今や年間制作本数200作品を超えると言われるTVアニメ。2017年のTVアニメ界もバラエティに富んだラインナップが集結した。上半期の話題を独占した『けものフレンズ』、女性の圧倒的な支持を集める『活撃 刀剣乱舞』や『おそ松さん』第2期、アイドルアニメを牽引する『ラブライブ!サンシャイン!!』第2期、シリーズ人気を見せつけた『Fate/Apocrypha』など話題作を振り返る。

 2017年のTVアニメを振り返る上で絶対に外せないトピックが、1〜3月まで放送された『けものフレンズ』の大ヒットであることには、異存はないと思う。本作は少女の姿をした「フレンズ」と呼ばれる動物たちが、動物園「ジャパリパーク」に迷い込んだ記憶のない少女・かばんちゃんと出会い、秘められたパークの謎は次第に明らかにされながら、冒険を繰り広げる物語だ。

 「すごーい!」「たのしー!」といったフレンズたちのセリフも大流行し、出演声優がフレンズの姿で歌い踊る主題歌「ようこそジャパリパークへ」も大ヒット。フレンズ&動物の魅力を第一にしたアニメづくりを徹底し、SNSを積極活用したスタッフ陣の愛情あふれる地道な活動もファンを増大した。なにより、謎に満ちたSF的“鬱展開”を予感させる設定でありながら、子どもでも楽しめる明るく素直で元気な世界観を追求したことも、ヒットの要因だろう。低予算&約10人という少数制作体制でも、創意工夫で大ヒットが生み出せる好例を示せたことも『けもフレ』の功績だ。すでに第2期の制作も発表済みなので、続報に注目したい。

 7月スタートで現在も2クール目が放送中の『Fate/Apocrypha』、2015年に第1期が人気で2期が10月から放送中の『血界戦線&BEYOND』は、原作人気の高いシリーズ物の強さを実感させてくれた。とくに『Fate/Apocrypha』は、ゲーム&アニメファンから絶大な人気を誇るTYPE‐MOON原作の『Fate/stay night』のスピンアウト小説のアニメ化。そもそも「Fate」シリーズは、『Fate/stay night』を出発点として、様々な視点からどんな願いも叶う「聖杯」を賭けた「聖杯戦争」の裏表が描かれるのだが、過去の英雄や伝説上の存在が召還される「サーヴァント」も、作品ごとに立場やキャラクター性が異なるなど、複雑で壮大な楽しみ方ができるのが魅力。『Fate/Apocrypha』も、スピンアウトらしく『Fate/stay night』を元にしながらもまったく異なる世界を描き、ファンの心を惹き付けている。

 シリーズ作品の強みを見せつけた作品といえば『ラブライブ!サンシャイン!!』も外せない。2016年夏の第1期に続くストーリーで、学園の統廃合を阻止すべく、再びスクールアイドルコンテスト「ラブライブ!」優勝をめざす少女たち=Aqours(アクア)の奮闘を描いている。初代『ラブライブ!』から受け継がれる王道の青春ストーリーと、キャスト陣がキャラクターになりきり、クオリティの高い歌とダンスを繰り広げるリアルライブも魅力の本作。Aqoursは、来年夏の3ndライブツアーでメットライフドーム、大阪城ホール、マリンメッセ福岡での各2日間公演を発表。作品を含めての人気の高さが伺える。

 女性向けTVアニメが充実していたのも2017年の特徴だ。なかでも話題を集めたのは、7月〜9月にオンエアされた『活撃 刀剣乱舞』と、2015年〜2016年にかけて一大ブームを呼び、10月から第2期が放送中の『おそ松さん』だ。『活撃 刀剣乱舞』は、2年前から刀剣ブームを巻き起こす同シリーズの決定版。重厚かつシリアスな物語と、クオリティの高さに定評ある制作会社・ufotableの作画力、演出力がハイレベルで融合した。『おそ松さん』第2期も作画と演出クオリティの高さが魅力。女子向けの内容だった第1期に比べ、よりブラックギャグテイストを押し出した第2期は、男性にもおすすめしたい作品になった。

 ほかにも夏アニメでは、心温まる内容と食事シーンのクオリティの高さが絶賛された『異世界食堂』、ギャンブルに支配された異色の学園ドラマを斬新なキャラクター演出で描いた意欲作『賭ケグルイ』。秋アニメでは愛と優しさにあふれたファンタジー世界を丁寧に描いた『魔法使いの嫁』、競技ダンスに打ち込む若者達のドラマをダイナミックかつ繊細な作画で表現する『ボールルームへようこそ』など秀作も多数。見逃したという方は、有料動画配信サイトやパッケージ盤で、年末、お正月に一気見してみてはいかがだろうか?