明治時代に文明開化に沸く横浜で創業した「ウチキパン」。創業130年以上の伝統を受け継ぎ、日本人が初めて開いた食パンのお店ともいわれています。今も変わることなくホップを使った発酵種で生地を発酵させて焼く山型のイギリス食パンは、モチモチとしていて一度食べると虜になる贅沢な味。そんな食パンが魅了する横浜になくてはならないベーカリーをご紹介します。

港町に誕生したイギリス風山型食パンのベーカリー

明治21年創業の「ウチキパン」は、横浜の元町で「ヨコハマベーカリー宇千喜商店」として初代の打木彦太郎氏がはじめたベーカリーです。時代が変わっても130年以上の長きにわたって親しまれ続け、今は5代目の打木豊さんがその伝統を受け継いでいます。

日本における食パン発祥の地といわれる横浜の元町界隈。時代は横浜開港により多くの外国人が住居を構えるようになった明治時代にさかのぼります。外国人が増えるとともに日常食のベーカリーもいくつか開業し、とくにイギリス人が経営する「ヨコハマベーカリー」のイギリス風山型食パンが人気だったのだそう。

そのお店で修業をしていたのが打木彦太郎氏で、「ヨコハマベーカリー」がお店をたたむと同時にその暖簾を譲り受けました。屋号もそれを受けて「ウチキパン」の前進となる「ヨコハマベーカリー宇千喜商店」としてオープン、ここから初め日本人が営む食パンのお店の歴史がはじまりました。

4日間かけてじっくり発酵させる特別な味わい

「ヨコハマベーカリー宇千喜商店」でもイギリス風山型食パンは看板商品でした。創業時の技法を今も変わることなく受け継いでいるのが「イングランド」です。ホップを使った発酵種の食パンは、モチモチとしていてほんのりとした甘みも感じます。そのままでももちろん美味しく、厚切りトーストにすると外側はさっくりとしながらも内側はもっちりとした食感が楽しめますよ。

天然ホップの発酵種は生地をつくだけでも4日かかるのだとか。手間と時間のかかる食パンではあるものの、このお店でしか焼くことのできない伝統の味を求めて多くの人が訪れます。袋に描かれているパン職人は、どことなく打木彦太郎氏に似ているともいわれています。

歴史あるベーカリーのトップ60を走るパンの面々

焼きたてのパンは常時60種類以上と種類豊富です。とくに地元の常連さんはそれぞれお目当てのパンがあるため、種類を減らすことなくニーズに応えているうちに種類が増えたのだとか。

朝の食卓に並べたいクロワッサンやバターロールをはじめ、パネトーネやマフィンなど幅広くラインナップ。コロッケや玉子など具材たっぷりのサンドイッチもボリューム満点です。

印象的な絵柄のショッパーにお気に入りを詰めて

元町商店街を歩いていて、よく見かけるのがこのお店のレトロなショッパーです。イラストは作者の記録が無くて不明ですが、当時横浜に在住していた海外アーティストによるものです。新しい時代を迎えた日本で、これからの女性像を描いているかのようにも見えます。食パン発祥の地といわれる横浜のとっておきをたくさん詰めて、持ち帰ってくださいね。