藩政時代、佐竹北家の城下町として栄えた角館。三方を山々に囲まれ、桧木内川に沿うよう広がる風光明媚な町並みには、今も往時からのしっとりとした雰囲気が漂います。町の北側に位置する武家屋敷通りは、深い木立と重厚な黒板塀が印象的。町歩きを楽しみながら、通り沿いの歴史ある武家屋敷を訪ね、静かなひと時を過ごしてみませんか。

草木に覆われた「角館歴史村・青柳家」へ

JR角館駅から15分ほど歩いていると、黒板塀や立派な門が継ぎ目なく続く武家屋敷通りがあります。角館の町並みは、中央部にある「火除け」と呼ばれる広場を境に、北側が武家町「内町」、南側が商人町「外町」と区分され、今も江戸時代からの町割りが残っています。

武家屋敷通りを歩いていると、ひときわ堂々とした門構えの薬医門の屋敷がありました。「角館歴史村・青柳家」は、400年の歴史を誇る武家屋敷。約3000坪もの広々した邸内を、シダレザクラをはじめ、数百年の年輪を刻む巨木や600種類もの草花が彩ります。

青柳家の広い敷地内には、茅葺き屋根の母屋をはじめ、青柳家に伝わる武具を集めた武器蔵、『解体新書』の附図を描いた角館出身の画家・小田野直武を紹介する「解体新書記念館」、アンティーク時計や蓄音機、カメラを展示する「ハイカラ館」などがあります。庭園の自然に触れながら散策するようにめぐってみましょう。

ハイカラ館の半地下1階には、素敵な喫茶室もあります。室内は木を基調にした落ち着いた雰囲気。庭園内に湧く清水・神明水を使い、サイフォンで淹れられる南蛮茶(コーヒー)や、ホットアップルパイ、さなずらアイスクリームなどのスイーツを楽しめます。

また、春から秋には、お座敷で抹茶をいただける「茶寮あおやぎ」(不定休)もオープン。庭園を眺めながら心地よい時間を過ごせます。

静かな時間が流れる武家屋敷「石黒家」へ

武家屋敷通りの北端、かつて角館城があった場所のほど近くに建つのが、角館の武家屋敷のなかで最も歴史がある石黒家。佐竹北家に財務担当として代々仕えた家柄で、現在も末裔の家族が生活しています。

精巧な彫刻が施された薬医門をくぐると現れるのが、藩政時代からの風情のまま残る母屋。座敷に上がって建物内をゆっくり見学でき、建物の見所や当時の生活様式についてていねいに解説もしてくれるので、武家の暮らしを想像できます。

客間にある意匠を凝らした欄間は、この建物の見どころの一つ。亀の透かし彫りが、光で壁に映り見事です。ベースとなっているケヤキの木目を水に見立て、水中に亀がいるイメージで当時の職人が彫ったと伝わるそう。

座敷でのんびり庭を眺めるのもおすすめ。ヒバやカエデ、サクラなどの古樹が茂り、なかには樹齢300年以上のモミの木も。深呼吸すると清涼感あふれる香りに包まれます。シジュウガラやヤマガラなどの鳥の鳴き声にも癒やされます。

また、母屋から続く、明治以降に建造された蔵は、石黒家に伝わる『解体新書』をはじめとする古文書や武具、着物などを展示。黒漆喰の文庫蔵も見られます。

春は桜の名所として知られる武家屋敷通り

深い木立が黒板塀を覆い、歴史ある武家屋敷が現存する武家屋敷通り。広い道幅や曲がり角は往時からのままで、通り沿いには6軒の武家屋敷が現存します。春はサクラの名所として有名で、シダレザクラが黒板塀にふわりとかかるしっとり美しい光景が見られます。なかには樹齢300年を超えるシダレザクラもあるそう。

和の情緒あふれる通りを歩いていると、歴史の息吹が感じられ、まるで江戸時代を旅しているような気持ちになります。江戸時代にタイムスリップしたような気分になれる角館を旅してみませんか。

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