2023年5月3日(水・祝)、ノサカラボ「ホロー荘の殺人」が東京・三越劇場で初日を迎えた。
原作は「ミステリの女王」と呼ばれているアガサ・クリスティーが1946年に発表した
同名長編小説で、1951年にはアガサ・クリスティー自身が戯曲化している。
本作は野坂実が演出・構成を担当し、凰稀かなめをはじめ、紅ゆずる、林翔太、
高柳明音、旺なつき、綾凰華、佐々木梅治(劇団民藝)、河相我聞、細見大輔、松村優、
中尾隆聖といった個性豊かな俳優たちが集結した。長沢美樹も声の出演で参加。
初日公演を前に、ゲネプロが公開され、キャスト陣が一堂に会して囲み取材が行われた。

凰稀が演じるのは、聡明で美しい前衛彫刻家のヘンリエッタ・アンカテル。
凰稀は「1ヶ月みんなでお稽古してきましたので、とにかく失敗を恐れず、
皆さんに楽しんでもらえるように頑張りたいと思います」と初日公演直前の心境を語った。
紅ゆずるは、ジョン・クリストゥ医師の妻で、夫を盲目的に崇拝するガーダを演じる。
「この座組でしかできない『ホロー荘の殺人』を目指しまして、観てくださる皆様に
いろいろ考えていただき、ご自身の生活を見返っていただくような
そういう作品になればいいなと思っております」と意気込んだ。
内気で学究的な青年エドワード・アンカテルを演じるのは林翔太。
「ようやく初日を迎えられて、すごくワクワクしております。そして伝統のある
この三越劇場の舞台に立てるというのもすごく嬉しいです。8日まで
心を込めてエドワードを演じたいと思います」と初日を迎えた高揚感を伝えた。

高柳明音は明るくキビキビとして、思いやりのある若い女性ミッジ・ハーヴェイを演じる。
「世の中ゴールデンウィークですが、8日まで毎日ほぼ2公演やっております。
きっとどこかでスケジュールを合わせられると思うんです。
1回目を観た後で2回目を観たら全然見え方が違ったりすると思うので、
何度でも楽しめる作品だと思います。お待ちしてます」と呼びかけた。
ヘンリー卿の妻、ルーシー・アンカテル令夫人を演じる旺なつき。
「アガサがどうしてこの役を作ったのか、野坂さんはこの役をどう料理しようとされてるのか、
ずっと考えてきました。バトンを渡されましたので、私なりに精一杯“ルーシー”という
暴走する役ですけど、楽しみたいと思います」と役への思いを語った。

綾凰華は映画スターのヴェロニカ・クレイ役。「個性豊かな人々がアンカタル家で
週末を楽しもうとしたところで唯一招かれざる客として登場させていただきますが、
思いを大切に頑張りたいと思いますし、この伝統ある三越劇場で、この重厚な作品を
させていただくということで、一回一回大切にまいりたいと思います」と、異質な存在をどう演じるのか気になるところ。
長年「ホロー荘」で働く執事のガジョンを演じるのは佐々木梅治(劇団民藝)。
「ヘンリー卿ご夫妻を支える役なんですが、出たり入ったりがちょこちょこありまして、
ちょっと気を抜くと、『あ、もう?』という感じになってしまいますので、
皆さんに心配をかけないように演じたいと思います」とユーモアを交えて自身の役を紹介。
難病研究で有名な医師、ジョン・クリストゥを演じる河相我聞。
「今回のジョンのような役は初めてなんですが、非常に楽しみにしております。
素敵な共演者の方と最後まで楽しく頑張りたいと思います」と新しいタイプの役に挑戦していると明かした。

コフーン警部役の細見大輔が「今回の芝居はいろんな名前が出てきたり、
いろんな出来事があって、分かりにくい部分もあると思います。
途中で分からなくなったら、僕のセリフを聞いていただくと大体分かります(笑)」と話すと、
ペニー部長刑事役の松村優は「細見さんのセリフを聞いていれば分かるんですけど、
それでも分からない場合は僕のセリフを聞いていただければより分かると思います(笑)」と相棒らしく被せて笑いを取りに来た。
ヘンリー・アンカテル卿役の中尾隆聖は「素敵なカンパニーでお芝居ができて本当に幸せです。
今回、初めての方がたくさんいらっしゃるんですけど、旺さんと夫婦役ができるというのを
楽しみにしておりました。よろしくお願いします」と共演できる喜びを語った。
アガサ・クリスティーの多くの作品の中からこの作品を選んだ理由については、
演出の野坂実が「アガサ・クリスティーの戯曲の中でこのお話が一番物語として
感情表現がいっぱい入っていて、ドラマがすごく見やすく、読み応えがありました」と回答。
稽古場の雰囲気を聞かれた凰稀は、「諸先輩方が本当に素敵な方々で、毎日笑いが絶えない稽古場でした。
でも“やる時はやる”というメリハリがありました」と答え、紅は「かなめさんは(宝塚歌劇団の)
現役中からお世話になっている先輩で、今回も密に絡ませていただいてます。
私はストレートプレイが初めてなんですけど、かなめさんがいてくれるので心強いですし、
頑張れそうです」と久しぶりの共演を喜んだ。

