スイーツプロデューサー・磯崎 舞が、日常に寄り添うおやつから贈り物にも選びたくなる焼き菓子を紹介する連載『#焼き菓子部』。第2回目は、さまざまな味の食べ比べが楽しめるお取り寄せ可能なカヌレを紹介します。

外はカリッと固く、中はモチっとした食感が特徴的なフランスの伝統菓子・カヌレ。日本では1990年代初頭に流行りましたが、ここ数年では専門店が増えたり、身近なコンビニやカフェでも販売されるようになって再びブームの兆し。従来のクラシックなタイプとは一線を画す、多彩なフレーバーやデコレーションで工夫を凝らし、さまざまなスタイルに進化しています。

宝石箱をイメージした可憐なカヌレにキュン

東北初のカヌレ専門店として2021年7月に宮城県仙台市で生まれた「ANN CANNELE(アン カヌレ)」。「宝石箱のようなカヌレ」をコンセプトに色とりどりのデコレーションを施し、高級感のある箱を開けた瞬間のときめきは格別です。週2回の発送を目安にオンラインショップでは販売していますが、毎回1〜2時間で売り切れるほど人気なのだとか。

腸内で善玉菌の栄養源になるオリゴ糖を多く含むてんさい糖でやさしい甘味に仕上げ、女性でも1度に2〜3個食べられるサイズ感が嬉しいポイントです。銅製のカヌレ型と国内産の蜜蝋を使い、外側はカリッと、中心部はモチっとやわらかに。カヌレの生地やデコレーションをフレーバーによって変え、手が込んだ作りに職人技を感じられます。マロンクリームをバラに見立てて絞った「モンブラン」、女性に人気でホワイトチョコとの相性が抜群な「アールグレイ」、フロランタンを飾ってサクサクとした食感のアクセントを出した「キャラメルアーモンド」など10種類をそろえ、豊富なバリエーションに目移りすること間違いなしです。

日本人好みにアレンジしたオリジナリティが唯一無二

フランス・パリ発のブーランジェリー・パティスリー「MAISON LANDEMAINE(メゾン・ランドゥメンヌ)」で人気のカヌレをメインに扱った新ブランド「Cannelaine(カヌレーヌ)」が2021年10月に誕生。多いときには1日1,500個以上売れるほど、新たな展開に注目が集まっています。

その人気の秘密は、日本人の味覚に合わせて美味しさを追求したオリジナリティ。フランスの伝統的なレシピでは中力粉を使ってもっちり感を出しますが、ソフトな食感を好む日本人の嗜好を考えて薄力粉を使用。さらに蜜蝋の代わりにバターを使い、全卵、牛乳をバランスよく配合し、外側はカリッと、中は半熟のようなやわらかさに。ほお張った時の香り高いバターと、とろけるような口どけのよさは幸福感たっぷりです。フランス旅行気分を味わえる《フランス》のセットに入った「フランボワーズ」や「オレンジ」は、牛乳の一部をフランス産のフルーツピューレに置き換えたことで、鮮明な酸味を味わえます。パクッと食べられるミニサイズにも愛着が沸きますね。

本場の製法にならった本格派でありながら独創的

神奈川県横浜市にある東急東横線大倉山駅からすぐの商店街通りに2021年7月にオープンした「カヌレと焼き菓子専門店 galbe」。店名はフランス語で「美しい曲線」という意味をもち、なめらかなカーブを描いた銅製のカヌレ型がアイコニックなロゴマークになっています。シンプルモダンな店内に整然と並んだカヌレはアートのようで、ほかのカヌレ専門店にはない世界観が話題を呼んでいます。

フランス・ボルドーの伝統的な製法にならい銅型と蜜蝋を用いてじっくり焼くことで、表面はバリッと香ばしく、内側はモチっとした食感に。トッピングだけではなく、フレーバーに合わせてベースとなる生地の配合や焼成時間を変えるこだわりよう。一番人気の「プレーン」は、上品に漂うダークラムにタヒチ産バニラが華やぎを添え、奥行きのある味わいです。パティシエいち推しのピスタチオペーストをたっぷり使って香ばしさを堪能できる「ピスタチオ」、自家製のキャラメルを練りこんだ生地にキャラメルバタークリームを絞って香ばしく濃厚に仕上げた「キャラメル」など素材を活かし、それぞれ個性の違いをはっきりと感じられます。

フランス伝統菓子と鹿児島素材が見事に融合

鹿児島県鹿児島市の中心部にある「SHIROYAMA HOTEL kagoshima(シロヤマ ホテル カゴシマ)」は標高108mの小高い丘・城山に建ち、桜島や鹿児島市街が一望できるホテル。製菓料理長の栄村 洋樹さんは国内の洋菓子コンテストで多数受賞歴のある腕の持ち主で、伝統的なフランス菓子を独創的なテクニックで刷新して多くの人を魅了しています。

蜜蝋を塗った銅製の型に一晩寝かせて熟成した生地を流し込み、じっくりと焼きあげることで、表面はカリッと固く、中はしっとり。鹿児島県産の特産物を使ったユニークなフレーバーも見どころで、栄村製菓料理長が生産者に直接会いに行って厳選したほどこだわりがあります。「桜島小みかん(ベルギーホワイト)」は、洋酒の代わりにホテル内のブルワリー工場で作られた桜島小みかんのビール「ベルギーホワイト」を使い、コリアンダーのスパイシーな香りが重なると印象的な味わい。鹿児島県を代表するブランド茶の「知覧茶」は清々しい香り立ちで、甘味と旨味がバランスよく、和洋折衷を感じられます。可愛らしいピンクの箱に彩りのよいカヌレは、ケーキに匹敵する華やかさがありますね。オンラインショップからお取り寄せできるほか、1F「メゾン ド ファヴール」でも販売しています。

沖縄らしさを見た目と味で感じる黒糖カヌレ

沖縄県内に3店舗展開するカヌレ専門店「黒糖カヌレ ほうき星」。夜空に広がる満点の星が上から見たカヌレの形に似ていることに気付きネーミングした店名、ロゴやパッケージデザインからはロマンチックな世界観があふれます。3年連続“JALのCAが選ぶ沖縄土産ベスト10”に選出されるほか、メディアでも多数紹介されて爆発的に売れ、オンラインショップでの販売は2022年6月より数量限定で再開されたばかりです。

一般的なカヌレよりラム酒や砂糖の量を半分以下に減らし、多良間島産の黒糖のコクが引き立てられたやさしい甘味なので「一度に8個全て食べてしまった!」というお客さんも少なくないそう。また、保存料は一切使用していないので、子供も安心して食べることができますよ。店頭で販売している焼きたてを冷凍配送でも再現できるように配合や焼き具合を工夫し、カリッ、モチっとした食感をかなえています。沖縄ならではのフレーバー展開も魅力で、パンチの効いた酸味とやさしい甘味が南国風の「ドラゴンフルーツ&シークワーサー」、陽気な甘味がギュッと凝縮した「パイナップル」、コクのある甘味に癒される「沖縄ミルク」など、気分はたちまち沖縄へひとっ飛び。

「どれから食べよう♪」と悩む時間も楽しみの一つ。食べ比べをして、さまざまなフレーバーの中からお気に入りの味を見つけてみてくださいね。