旧東海道沿いに古い建物が残る有松は、400年前から続く絞り染めの町。今回はその伝統の技を受け継ぎながら、新しいスタイルで有松絞りを身近に感じられる品々を生み出しているお店をご紹介します。カラフルな色使いとかわいい模様が目を引く作品は、自分たちが着たい、使いたいという感覚を大切にしたもの。作業場も訪ね、絞りの技法についても教えてもらいました。

絞り染めの工房が点在する古い町並みの一角に

今回ご紹介する「まり木綿」があるのは、国の重要伝統的建造物群保存地区にもなっている町並みのほど近く。名鉄名古屋線「有松駅」からすぐの場所にお店の入口があります。

大学の同級生だった伊藤さんと村口さんが二人で立ち上げたという「まり木綿」。大学でテキスタイルを学んでいたときに有松絞りの実習があり、そこで自分たちの作った絞りが商品化されることに。この経験を活かし、大学を卒業してすぐに「まり木綿」として活動を始めました。

鮮やかな原色を使って作品を作るのは村口さん。絞りですが、色使いで民族柄のようなエキゾチックな雰囲気に仕上がっている染物もあり、着物はもちろん洋服やカジュアルなコーデのアクセントになりそう。

基本の板締め絞りとは?

有松絞りは、国の伝統工芸品にも指定されていますが、その技法は多種多様で100以上あるとも。染色方法もさまざまで藍色のほか、さまざまな色が使われています。

村口さんたちが主に用いているのが有松絞りの代表的な技法のひとつである板締めと呼ばれる方法。生地を細かく折り込み、2枚の板で挟んで紐で縛り上げてから染色していきます。

板で締めた生地は、独自に調合した発色のよい染料を使い染めていきます。染料に漬けたり、筆で塗ったりとさまざまな方法で色を入れることで生地に表情を生み出しているのも「まり木綿」の特徴。

カラフルで鮮やかな色合いを大切にするため、伊勢木綿や麻混生地など、染料と相性のよい生地を使うようにしています。

染めた生地は翌日に水と湯で洗い、脱水・乾燥させて仕上げます。「まり木綿」では染物屋の工場だった建物を借りて作業を行っていて、使い込まれた機械をそのまま使い、この地の井戸水で洗い作業をしています。

伝統工芸を次につなげる、ひとつの形として

「まり木綿」では季節の花や風景などをイメージしながら、コラボ商品も定期的に制作しているそう。東京の傘職人さんとの出会いで生まれた日傘は、夏気分が盛り上がる一品です。

絞りという日本伝統の技法を用いながらさまざまな色や柄を表現し、新しい染物を生み出している「まり木綿」。浴衣や手ぬぐいはもちろん、Tシャツやワンピース、かばんなどもあるので、普段着に気軽に取り入れることもできます。手仕事を感じる色彩豊かな染物を、ぜひ夏の装いに加えて楽しんでみてくださいね。