会見の様子からもキャスト同士の絆の固さが感じられるが、演出の野坂は稽古時に驚いたことがあったと言って、
こんなエピソードを明かした。「稽古初日に全員が台本を手から離してました。僕は指示をしていません。
初日なので台本を持ったまま稽古をするだろうなと思っていたら、全員が台本をおもむろに置き始めたのは、
長い演劇人生の中で初めてでした。稽古開始からほぼ一週間で、立ち位置もセリフも全部入っていて、
『完成したね。ここから深めていく作業をしよう』と言ったのも初めてのことでした。
それくらいすごい役者さんたちなんです」と登壇したキャスト全員を絶賛。
最後は凰稀が「1回では気になることが多すぎると思うんです。1回、2回、3回と、
観るたびに違う作品に思えたりするので、何度も観て楽しんでもらえたらいいなと思います。
(高柳)明音ちゃんが言ってたように8日までほぼ毎日2公演やってますので、ぜひお友達とか
親戚とかいろんな方を誘って観にきていただけると嬉しいです」というメッセージを届けて囲み取材を締めくくった。

ノサカラボ「ホロー荘の殺人」は5月8日まで、東京・三越劇場で上演中。

【あらすじ】

秋の週末。ロンドン郊外のホロー荘に住むヘンリー・アンカテル卿(中尾隆聖)
とその妻ルーシー(旺なつき)のもとに、親しい人々が集まった。
親族であるヘンリエッタ(凰稀かなめ)、エドワード(林翔太)、ミッジ(高柳明音)。
夫妻の友人であるジョン・クリストゥ医師(河相我聞)とその妻ガーダ(紅ゆずる)。
彼らはそれぞれ複雑な思いを秘めていた。

やがて晩餐が始まろうという時、有名な映画スターのヴェロニカ・クレイ(綾凰華)が
突然ホロー荘を訪れ、一堂を驚かせる。翌日、ジョンが何者かに撃たれて死んだ。
倒れているジョンの傍らには妻ガーダが銃を手に虚ろな表情で立ち尽くしていた。

ロンドン警視庁のコフーン警部(細見大輔)は捜査にあたるが、ジョンの命を奪った弾丸は
ガーダが手にしていた銃のものではないとわかり、捜査は暗礁に乗り上げる。
ジョンを殺したのは誰か? 使われた本物の銃はどこに?
それぞれの愛と憎しみが渦巻く中、真犯人と事件の謎が明らかになっていく――

【ノサカラボ「ホロー荘の殺人」公演概要】

公式サイトはこちら

<公演期間>
2023年5月3日(水・祝)~5月8日(月)

<会場>
三越劇場

<上演時間>
約3時間(15分間の途中休憩を含む)

<料金>
前売・当日:9,800円
(全席指定・税込)
※未就学児童の観劇不可
※車椅子でご来場されるお客さまは、チケット購入後にお名前・ご観劇回・座席番号を
ご観劇日の前々日までに stage.contact55@gmail.com までお知らせください。

『チケット発売』
好評発売中

「問い合わせ」
公演に関するお問合せ:info@nosakalabo.jp
チケットに関する問い合わせ:stage.contact55@gmail.com

<出演者>
ヘンリエッタ・アンカテル:凰稀かなめ

ガーダ・クリストゥ:紅ゆずる

エドワード・アンカテル:林翔太
ミッジ・ハーヴェイ:高柳明音

ルーシー・アンカテル令夫人:旺なつき

ヴェロニカ・クレイ:綾凰華
ガジョン:佐々木梅治(劇団民藝)

ジョン・クリストゥ医師:河相我聞

コフーン警部:細見大輔
ペニー刑事:松村優

ヘンリー・アンカテル:中尾隆聖

マダム:長沢美樹(声のみの出演)

<STAFF>
脚本:アガサ・クリスティー
演出・構成:野坂実
翻訳:小田島雄志・小田島恒志
舞台監督:井草佑一
美術:仁平祐也
照明:松本永(eimatsumoto Co.Ltd.)
音響:竹下亮
衣裳:熊谷美幸、前野里佳(K&Mラボ)
ヘアメイク:Yuka
演出助手:大崎綾乃
アンダースタディ:本谷史織、牛島敬也
宣伝美術:デザイン太陽と雲
宣伝写真:山岸和人
WEBコーティング:阿波屋鮎美(ブラン・ニュー・トーン)
制作・票券:style office
グッズ進行:坂東亜美(ABC&SET)
プロモーション:キョードーメディアス
パンフレット取材・文:榊原和子
上演ライセンス:ティモ・アソシエイツ
アシスタントプロデューサー:あきやまくみこ
プロデューサー:北川翔子
協力:ウィーズカンパニー/81プロデュース/エイベックス・マネジメント/エーライツ/ケイローズ、/劇団民藝/
ジャニーズ事務所/松竹エンタテインメント/ヘリンボーン/リンク・エンタテイメンツ/レオナール エム(敬称略・50音順)
主催・企画・製作:ノサカラボ