向田邦子の名作『阿修羅のごとく』が、小泉今日子、小林聡美、安藤玉恵、夏帆を迎えて舞台化され、9月より上演されることが決定。ビジュアルが解禁された。

 『だいこんの花』(1970)、『時間ですよ』(1971)、『寺内貫太郎一家』(1974)など数々の話題ドラマを生み出した、昭和を代表する脚本家・向田邦子。食べもの、旅行、ファッション、猫など、あらゆる物事に興味を持ち、好奇心旺盛なその生き方は、現代もなお多くのクリエイターに影響を与えている。

 その向田の代表作である『阿修羅のごとく』は、1979年にドラマが放映された当時、和田勉氏の斬新な演出と、加藤治子、八千草薫、いしだあゆみ、風吹ジュンの共演で視聴者に鮮烈な印象を残し、その後も再放送が繰り返される度に作品のファンを増やしていった名作。これまで映画版としてリメイク(2003年森田芳光監督)されたり、商業演劇として舞台化(2004年、2013年)もされてきた。今回の舞台版では、向田のセリフはほぼそのままに、シーンと登場人物を大幅にカット。“四姉妹(を演じる女優)のバトル”に焦点を当てる。

 演出を担当するのは、舞台『クラウドナイン』『海越えの花たち』などを演出したほか、女優としても活躍し、映画『愛しのアイリーン』でキネマ旬報助演女優賞を受賞した木野花。脚色は、2004年に『ワンマン・ショー』で第48回岸田國士戯曲賞を受賞し、近年では『鎌塚氏、放り投げる』をはじめとする“鎌塚氏シリーズ”や『お勢、断行』の演出、バラエティ番組『LIFE〜人生に捧げるコント〜』(NHK)や映画『十二人の死にたい子どもたち』『アイ・アムまきもと』の脚本など多数の作品を手がける劇作家・演出家の倉持裕。

 奔放に生きようとする長女・綱子を演じるのは、近年では舞台のプロデューサーを務めるなど、女優・歌手だけでなく幅広く創作活動を続けている小泉今日子。平和に、堅実に生きようとする次女・巻子を演じるのは、多くの映画やドラマに出演する小林聡美。女らしさを秘めつつも不器用に生きる三女・滝子を演じるのは、映画『夢売るふたり』で第27回高崎映画祭最優秀助演女優賞を受賞した安藤玉恵。自由にそして必死に生きる四女・咲子を演じるのは、主演映画『天然コケッコー』で第31回日本アカデミー賞新人俳優賞ほか多数の映画賞を受賞し、『海街diary』では第39回日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞した夏帆。

 三女に父親の身辺調査を依頼される探偵・勝又と四女の恋人・陣内を演じるのは、作家、演出家、俳優と多彩な才能を発揮する岩井秀人。長女の不倫相手・貞治と次女の夫・鷹男を演じるのは、数々の舞台、映画、ドラマなどに出演する山崎一。岩井と山崎の男性キャストが、それぞれ2役を演じ分ける。

 上演劇場は、四方向に客席が設置され、ステージを囲む形で鑑賞するセンターステージ形式。女優たちの生々しい戦いに立ち会うような臨場感ある空間を提供する。

 今回解禁されたビジュアルは、小泉、小林、安藤、夏帆のアップ写真が並んだもの。写真の周りには、大宮エリーが四人の女優それぞれをイメージして描いた華やかな色彩の花の絵画が配置され、四姉妹のプリミティブな美しさと力強さを際立たせるビジュアルとなっている。

 舞台『阿修羅のごとく』は、東京・シアタートラムにて9月9日〜10月2日上演。※兵庫公演予定あり。

※演出・キャストコメント全文は以下の通り

■木野花(演出)

ドラマ「阿修羅のごとく」はリアルタイムで観ていました。お茶の間という枠を超えて、日常を揺さぶられた感じで衝撃でした。“阿修羅”は誰の中にも潜んでいると意識したのもその時です。ドラマの中で役者達が、一歩も引かずに火花を散らしている。その気にさせる何かがこの作品にはある。それを覗いてみたい。怖いもの知らずで今回乗ってみようと覚悟しました。

そして心強いことに、この挑戦に打って付けの怖いもの知らずの顔ぶれが揃いました。一筋縄ではいかない魅力を秘めつつ癒される、最強の四人姉妹。こんな姉妹が観たかった!遠慮なく体当たりでぶつかっていこうと思っています。何が飛び出すかしかと見届けて頂きたい。

■小泉今日子(長女・綱子役)

大好きな向田邦子作品を舞台で演じることができるなんて!生きててよかったです。信頼している俳優たち、尊敬している演出家とともに作り上げることができるなんて!生きててよかったです。

私は3人姉妹の末っ子として育ちましたが、今回は長女役。長女の立場から3人の妹たちを眺めたとき、どんな思いが心に生まれるのか。敏感に心を研ぎ澄まして稽古に臨みたいと思っています。

■小林聡美(次女・巻子役)

もはや伝説といっていい向田邦子の「阿修羅のごとく」を、木野花さんの演出で、小泉さん、安藤さん、夏帆さんという素晴らしい俳優のかたがたと作り上げる時間を想像するだけで、気絶しそうです。

40年以上前に書かれ、これまでも何度となく映画や演劇となった作品ですが、今、この世界観をどうやって表現していくことになるのか、楽しみです。

■安藤玉恵(三女・滝子役)

「木野さんの演出で、向田作品の舞台で、阿修羅のごとく、四姉妹のお話で…」最後まで話を聞かずに「やりたいです!!」と言った記憶があります。その日から興奮しちゃって、向田さんのエッセーをめくる指にも気持ちが入ってしまっています。今まで黙っているのがツラかった(笑)。真夏の稽古、熱くなりそうです。

■夏帆(四女・咲子役)

数年ぶりの舞台で今からとてもそわそわしています。この作品のお話をいただいたときに、これは絶対にやりたい…!と胸が高鳴って、また舞台の世界に飛び込んでみようと、覚悟を決めました。

稽古に向けて、きりりとリズミカルな向田さんの言葉たちとどう向き合っていこうかと想像する日々はとても楽しいです。初舞台のときにとてもお世話になった木野花さんの演出のもと、頼もしい先輩方の背中を追いながら、精一杯がんばります。

■岩井秀人(探偵・勝又役&四女の恋人・陣内役)

ど偉い俳優さんたちと一緒に出ることになったなあと、感慨に耽っております。思えば引きこもり時代に見ていたのが「やっぱり猫が好き」でして、小林聡美さんの演技だか遊んでるんだか分からない自由すぎる挙動に目を回しておりました。

やがて「俳優になってみたい」と引きこもりから脱出して30年ほど経ち、こんな場に呼ばれるとは。共演者の皆さま、軒並み「どうやってるんだか分からない」人たちばかりで、俳優フェチとしては稽古見学だけで済ませたい心持ちですが、めちゃくちゃ楽しもうと思っております。

■山崎一(長女の不倫相手・貞治役&次女の夫・鷹男役)

出演が決定してとても嬉しかったですね。だって、このメンバーで向田邦子さんの「阿修羅のごとく」をやるんですよ(笑)!しかも演出が木野花さんですからね。今からワクワクしてます。

台本を読んで感じたのは出てくるキャラクター全員が愛おしく感じたこと。観に来てくださるお客様もきっとそう感じてくれると思います。そうなるように、頑張ります!