春は桜、夏は不忍池(しのばずいけ)に広がる蓮の花、秋には紅葉と四季折々の風景を楽しめる上野恩賜公園。広大な敷地のなかには美術館や博物館など、さまざまな文化施設が集まり、いつも多くの人でにぎわいます。ひと通り公園を散策したあとは、公園の中心に位置する歴史ある甘味処、「新鶯亭(しんうぐいすてい)」でひと休みしてはいかがでしょう。

上野の発展を見守る森のおだんご屋さん

JR上野駅公園口を出て、国立西洋美術館や東京文化会館のある石畳のメインストリートを進むと、正面に見えてくるのが上野動物園。その動物園正門の左側にある、こぢんまりとした日本家屋風の店が「新鶯亭」です。

創業は今から100年以上前の大正4(1915)年。当時、上野公園の開発に携わっていた七条氏が創業しました。地下鉄の開通やパンダの初来日など、上野の発展を長らく見守ってきた店を、現在は4代目と5代目の母娘が受け継いでいます。

居心地のいい和の空間

のれんをくぐり引き戸を開けると、落ち着いた雰囲気の和空間があり、新緑を眺められる大きな窓からは心地よい日の光が差し込みます。4人で囲めるテーブルが9台、中庭にも6席ほど座席があるので、そよ風の気持ちいい季節は外で過ごすのもいいですね。

創業から変わらない味の鶯だんご

「新鶯亭」に来たらはずせないのが名物の「鶯だんご(700円)」です。ウグイスのさえずる上野にちなんで名づけられました。それぞれ白いんげん、抹茶、あずきのこし餡に包まれた3種類のだんごは創業時から変わらない味なのだそう。

歯切れのいいだんごは練り切りのように楊枝で切っていただきます。あっさりとした味わいの白いんげんの餡と、抹茶を混ぜた鶯色の餡の中にはうるち米を原料とする上新粉で作られただんごが、あずき餡の中にはほろ苦い赤キビのだんごが入っています。

保存料を一切使っていないので賞味期限は当日限り。食の安全を第一に、伝統の味を守っていかなければいけないと5代目は語ります。

鶯だんごはテイクアウトできるので、天気のいい日は公園いただくのもおすすめですよ。

ほんのり甘いだし汁のほかほかおでんもあります

公園散策でお腹が空いたら「おでん(1200円)」もおすすめです。昆布だしのうまみが浸み込んだ6種類の具材が一皿に盛られています。

がんも、昆布、ちくわ、こんにゃく、はんぺん、だいかく(長方形の平らなさつま揚げ)の中でもイチオシは、真っ白なはんぺん。よくある薄い三角形のものとは少し異なり、三角錐にカットされたはんぺんは、厚みがある分ふわふわもちもち。口に入れるとたっぷりしみ込んだだし汁がじゅわっと広がり、思わず笑顔になる一皿です。


多くの人でにぎわう上野公園で、時が止まったようにたたずむ「新鶯亭」。今度の週末は自然いっぱいの公園で、100年変わらない味の鶯だんごを堪能してみてはいかがでしょう。