川越の蔵造りの街並みの真ん中、大正時代創業の陶磁器店の一画に「陶路子(とろっこ)」という食事と甘味のお店があります。こちらでは川越名産のさつま芋のさまざまな料理が楽しめる手づくりの「さつまいもミニ懐石」が好評。さつま芋が旬を迎える秋の一日、お芋づくしのランチやスイーツを楽しんでみてはいかがでしょうか。

明治時代に建てられた黒塗りの壁の店蔵

蔵造りの建物が軒を連ねる川越一番街の商店街でもひときわ目を引く入母屋造りの重厚な建物。明治時代に東京で創業し、1920(大正9)年から陶磁器店を営む「陶舗やまわ」です。店内の一画で歴史的な雰囲気や厳選した器を楽しんでもらおうと平成元年に始まったのが食事と甘味処の「陶路子」。名産のさつま芋を使った料理がいただけます。

デザートまで9品が並ぶ「さつまいもミニ懐石」

「陶路子」開店当初からの看板メニューが「さつまいもミニ懐石」です。こちらは揚げ物、煮物、グラタンなど手づくりのさつま芋料理がずらりと並ぶアイデアいっぱいの手ごろな懐石。お芋は川越近郊産を中心に料理によってほくほく系とねっとり系の品種を使い分けていて、さつま芋のさまざまな食感とおいしさに出会えます。

ミニ懐石はまず食前のドリンクからスタート。こちらは注文の際にいもカクテルかお抹茶入り緑茶から選べますよ。続いて、お膳に並べられた料理が登場。いもコロッケのそうめん揚げ、さつまいも海老グラタン、さつまいもの白あえ、おさつもちの揚げ出しなどひと皿ずつ味わってみましょう。それぞれ「やまわ」オリジナルの器や川越近郊などの陶芸作家の焼き物とのアレンジも楽しんで。

最後までほっこりとおいしいお芋づくし

シンプルながら圧巻なのは、つやつやとしたもち米とさつま芋を炊き上げたさつまおこわ。蓋を開けるとお米のよい香りとさつま芋の甘くやさしい香りがふんわり。シルクスイートなどおこわに合う品種を厳選していて、口に運べばとろける食感と甘くて濃厚な風味が広がります。少々の塩とゴマとの相性もばぐつんですよ。さつま芋と白みそがまるでポタージュのように溶け合うとろとろのおさつ汁は、鶏肉やキノコでうまみたっぷり。最後までお芋づくしが楽しめます。

食後のデザートにはさつま芋のアイスクリームが登場。ほっこりとしたお芋の自然な甘みをいかしたアイスに黄桃の甘いソースを合わせ、食後にぴったりのスイーツに仕立てています。冬は黄桃のソースのかわりに餡が添えられます。

定番の芋ようかんやさつま芋のケーキまでスイーツも充実

午後のひとときを楽しむなら、宇治の「お抹茶」はいかが? 青い香りと渋み、やや苦めの抹茶は京都の丸久小山園から取り寄せる「五十鈴」を使っていて、注文を受けてから丁寧に点ててくれる一杯。地元・川越の菓子職人がつくるお芋感いっぱいの伝統的な芋ようかんと一緒にどうぞ。

生地にさつま芋を練り込んで焼き上げた手づくりの「さつまいもケーキ」も美味。表面がかりかりと香ばしい、素朴なケーキです。

奥にある蔵造りの工房では陶芸教室も

「陶路子」の奥、敷地内に隣接した白い蔵は「やまわ蔵部 陶芸教室」と名付けられた陶芸工房になっています。こちらでは1時間ほどで気軽に体験出来る「おためし体験」や「絵付け体験」、午前から午後まで1日かけて陶芸に没頭できる「1日陶芸教室」などを開催。予約して焼き物の世界にひたってみるのも楽しそうですね。

いかがでしたか。1980年代後半に代々使ってきた店蔵の美しさを再確認し、約1年をかけて丹念に改修をほどこした「陶舗やまわ」。「陶路子」もその際に誕生しました。そのころから川越では周辺の商店や街並みの保存活動が進み、現在は蔵造りのまちとして多くの観光客に愛されるエリアになっています。そんなまちの歴史さんぽをかねてのんびり訪れてみませんか。