「みなさんに、温かい気持ちになってほしい」。そんな想いが込められた甘味処「温 京都御幸町(おん きょうとごこまち)が、2023年11月、碁盤の目の街なかにオープンしました。築100年を超える京町家を再生した美しい空間で、素材の声に耳を澄ませて作られた奥ゆかしい季節のお菓子や、京都の茶どころ・和束産の選りすぐりの日本茶が楽しめます。日々の気ぜわしさから逃れ、五感をうるおすひとときをゆったりと過ごしませんか。

アクセス便利な街なかの一軒家

徒歩6分ほどでアクセスできる阪急京都河原町駅が最寄りですが、地下鉄東西線、京阪電車、市バスでもアクセスできる便利なロケーション。ギャラリーや老舗が軒を連ねる寺町通の一筋西側、御幸町通にたたずみます。

店主の感性と職人の技が光る美しい空間

店主は、京都で生まれ育った山岡すず花さん。学生時代には芸術やアートを学ぶため、留学やひとり旅で世界40か国をめぐったそう。「京都に戻ってから、以前には気づけていなかった日本古来の“侘びさび”の美しさがわかるようになってきたように思います。それらを伝承していきたい、と思ったのがはじまりです。おばあちゃんがおぜんざいやおはぎをよく作ってくれて、私自身も小さいころからお菓子作りが好きだったので」。京都の菓子職人のもとで菓子づくりを学んだのち、築100年を超える京町家を再生し、お店を作り上げたのです。

細かい石を混ぜる「洗い出し」で仕上げた円窓まわり、「研ぎ出し」の手法で磨き上げた石のカウンター、元のものを生かしながらスタイリッシュに仕上げた土壁、壁の違い棚(飾り棚)、1万本に1本だけという希少な「黒柿」のテーブルなど、店内の随所に山岡さんの感性とそれに応えた職人たちの技が散りばめられています。

季節を映すお菓子たち

訪れたときの「季節のお菓子」は、「路考茶」、「木の芽」、「花苺」、「苔結び」、「静」、「温香」、「大和栗」、「翡翠」の計8種。銘は日本の風物や伝統文化、伝統色にちなんでいます。

素材は求肥を作る京丹波産羽二重のもち米をはじめ、京都産が中心。小豆、白小豆、抹茶、ほうじ茶のような定番の和素材、柚子や苺、栗、お芋といった季節の素材、ドライフルーツ、シナモン、カルダモン、生姜などの和菓子にはめずらしい素材を合わせた個性豊かなお菓子たち。砂糖は通常の半分ほどに抑えることで、素材本来がもつ甘さや風味が引き出されています。

たとえば「苔結び」は、北海道十勝産のつぶ餡を求肥と黒胡麻餡で包み、そぼろ状の蓬扶草餡をまとわせた、きんとん製。本物の苔のような細やかな表現がなされていて、思わず見惚れます。

イートインの「浮雲いちご」

いちごは、全国各地の上質なものを食べ比べ、風味、甘さ、酸味のバランス、やわらかさ、白餡やお餅との相性を考えて選び抜いたという「空浮いちご」を毎朝仕入れています。イートインの「浮雲いちご」は、柚子とシナモンが香る餡を包んだ道明寺餅の上にミルク餡の花を咲かせ、白餡と豆乳のソースといちごを添えた逸品です。

京都・和束産の上質な日本茶

お菓子と合わせるドリンクは、抹茶、ほうじ茶、煎茶、玉露の4種。どれも「茶源郷」と称される京都・和束の有機栽培の茶葉を使用しています。店内ではどの席もそれぞれ魅力的ですが、おすすめは、メインのカウンター席。抹茶を注文すると、棚に並ぶお抹茶茶碗から好きなお茶碗を選び、山岡さんの流れるようなお点前を眺めることができます。

春になれば、桜にちなんだお菓子もお目見えする予定。
「お菓子はもちろんのこと、建物、空間、うつわなど、五感を通して日本の文化を体験していただけたら」と、やさしい笑顔で話してくれました。

季節の移ろいをそっと伝えてくれる素敵な甘味処で、心ほどける時間を過ごしませんか。