和菓子、抹茶、寺社仏閣、伝統文化、お庭……京都めぐりを楽しむキーワードはさまざまですが、消費量の多さで毎回京都が上位にランクインする「パン」にも注目です。創業70余年の「まるき製パン所」は、時代を超えて子どもからお年寄りまで幅広い世代に親しまれてきた老舗ベーカリー。対面販売のスタイルや名物のコッペパンサンドなど、昔懐かしい雰囲気が訪れる人を魅了しています。

昭和の面影を残す松原京極商店街の一軒

市バス堀川松原の停留所から松原通を西へ歩いて3分ほど。通りとお店を隔てる壁や窓のない対面販売のスタイルに昭和レトロな雰囲気が漂います。陳列棚には、サンドイッチ、食パン、惣菜パン、ハード系パン、揚げパンなどバラエティ豊かなパンがずらり。

「まるき製パン所」の創業は1947(昭和22)年。最近代替わりをして店を任された3代目の木元陽介さんと10数人のベテランスタッフさんたちが、日々パンづくりにいそしんでいます。

工房の様子を眺めていると、生地をまるめる人、具材をつつむ人、パンを焼く人など、手を休めることなくそれぞれの仕事をこなしながらも、みんな笑顔で楽しそう。オーブンから焼きたてほかほかのパンが姿を現したかと思うと、次の瞬間には店頭に並べられていきます。いい匂い!

名物はコッペパンサンド

看板商品は、コッペパンサンド。かつて近くにあった高校の生徒たちが昼休みに一斉に買いにやってきたため、すぐに提供できるようにと考案されたもの。現在、コッペパンだけで一日1000〜1500個(!)も焼いているそうです。

店頭で伝えれば、工房でサンドしたてのものを持ってきてくれます。ふわっとしていてほんのり甘みのあるコッペパンはどんな具材とも調和しますが、一番人気は、ハムロール。マヨネーズソースを塗って、ボンレスハムをのせ、千切りキャベツをギュギュッと詰め込めばできあがり。

クリームパンには、カスタードクリームではなく、たっぷりの牛乳やバターなどを練り上げてつくる自家製のミルククリームをサンドしています。クリームのおいしさの秘密を尋ねると、先代の廣司さんは、「作ってみたらたまたまおいしかったんや。なぁ。」とそばにいる奥様に視線を送りながら笑います。

京都のご当地パン「ニューバード」

「ニューバード」は、京都のご当地パンとして知られるカレー風味の揚げパンです。ニューバードを販売している老舗はいくつかありますが、こちらのものは、ウインナーではなく厚切りハムを包んでいるのが特徴です。

時代を超えても対面販売のスタイルを守り続けていることについて、「効率でいえば決して良いとは言えないけれど、会話ができる昔からのこのいい雰囲気を、お客さんに楽しんでもらえれば。」と3代目。
開店時間は朝6時半から。早起きして焼きたてのパンをほおばれば、心もほかほか。素敵な一日がはじまりそうですね。