瀬戸内海に浮かぶ小豆島は、オリーブやそうめんといった温暖な気候を活かしたものづくりが盛んな島。なかでも醤油づくりは約400年の歴史を誇り、醤(ひしお)の郷と呼ばれるエリアには、古くからの醤油蔵が点在しています。

そんな醤の郷にある「GEORGES gallery」は、2019年の瀬戸内国際芸術祭を機に誕生したアートスポット。2021年には隣接する醤油会館を再生した「醤の郷現代美術館」とレンガ倉庫を改装した「MOCA HISHIO ANNEX」がオープンし注目を集めています。

【アート①】古民家に円形の金箔が現れる「GEORGES gallery」

「GEORGES gallery」は、築100年以上の古民家を再生したギャラリー。施設名にもなっている写真家ジョルジュ・ルースは、取り壊し予定の建物に幾何学的なペインティングを施し、それを写真に収めるアーティストとして知られています。通常であれば写真に収めたあとに建物は取り壊されるのですが、ここでは制作現場が残り、鑑賞し続けられる世界で唯一のギャラリーです。古民家の床や壁、襖にまで描かれているのは、金箔の幾何学模様。ある一点から見ると金箔が円となり浮き出るように見えるので、いろんな角度から鑑賞してみましょう。

隣の部屋では、ジョルジュ・ルースの写真作品や制作の模様を記録したドキュメンタリー映像が見られます。2階の屋根裏部屋には、下地に小豆島の醤油を使用し、チョークで四角形を描いた作品も展示。屋根裏部屋のなかには入れないため四角形が浮き出るように見える角度からは見学できませんが、階段から部屋をのぞいてみてくださいね。

ギャラリーに併設するアートなカフェ「KOHIRA cafe」

ギャラリーの奥には、テラス席を備えたカフェを併設。アーティストの栩山(とちやま)孝と片山みやびが手がけた2つの空間でカフェタイムが楽しめます。メニューは醤の郷で作られている醤油やもろみを使う、ランチパックやパニーニなど。ドリンクは草間彌生やジョン・リーチが手がけたマグカップでサーブされ、カフェでもアートな体験が楽しめます。メニューはすべてテイクアウトできるので、「醤の郷現代美術館」のテラスで味わうのもおすすめです。

【アート②】「醤の郷現代美術館」に集まる多彩な現代アート

1928(昭和3)年に建てられた醤油会館を2021年9月に再生した現代美術館。一番の見どころは8人のアーティストによって新たに制作された10点の現代アートです。たとえばイラストレーターで壁画作家の河野ルルが壁や床、天井にまでペイントをほどこした作品は海をテーマに制作されたもの。一見、森を思わせるイラストですが、目線を上げた先に水面を表す波線が描かれ、まるで海中にいるような空間を表現しています。ほかにも「森の生きもの」をテーマにした小野純一による空間作品、植松奎二、渡辺信子による立体作品などを展示。作品にまつわるストーリーを掲載したガイドを読みながら鑑賞すると、より作品への理解が深まりそうです。

見ごたえのある国内外の絵画や立体作品

新作アートを楽しんだあとは、オーナーが収集したという絵画や立体作品の展示室へ。国内外で注目されている若手作家をはじめ、大竹伸朗や横尾忠則、クリスチャン・ボルタンスキーといった瀬戸内国際芸術祭でもおなじみのアーティストの作品が鑑賞できます。

小豆島ゆかりの絵画も集まります

「小豆島の美しさを再発見してほしい」と、島の風景が描かれた絵画やゆかりのある作品を約40点収集し、2階にずらりと展示しています。古家新や柏原覚太郎といった洋画家など、多数の著名アーティストが描いた作品は年代もさまざま。現在の風景と比較するのも楽しみ方のひとつです。

【アート③】「MOCA HISHIO ANNEX」のインスタレーションに心躍る

「醤の郷現代美術館」の別館としてオープンした「MOCA HISHIO ANNEX」。レンガ倉庫を改装し、広々とした空間を生かしたインスタレーションを展示しています。2022年は瀬戸内国際芸術祭の秋会期が終わるまで、滑川みざによるチューブ作品と、「ズガクリ」の愛称で知られるズガ・コーサクとクリ・エイトによる段ボールなどの廃材を使った現代アートを展示。巨大なチューブやレゴをモチーフにしたオブジェは圧倒されるスケール感です。間近で鑑賞できるので、アートの世界に入り込んでみましょう。

醤の郷を訪れたら、3館をまとめてめぐるのがおすすめです。国内外で活躍するアーティストの絵画や立体作品、インスタレーションなど、バリエーション豊かな作品が鑑賞できますよ。醤の郷現代美術館では、瀬戸内国際芸術祭2022の春・夏・秋の会期ごとに約40点の作品を展示替え。何度訪れても楽しめる新たなカルチャースポットが、小豆島の旅を特別なものにしてくれます。