な存在として今後各地で関わりを持って欲しいか?

ビレッジプラザ横の都道484号線の歩道から手を振る人達へ手を振り返す橋本会長(右)

橋本会長「今回、長い年月をかけホストタウンや事前合宿等の準備をして頂いていた
全国の各自治体の皆様や、特にそこに携わって頂いていた子供達が受け入れる国を知り、
自分達の街の素晴らしさを発信する事をお手伝いいただきまして、色々な工夫をして
オンラインで繋がりをずっと持っていたりですとか、この大会が終わっても
更に交流を深める活動を各自治体の方にしていただいていますので、そういった中で
この木材がホストタウン等、思う様に交流の場を作る事が出来なかった所に対して
あの場所でこの木材が使われたんだよ、という風に持続可能な社会を作り上げていく事や、
人々の絆という物の深さですとか、そういうものがこの刻印がされた木材を
特に地元の子供達が触れる事によってまた語り継いでいく、そしてそれが1つの大きな
レガシーとなって、次世代にこの東京大会の意義や価値を話し合っていくキッカケとなったら
素晴らしい事だなと思います。」

Q:先程、最終フェーズという言葉があったが、自身で感じるものはあるか?

木材エンブレム記念盾

橋本会長「この木材返還は来年2月までかかるという事なんですけども、新たな旅立ちと言うんでしょうか。
協力を頂いた63の自治体の御協力によって、このビレッジプラザが出来て、そして選手達が
ここに集って、あらゆる思いの中で、あの夏の大会を成功に導いて下さったという風に思っています。
ここに立つと新しい旅立ちをしていく嬉しさと(同時に)やっぱりちょっと寂しいです。
過去に私も色々なオリパラの選手村で過ごしましたけども、そこを出る時というのは何か
良い思い出と同時に凄く寂しい気持ちもありまして。でも、(選手村で過ごしている期間)、
沢山の思い出を作ってくれた場所だからそういう寂しさになるんだなと思いまして。
今回、コロナ対策を万全にする為に選手や関係者の皆さんには相当な自粛をして頂いたので
このビレッジプラザで過ごす時間も過去大会に比べたら何十倍という位、一番長く楽しんで頂いたという
場所だと思いますので、しっかりとプロジェクトが成功する事によって、ここを使って下さった、
そして(大会に)出場をして頂いた選手達が「自分達が過ごした場所の木材が全国各地にまだ息づいているんだ」と
アスリート達が何時かその木材が使われている場所に行ってみたいと思ってくれるんじゃないかなと、
そういったものも発信をし続けたいなと思います。」

選手達の沢山の思い出と共にその役目を終えた選手村ビレッジプラザの建物木材。
故郷の地で第二の役目を担うべく、各地へと東京2020大会の証と共に戻っていきます。

【選手村ビレッジプラザ施設概要】

東京2020組織委員会の公式サイトはこちら

<所在地>
東京都中央区晴海4丁目

<延床面積>
約5,300㎡

<使用木材>
約4万本(約1,300㎥)

<木材提供自治体>
全国63自治体(開催都市・東京都を含む)
※最多量木材提供自治体は福島県(110㎥)

<高さ>
約7ⅿ(地下1階)

<構造>
木造

©Tokyo 2020